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留
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と
ふりがな文庫
“
留
(
と
)” の例文
そして、終戦後、めっきり増えて来た、ちんぴらの不良少女や、若い露天商の女の
粗末
(
そまつ
)
な刺青なぞは
殆
(
ほと
)
んど眼にも
留
(
と
)
めて来なかった。
刺青
(新字新仮名)
/
富田常雄
(著)
背筋の虫に螫された
痕
(
あと
)
、その痒さを
留
(
と
)
める役目なので、蚊帳の中に入っても直ぐと後へ廻った為、顔を見られずに済んだのであった。
怪異黒姫おろし
(新字新仮名)
/
江見水蔭
(著)
温泉
(
をんせん
)
に
行
(
ゆ
)
かうとして、
菊屋
(
きくや
)
の
廣袖
(
どてら
)
に
着換
(
きか
)
へるに
附
(
つ
)
けても、
途中
(
とちう
)
の
胴震
(
どうぶる
)
ひの
留
(
と
)
まらなかつたまで、
彼
(
かれ
)
は
少
(
すく
)
なからず
怯
(
おびや
)
かされたのである。
魔法罎
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
三
(
みつ
)
つに
成
(
な
)
つて
居
(
ゐ
)
たお
品
(
しな
)
が
卯平
(
うへい
)
を
慕
(
した
)
うて
確乎
(
しつか
)
と
其
(
そ
)
の
家
(
うち
)
に
引
(
ひ
)
き
留
(
と
)
めたのはそれから
間
(
ま
)
もないことである。
蛇
(
へび
)
の
噺
(
はなし
)
は
何時
(
いつ
)
の
間
(
ま
)
にか
消滅
(
せうめつ
)
した。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
その時の私は父の前に
存外
(
ぞんがい
)
おとなしかった。私はなるべく父の機嫌に逆らわずに、
田舎
(
いなか
)
を出ようとした。父はまた私を
引
(
ひ
)
き
留
(
と
)
めた。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
われ生来多病なりしかどその頃は腹痛む事稀なりしかば八重が
頻
(
しきり
)
にかの草の
効験
(
ききめ
)
あること
語出
(
かたりい
)
でても更に心に
留
(
と
)
むる事もなくて
打過
(
うちす
)
ぎぬ。
矢はずぐさ
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
うっかりどこにでも出そうものなら、たちまち敵国の空中スパイに発見されて、こっちの新しい地下都市の
所在
(
しょざい
)
を
突
(
つ
)
き
留
(
と
)
められてしまう。
今昔ばなし抱合兵団:――金博士シリーズ・4――
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
その次が
留
(
と
)
めの肉といって一番
終
(
しま
)
いにロース物が出るかあるいはサラダが出る場合ですからロースポーク即ち豚のロースに致しましょう。
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
「その御難場へ飛び出して、
留
(
と
)
め役を買って出たのは、沢屋の一人娘、日本橋小町と言われた、お琴だとしたらどんなもので」
銭形平次捕物控:376 橋の上の女
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
十一娘は泣いて
留
(
と
)
めて、
離屋
(
はなれ
)
におらした。そこで葬式の飾りにした道具を売って、それを生活費にあてたので、どうにか不自由がなかった。
封三娘
(新字新仮名)
/
蒲 松齢
(著)
彼は
某日
(
あるひ
)
、
袞繍橋
(
こんしゅうきょう
)
に住んでいる
朋友
(
ともだち
)
のことを思い出して訪ねて往った。朋友は久しぶりに訪ねて来た喬生を
留
(
と
)
めて酒を出した。
牡丹灯籠 牡丹灯記
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
何故
(
なぜ
)
と云うに他人の夢中になって汚ない事を話して居るのを
能
(
よ
)
く注意して
聞
(
きい
)
て心に
留
(
と
)
めて置くから、何でも分らぬことはない。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
ごろごろいったのは馬車で、それが門口に
留
(
と
)
まっている。馬車ははっきり見える。そしてその中から人が出て来る。それはマリイであった。
みれん
(新字新仮名)
/
アルツール・シュニッツレル
(著)
不断着だけれど、荒い縞の着物に
飛白
(
かすり
)
の羽織を着て、
華美
(
はで
)
な帯を締めて、障子に
掴
(
つか
)
まって
斜
(
はす
)
に立った姿も何となく目に
留
(
と
)
まる。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
我は是を観察するを楽しむ、誰れか知らむ、徳川氏時代に流れたる地下の大江は、明治の政治的革新にてしがらみ
留
(
と
)
むべきものにあらざるを。
徳川氏時代の平民的理想
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
警部
(
けいぶ
)
さんは、こりゃありっぱなうちの子をぬすんで
捨
(
す
)
てたものだと言って、その着物の細かいこと、子どもの様子などをいちいち書き
留
(
と
)
めて
家なき子:01 (上)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
今晩一泊なすって
緩々
(
ゆる/\
)
お話もしたいと
留
(
と
)
めても聞入れず、振り切って横浜へいらしったが、それっ切り
未
(
ま
)
だお
宅
(
たく
)
へ帰らんかえ
西洋人情話 英国孝子ジョージスミス之伝
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
その訳と云うのは、飛山君のお父さんは東京のどこかで
贋紙幣
(
にせさつ
)
を使おうとして捕まったんだそうだ。そして今は警察に
留
(
と
)
められているんだって。
贋紙幣事件
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
私はたびたび聞いて感じまして、今でも心に
留
(
と
)
めておりますが、私がたいへん世話になりましたアーマスト大学の教頭シーリー先生がいった言葉に
後世への最大遺物
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
どんなにか惜く思いまして、あなたのお手に
縋
(
すが
)
ってお
留
(
と
)
め申したいように存じましたが、致し方がございませんでした。
家常茶飯 附・現代思想
(新字新仮名)
/
ライネル・マリア・リルケ
(著)
誰
(
た
)
れが
爲
(
ため
)
の
色
(
いろ
)
ならず
君
(
きみ
)
におくれて
鏡
(
かゞみ
)
の
影
(
かげ
)
に
合
(
あは
)
す
面
(
おもて
)
つれなしとて
伽羅
(
きやら
)
の
油
(
あぶら
)
の
香
(
かを
)
りも
留
(
と
)
めず
亂
(
みだ
)
れ
次第
(
しだい
)
の
花
(
はな
)
の
姿
(
すがた
)
やつれる
身
(
み
)
を
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
ところがその姉は大變醜かつたので恐れて返し送つて、妹の木の花の咲くや姫だけを
留
(
と
)
めて一夜お
寢
(
やす
)
みになりました。
古事記:03 現代語訳 古事記
(旧字新仮名)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
前の時に私がしたことを思ふと
留
(
と
)
めることは出来ないのでした。かうして二人の会合は二度とも失敗に終つたのです。
私の生ひ立ち
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
そのうち次第に意志が一方に傾いて来て、とう/\出掛けるのを
廃
(
よ
)
して、悪魔のするが儘になつて
留
(
と
)
まる事にした。
パアテル・セルギウス
(新字旧仮名)
/
レオ・トルストイ
(著)
いうかと思うと小学生は柵を乗り越えてお梅さんの
側
(
そば
)
へ走り寄った。兄が
留
(
と
)
めようとしたけれど間に合わなかった。
一寸法師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
現象
(
げんしよう
)
が
極
(
きは
)
めて
稀
(
まれ
)
であるので、
正體
(
しようたい
)
がよく
突
(
つ
)
き
留
(
と
)
められてゐないが、
電氣作用
(
でんきさよう
)
に
基
(
もと
)
づくものだらうといはれてゐる。
火山の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
今ある日本語の何という言葉に、対応させてよいかはまだ突き
留
(
と
)
められぬが、皇室を中心にして考えると、
稜威
(
みいつ
)
という古語が大分近いように感じられる。
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
目は
手釦
(
てボタン
)
の上にとまつた。
留
(
と
)
めの方がとれかかつて釦がぶらりと下つて居た。あわててそれを
篏
(
は
)
め直しながら
公判
(新字旧仮名)
/
平出修
(著)
墺匈国
(
おうきょうこく
)
で領事の置いてある所では、必ず面会しなくてはならない。見聞した事は詳細に書き
留
(
と
)
めて、領事の証明書を添えて、
親戚
(
しんせき
)
に報告しなくてはならない。
世界漫遊
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ユリウス・ダビット
(著)
古本屋の前に来ると、僕は足を
留
(
と
)
めて
覗
(
のぞ
)
く。古賀は一しょに覗く。その頃は、日本人の詩集なんぞは一冊五銭位で買われたものだ。柳原の
取附
(
とっつき
)
に広場がある。
ヰタ・セクスアリス
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
その年霰が降らなかったかあるいは降りかかってもうまく
留
(
と
)
めたというような時分には充分の収入がございますので、それは毎年きまった税品を取るんです。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
あゝ
其事
(
そのこと
)
!
貴方
(
あなた
)
はよく
覺
(
おぼ
)
えていらつしやいましたねえ。
亞尼
(
アンニー
)
は
眞個
(
ほんとう
)
に
妙
(
めう
)
な
事
(
こと
)
をと、
其
(
その
)
時分
(
じぶん
)
は
少
(
すこ
)
しも
心
(
こゝろ
)
に
留
(
と
)
めませんでしたが、
後
(
のち
)
にそれと
思
(
おも
)
ひ
當
(
あた
)
りましたよ。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
須利耶
(
すりや
)
さまは
童子
(
どうじ
)
をふりかえりました。そしたら童子はなんだかわらったまま、
倒
(
たお
)
れかかっていられました。須利耶さまは
愕
(
おど
)
ろいて
急
(
いそ
)
いで
抱
(
だ
)
き
留
(
と
)
められました。
雁の童子
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
薄い皮でしかも強靱であるという性質は早くから、
曲物
(
まげもの
)
の
留
(
と
)
めに利用せられた。曲物のある所に桜皮のない場合はない。それはいつも板を縫う糸の役割を務めた。
樺細工の道
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
富五郎はその晩から恐ろしく
吃逆
(
しゃっくり
)
が出て、どうしても
留
(
と
)
まらない。
身体
(
からだ
)
も変な
工合
(
ぐあい
)
になって行きました。
幕末維新懐古談:01 私の父祖のはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
曾て心にだに
留
(
と
)
めざりし人と、ゆくりなく浮名立てらるゝときは、その人はそもいかなる人にかと疑ふより、これに心付くるやうになり、心付けて見るに隨ひて
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
それとも
今
(
いま
)
これを此處に
留
(
と
)
め
置
(
おけ
)
ば
貴君
(
あなた
)
の三年の
壽命
(
いのち
)
を
縮
(
ちゞめ
)
るが
可
(
よい
)
か、それでも今
直
(
す
)
ぐに
欲
(
ほし
)
う御座るかな。
石清虚
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
放課後の
留
(
と
)
めおきという奴は気にかかるものだ。それもまだ罪がきまっていないだけに不安が増す。
苦心の学友
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
留
(
と
)
めるのもきかずに
松
(
まつ
)
五
郎
(
ろう
)
が
火
(
ひ
)
のようになって
出
(
で
)
て
行
(
い
)
ってしまった
後
(
あと
)
の
画室
(
がしつ
)
には、
春信
(
はるのぶ
)
がただ
一人
(
ひとり
)
おこのの
置
(
お
)
いて
行
(
い
)
った
帯
(
おび
)
を
前
(
まえ
)
にして、
茫然
(
ぼうぜん
)
と
煙管
(
きせる
)
をくわえていたが
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
それは原氏が旅へ出ると、いつも
無益
(
やくざ
)
な買物ばかりするので、成るべく
側
(
そば
)
にゐて
留
(
と
)
め
立
(
だて
)
して欲しいといふ事なのだ。高橋氏は頭のなかに、原夫人の険しい顔を思ひ浮べた。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
そしてその場でその少女はお后に
定
(
き
)
まりましたが、又濃紅姫の
閑雅
(
しとやか
)
な美しさも藍丸王の御眼に
留
(
と
)
まって、王様のお付の
中
(
うち
)
で一番位の高い宮女として宮中に置く事に
定
(
き
)
まり
白髪小僧
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
惟ふに外國から渡つたサントメ乃ち奧縞に擬して和製のサントメ乃ち京奧縞を作り出した時、サントメの
留
(
と
)
めに對して
遣
(
や
)
れなる動詞を用ひ、サンヤレ織と稱へたで無らうか。
女順禮:並にサンヤレの事
(旧字旧仮名)
/
南方熊楠
(著)
引き
留
(
と
)
めてくれい。
何故
(
なぜ
)
お前は母上の帰って
行
(
ゆ
)
くのを見ていながら引留めてはくれなんだか。
痴人と死と
(新字新仮名)
/
フーゴー・フォン・ホーフマンスタール
(著)
もう
岸
(
きし
)
から二
間
(
けん
)
ほども
出
(
で
)
かゝつた
渡船
(
とせん
)
をば、『こら
待
(
ま
)
て、
待
(
ま
)
て。』と、
呼
(
よ
)
び
留
(
と
)
めながら、
駈
(
か
)
けて
來
(
き
)
たのは、
昨日
(
きのふ
)
多田院
(
ただのゐん
)
で
見
(
み
)
た
天滿與力
(
てんまよりき
)
の、
形
(
かたち
)
だけは
偉丈夫然
(
ゐじやうふぜん
)
とした
何某
(
なにがし
)
であつた。
死刑
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
港外で
一寸
(
ちよつと
)
停船すると
小
(
こ
)
蒸汽で遣つて来た英人の水先案内が
上
(
あが
)
つて来て、軽い挨拶を交換するや否や船長に代つて号令し初めた。航海日誌を書く船員が端から
其
(
その
)
号令を書き
留
(
と
)
める。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
それまで私は函館に足を
留
(
と
)
めてゐたのだが、人も知つてゐるその年八月二十五日の晩の大火に会つて、幸ひ類焼は免れたが、出てゐた新聞社が丸焼になつて、急には立ちさうにもない。
札幌
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
まあまあ、というようなことで、
留
(
と
)
め男に割り込んで来たのが強そうな紳士だから、車掌は急に降参して、その場はそれですんでしまう。メリコフの扱いで、やっと車室の
都合
(
つごう
)
がつく。
戦雲を駆る女怪
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
押し登って行くと、鼻っ先の風露草とすれすれに、乗鞍岳はもう雲の火焔に包まれている、眼前の岩壁には、白樺の細木が行列して、むくむく進行する草原の青波を、
喰
(
く
)
い
留
(
と
)
めながら
谷より峰へ峰より谷へ
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
このお
歌
(
うた
)
は
靜
(
しづ
)
かな
時雨
(
しぐれ
)
の
音
(
おと
)
を、さうした
間
(
あひだ
)
に
耳
(
みゝ
)
を
留
(
と
)
めてゐたといふところに、
變
(
かは
)
つた
興味
(
きようみ
)
を
起
(
おこ
)
されたので、かういふ
詠
(
よ
)
み
方
(
かた
)
の
歌
(
うた
)
は、これ
以前
(
いぜん
)
にもこれ
以後
(
いご
)
にも、まづ
類例
(
るいれい
)
のない
新
(
あたら
)
しい
歌の話
(旧字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
ところが意外にも主人は己を
留
(
と
)
めて一晩泊らせようと云つた。己はとう/\主人の意に任せることにして、それから二人で庭を歩いた。主人は己にまだ見なかつた所々を案内して見せた。
復讐
(新字旧仮名)
/
アンリ・ド・レニエ
(著)
留
常用漢字
小5
部首:⽥
10画
“留”を含む語句
立留
逗留
踏留
留置
小留
歌留多
繋留
停留場
留守中
滯留
御逗留
取留
引留
留針
長逗留
呼留
留金
抑留
三留野
突留
...