どめ)” の例文
学習院の平素ふだんの制服といふのは、ぼたんのない詰襟つめゑりのホツクどめだが、加之おまけに帽子の徽章きしやうが桜の花になつてゐるので、どうかすると海軍士官に間違はれる。
往来どめ提灯ちょうちんはもう消したが、一筋、両側の家の戸をした、さみしい町の真中まんなかに、六道の辻のみちしるべに、鬼が植えた鉄棒かなぼうのごとくしるしの残った、縁日果てた番町どおり
菎蒻本 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
莞爾につこりして、かぜみだれる花片はなびらも、つゆらさぬ身繕みづくろひおびおさへたパチンどめかるひとつトンとてた。
艶書 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
と云って、肩でわざとらしくない嬌態しなをしながら、片手でちょいと帯をおさえた。ぱちんどめが少しって、……薄いがふっくりとある胸を、緋鹿子ひがのこ下〆したじめが、八ツ口からこぼれたように打合わせの繻子しゅすのぞく。
妖術 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)