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留
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とめ
ふりがな文庫
“
留
(
とめ
)” の例文
と声を掛けたのは、主人万兵衛の
甥
(
おい
)
で、藤屋の番頭をしている喜八の女房、
綽名
(
あだな
)
をガラ
留
(
とめ
)
と言われる、二十七八の大年増お留でした。
銭形平次捕物控:108 ガラッ八手柄話
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「おしいことをしたなあ」と、団長をはじめ、
留
(
とめ
)
じいさんもお
千代
(
ちよ
)
さんも、
正坊
(
しょうぼう
)
も五郎も、馬の死がいをとりまいてなげきました。
正坊とクロ
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
洗い髪に、うす化粧をした二十四、五の美人を、薬師堂の縁がわに立たせて、青梅の勘三と、羽村の
留
(
とめ
)
が、そのわきに腰をおろしていた。
野槌の百
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
作者見習としてのわが役目は木の稽古にと幕ごとに
二丁
(
にちょう
)
を入れマハリとシヤギリの
留
(
とめ
)
を打つ事幕明幕切の時間を日記に書入れ
書かでもの記
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
以て
人殺
(
ひとごろ
)
しは九助なりと見
留
(
とめ
)
嚴
(
きび
)
しく
拷問
(
がうもん
)
に掛し事甚だ其意を得ざる
取計
(
とりはから
)
ひなりとありしかば理左衞門其儀は九助何樣申立候とも
渠
(
かれ
)
が
裾
(
すそ
)
に
血
(
ち
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
▼ もっと見る
少し意地の悪い心持ちで、女がどうするだろう、
留
(
とめ
)
るだろうかと思ったのである。しかし女はなんとも云わなかった。
みれん
(新字新仮名)
/
アルツール・シュニッツレル
(著)
時々胸からせぐりあげて来る涙を、強いて
圧
(
おし
)
つけようとしたが、どん底から
衝動
(
こみあ
)
げて来るような悲痛な
念
(
おもい
)
が、
留
(
とめ
)
どもなく波だって来て為方がなかった。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
心を
留
(
とめ
)
てその力の及ぶだけを
施
(
ほどこ
)
さば、その児またその子を教育するの
己
(
おの
)
が職たるを知り、ついに一家、風を成し、一郷、俗を成すに至らんことを希望す。
教育談
(新字新仮名)
/
箕作秋坪
(著)
「そう、私はまたお
留
(
とめ
)
さん(大方老母が文三の嫁に欲しいと云ッた娘の名で)とかの事を
懐出
(
おもいだ
)
して、それで塞いでお出でなさるのかと思ッたら、オホホホ」
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
両人
(
ふたり
)
は飛立つ程嬉しく思いますから婆アの
留
(
とめ
)
るのも聞入れずに
見相
(
けんそう
)
を変え、振払って深川富川町へ駈出します。
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
昔天国の門に立たせて置かれた、あの天使のように、イエスは燃える抜身を手にお持になって、わたくしのいる檻房へ
這入
(
はい
)
ろうとする人をお
留
(
とめ
)
なさると存じます。
女の決闘
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
医者は槌で叩いたと云いますし、谷間田は其前に
頭挿
(
かんざし
)
でゞも突ただろうかと怪んで居ますが両方とも間違いです、何より
前
(
さき
)
に丸く
凹込
(
めりこ
)
んで居る所に眼を
留
(
とめ
)
ねば成ません
無惨
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
けれども
昔
(
むかし
)
から
懇意
(
こんい
)
な
者
(
もの
)
は
断
(
ことは
)
らず
留
(
とめ
)
て、
老人夫婦
(
としよりふうふ
)
が
内端
(
うちは
)
に
世話
(
せわ
)
をして
呉
(
く
)
れる、
宜
(
よろ
)
しくば
其
(
それ
)
へ。
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
垂木の
留
(
とめ
)
を打つとき、はずみでそんなことになったんだろうと思いますが、そうしようと思っても、こうまでうまくはゆかなかろうと思われるくらい、見事に胴のまんなかを……
顎十郎捕物帳:24 蠑螈
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
出の
拵
(
こしらえ
)
は弁慶の
単衣
(
ひとえ
)
に三尺を締め、手拭を浅く輪の様にして
向
(
むこう
)
鉢巻をなし、
留
(
とめ
)
をやや左に寄せV字状になし、右の
偏袒
(
かたはだぬぎ
)
になりて白木綿の腹巻を見せ、裾を高く尻端折し、袖をたくし上げ
いがみの権太:(明治二十九年一月、明治座)
(新字旧仮名)
/
三木竹二
(著)
其
(
その
)
恨
(
うら
)
み
骨髓
(
こつずい
)
に
徹
(
とほ
)
りてそれよりの
見
(
み
)
る
目横
(
めよこ
)
にか
逆
(
さか
)
にか、
女髮結
(
をんなかみゆひ
)
の
留
(
とめ
)
を
捉
(
と
)
らへて
珍事
(
ちんじ
)
唯今
(
たゞいま
)
出來
(
しゆつたい
)
の
顏
(
かほ
)
つきに、
例
(
れい
)
の
口車
(
くちぐるま
)
くる/\とやれば、
此
(
この
)
電信
(
でんしん
)
の
何處
(
いづく
)
までかゝりて、一
町
(
てう
)
毎
(
ごと
)
に
風説
(
うはさ
)
は
太
(
ふと
)
りけん
われから
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
と云って、
魘
(
うな
)
されるので、女房の
留
(
とめ
)
が
鬼魅
(
きみ
)
をわるがって
位牌と鼠
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
留
(
とめ
)
さんは通船会社の万年水夫である。
留さんとその女
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「
留
(
とめ
)
じゃあねえか。まあ、あがれ」
半七捕物帳:69 白蝶怪
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
そしてお
留
(
とめ
)
のところへいっている。
田沢稲船
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
留
(
とめ
)
の地蔵様
大菩薩峠:37 恐山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
これには見物人も団長も、
留
(
とめ
)
じいさんもあっけにとられてしまいました。正坊もびっくりしてしまいました。
正坊とクロ
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
般若
(
はんにゃ
)
の
留
(
とめ
)
さんというのは背中一面に般若の
文身
(
ほりもの
)
をしている若い大工の職人で、大タブサに結った
髷
(
まげ
)
の
月代
(
さかやき
)
をいつでも
真青
(
まっさお
)
に剃っている凄いような美男子であった。
伝通院
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
婆「何故遣るたっても遣らない様に仕ようと思うと、
突除
(
つんの
)
けて行って、
留
(
とめ
)
ても留らぬから仕様がないだ」
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
この辺の土地を、いわゆる縄張りと称して渡世している
羽村
(
はむら
)
の
留
(
とめ
)
に、青梅の勘三という男だった。
野槌の百
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「お蔭様だ。」と
留
(
とめ
)
という紺屋の職人が居る、
魚勘
(
うおかん
)
の
親仁
(
おやじ
)
が居る、いずれも口々。
葛飾砂子
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
繋
(
つな
)
ぎ
留
(
とめ
)
しは
最初
(
さいしよ
)
其身が主人五兵衞を
説勸
(
ときすゝ
)
めて養子となせし千太郎なれば殊更忠義を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
従ッて又隣近所で目を醒すに違い無い、其所だテ隣近所で目を醒してもアヽ又例の喧嘩かと別に気にも
留
(
とめ
)
ずに居る様な所が何所にか有るだろう(大)夫では
屡々
(
しば/\
)
大喧嘩の有る家かネ(谷)爾サ
無惨
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
年
(
とし
)
を
言
(
い
)
はゞ二十六、
遲
(
おく
)
れ
咲
(
ざき
)
の
花
(
はな
)
も
梢
(
こづゑ
)
にしぼむ
頃
(
ころ
)
なれど、
扮裝
(
おつくり
)
のよきと
天然
(
てんねん
)
の
美
(
うつ
)
くしきと二つ
合
(
あは
)
せて五つほどは
若
(
わか
)
う
見
(
み
)
られぬる
徳
(
とく
)
の
性
(
せう
)
、お
子樣
(
こさま
)
なき
故
(
ゆゑ
)
と
髮結
(
かみゆひ
)
の
留
(
とめ
)
は
言
(
い
)
ひしが、あらばいさゝか
沈着
(
おちつ
)
くべし
われから
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
「もう一人、
棟梁
(
とうりょう
)
のところのお
留
(
とめ
)
坊などはどんなもので——」
銭形平次捕物控:086 縁結び
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「来たら
留
(
とめ
)
やが喜ぶじゃないか」
雪の夜の怪
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
左官の女房お
留
(
とめ
)
俳諧師
(旧字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
長「成程
拙
(
まず
)
くアねえが、そんなに自慢をいう程の事もねえ、此の
遣違
(
やりちげ
)
えの
留
(
とめ
)
と
透
(
すかし
)
の仕事は嘘だ」
名人長二
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
舞台では
留
(
とめ
)
じいさんが「ゆうかんなる水兵」のラッパを、ならしはじめました。
正坊とクロ
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
呼
(
よば
)
れて、手を
留
(
とめ
)
て主税を見たが、水を汲んだ
名残
(
なごり
)
か、顔の色がほんのりと、物いわぬ目は、露や、玉や、およそ声なく
言
(
ことば
)
なき世のそれらの、美しいものより美しく、歌よりも心が籠った。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
扨旅籠屋にて
年頃
(
としごろ
)
十七八ばかり田舍に稀なる女ありと心を
留
(
とめ
)
てみれば何か
見覺
(
みおぼ
)
え有る樣にて彼の女も傳吉を見て
不審
(
いぶかし
)
の
顏色
(
かほいろ
)
なりけるが
連
(
つれ
)
の男は湯に入らんと湯殿の方へ
到
(
いた
)
りし折節彼の女を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
拵えただけの事です(荻)フム成る程
爾
(
そう
)
かなア(大)全く爾です既に独楽が有たとして見れば此支那人には七八歳以上十二三以下の
児
(
こ
)
が有ます(荻)成る程爾だ(大)此証拠は是だけで先ず
留
(
とめ
)
て置きまして再び髪の毛の事へ帰ります
無惨
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
偖
(
さ
)
て申し続きました深見新吉は、お賤を連れて足かけ五年間の
旅中
(
たびちゅう
)
の
悪行
(
あくぎょう
)
でございまする、
不図
(
ふと
)
下総の塚前村と申しまする処の、観音堂の庵室に足を
留
(
とめ
)
る事に成りました。
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
大膚
(
おおはだ
)
脱
(
ぬ
)
ぎを
誰
(
たれ
)
一人目に
留
(
とめ
)
る者も無く、のさのさと
蟇
(
がま
)
の
歩行
(
あゆ
)
みに一町隣りの元大工町へ、ずッと入ると、火の番小屋が、あっけに取られた体に口を開けてポカンとして、散敷いた桜の路を
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
清「それ見ろ、
彼様
(
あんな
)
にいうのに
打様
(
うちよう
)
を覚えねえからだ、中の釘は
真直
(
まっすぐ
)
に打っても、上の釘一本をありに打ちせえすりゃア
留
(
とめ
)
の離れる
気遣
(
きづけ
)
えは
無
(
ね
)
いというのだ……杉の
堅木
(
かたぎ
)
か」
名人長二
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
和「これは何うも
留
(
とめ
)
ることは出来ぬなア、思い立ったら
遣
(
や
)
るが宜い」
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
と
留
(
とめ
)
るも
肯
(
き
)
かず、娘は泣いて身をもがき騒ぎまするに困り果て
塩原多助一代記
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
×「へえ……
私
(
わっち
)
ア、ガチャ
留
(
とめ
)
と申します」
政談月の鏡
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
留
常用漢字
小5
部首:⽥
10画
“留”を含む語句
立留
逗留
踏留
留置
小留
歌留多
繋留
停留場
留守中
滯留
御逗留
取留
引留
留針
長逗留
呼留
留金
抑留
三留野
突留
...