位牌と鼠いはいとねずみ
大正十二年の震災の時であった。幡ヶ谷に住んでいた三好七郎と云う人の許へ、荻原高三郎と云う知人が避難して来て、一月ばかり厄介になっていて他へ移って往ったが、移って往く時、 「大事の書類が入れてあるから、すまないが預っておいてもらいたい」 と云 …