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張裂
も
徹す
桑の
弓張裂胸を
押鎭め打果さでや置べきかと
裾短かに
支度を爲し既に一刀
佩さんて
出行んとする其の
折柄後ろの
襖を
渡し長八は立歸らんとするに
豫て
覺悟とは云ひながら
今更別れの
悲しさは
何に
譬んものもなく親子は
胸も
張裂ばかり
齒を
喰しばりて居たりしが
斯ては果じと長八は心を鬼に取なほし奉公大事に身を
余の
他愛なさに、
効無い
殺生は
留にしやう、と
発心をした
晩、これが
思切りの
網を
引くと、
一面城ヶ
沼の
水を
飜して、
大四手が
張裂けるばかり
縦に
成つて、ざつと
両隅から
高く
星の
空へ
影が
映して