何方いづこ)” の例文
よきに隨ひてきは格別、浮世の浪風さかしまに當りて、道のちまたの二筋にいざや何方いづこと决心の當時、不運の一あほりに炎あらぬ方へと燃えあがりては
暗夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
申にぞ越前殿其松五郎は何方いづこにありしやとのおたづねに右松五郎は先達さきだつ惡漢わるもの八五郎と申者召捕めしとられし時より何處へか逃去にげさり其後行方分らざるよし申立ければ越前守殿其八五郎とは先達さきだつて八丈島へ流罪るざい申付たるどろ八が事ならん其せつ泥八が申口にて相尋あひたづねし松五郎なる者行衞ゆくゑ知れず勿論もちろん其節ならば其方を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
男女の差別なきばかり幼なくて、何ごとの憂きもなく思慮もなく明し暮らす十五の冬、我れさへ知らぬ心の色を何方いづこの誰れか見とめけん、吹く風つたへて伯母君の耳にも入りしは
雪の日 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
意味いみそんするところ何方いづこぞやぼうとしてくらきわかのかげいとゞまよひはしげふばかりるゝよしそらつき心〻こゝろ/\はんじてれどいづ眞意しんいぞわきがたよろこぶべきかなげくべきかお八重やへはお八重やへ優子いうこ優子いうこはれなばくせんの决心けつしんたがひかたけれどおもひのほかなるかへしにはなにさだめてなにとせん未練みれん
五月雨 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
なにならんと小走こばしりしてすゝりつ一枝ひとえだ手折たをりて一りんしうりんれかざしてるも機嫌取きげんとりなりたがひこゝろぞしらず畔道あぜみちづたひ行返ゆきかへりてあそともなくくらとりかへゆふべのそら雲水くもみづそう一人ひとりたゝく月下げつかもん何方いづこ浦山うらやましのうへやと見送みをくればかへるかさのはづれ兩女ふたりひとしくヲヽとさけびぬ
五月雨 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)