何方どこ)” の例文
何方どこの蕎麦屋へでも早く往って大蒸籠おおぜいろか何かそう云って来な、駈け出して往って来い、コヽ跣足はだしで往け、へい申し旦那
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
敷台までも下りず突立ちながら、用事なら庫裡の方へ廻れ、と情無つれなく云ひ捨てゝ障子ぴつしやり、後は何方どこやらの樹頭に啼くひよの声ばかりして音もなく響きもなし。
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
背後うしろから若い武士が追って来る、行手には二人の武士がいる。何方どこへ走ろうかと躊躇したらしい。
剣侠 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
『オヤ野村さんぢやなくつて? マア何方どこいらつしやるの?』と女に呼掛けられた。
病院の窓 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
お前みたやうのが百人中間なかまに有たとてちつとも嬉しい事は無い、着きたい方へ何方どこへでも着きねへ、己れは人は頼まないほんの腕ッこで一度龍華寺とやりたかつたに、他処よそへ行かれては仕方が無い
たけくらべ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
ひやしてふるひ居たり此とき原田は三間町の虎松に向ひ其脇差わきざしの林藏より買取かひとりしに相違なきやと有に虎松ハイおほせの通りみぎ林藏の手よりかひ取しに相違御座りません原田これや林藏いま虎松が申す通り相違なきして其脇差は何方どこからかひ取た眞直まつすぐに申立よいつはると汝ぢがために成ぬぞとおどされ林藏はおそる/\手に取上て能々よく/\視畢みをはり成程此脇差は
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
まへみたやうのが百にん中間なかまあつたとてちつともうれしいことい、きたいはう何方どこへでもきねへ、れはひとたのまないほんうでッこで一龍華寺りうげじとやりたかつたに、他處よそかれては仕方しかた
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
『貴方お一人で何方どこへ?』
病院の窓 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)