何方いずれ)” の例文
蹌踉そうろうとして、座にも堪えないように立ち上って、何方いずれともなく出て行ってしまいました。
女記者の役割 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
と帽子を取って目深にかぶり、戸外おもてへ出づればかの男は、何方いずれへ行きけん影も無し。
活人形 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ふそくのむね、申すのよし言語ごんごどうだん、曲事くせごとに候が、何方いずれを相たずね候とも、また二たびは、求めがたきつまにもあれば、其許そこもとにも、おもおもしく、りん気などに立ち入りては然るべからず、ただし
日本名婦伝:太閤夫人 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
瀧「はい手前てまいでございますが、何方いずれからお出でゞす」
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)