何方どなた)” の例文
新「何方どなたですか此方こちらへお上りなさい、お客でも何でも有りませんよ、親類のもので………おい師匠お前ちょいとのお方を此方こっちへ」
松と藤芸妓の替紋 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
何方どなたにしても嘘とわかっているのにどうしてあんなに根こそげ欺されるのであろうと、さながらに魔術のように感ぜられるのであります。
鼻の表現 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
くちしてわたし我子わがこ可愛かあいいといふことまをしたら、さぞ皆樣みなさま大笑おほわらひをあそばしましやう、それは何方どなただからとて我子わがこにくいはありませぬもの
この子 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
東京の人が色々伝手つてを求めて無理にも疎開して来るのに、有島の一家の方たちが、沢山居られるのだから、何方どなたでも一人くらい来られたらどうか
小さい機縁 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
召しませぬか、さあさあ、これは阿蘭陀オランダトッピイ産の銀流し、何方どなたもお煙管きせるなり、おかんざしなり、真鍮しんちゅうあかがね、お試しなさい。
黒百合 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「これはおめづらしい。何方どなたかと思ひましたら、蒲田君に風早君。久くお目に掛りませんでしたが、いつもお変無く」
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
『ところで、何方どなたか紙を持つてませんかな? 俺は今までこらへて来たが………一寸皆さんに待つて貰つて。』
(新字旧仮名) / 石川啄木(著)
取落せり其の財布の中には命にも替難かへがたき金廿兩入置たれば若何方どなた御拾おひろひ成れし御方あらば何卒御渡し下されよとほろ/\涙をこぼしながら申しける故在合ありあふ人々きよう
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「この辺にゃ、誰も住んじゃいねえんですかい? ……ひどく荒れたところですな……こんなところは来たこともないが、旦那だんな、こりゃ何方どなたかの、地所内じしょうちですかい?」
墓が呼んでいる (新字新仮名) / 橘外男(著)
三千代みちよは其くらなかすはつて挨拶をした。始めはだれたのか、よくわからなかつたらしかつたが、代助のこえくや否や、何方どなたかと思つたら……と寧ろ低い声で云つた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
「御紹介状のない方には、何方どなたにもお目にかゝらないことにしてあるのですが、貴君あなた様を御信用申上げて、特別にお目にかゝるやうに仰しやいました。どうぞ、此方へ。」
真珠夫人 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
しかし今では川の様子が全くちがいまして、大川の釣は全部なくなり、ケイズの脈釣みゃくづりなんぞというものは何方どなたも御承知ないようになりました。ただしその時分でも脈釣じゃそう釣れない。
幻談 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
「ハイ、私が宇古木兵馬で、眼が惡いので、何方どなた樣か、よくわかりませんが——」
でも何方どなたの番地ですか目「何方ッてそれの人よ」と言掛て目科はたちまち詰り「えゝ己の様な疎匆そゝっかしい男が有うか、肝腎の名前まで忘れて仕舞ッた、えゝ何とかさんと言たッけよあの、 ...
血の文字 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
「ちょっとお尋ねしますが、ノズドゥリョフさんと仰っしゃるのは何方どなたですか?」
私は今年八十五歳になるのだが、我が専門の植物研究に毎日毎夜従事していて敢てく事を知らない。つまり植物学への貢献を等閑に附していないのだから、何方どなたにも御安心を願いたい。
「伺いますが、カフェーの女給を待つ要領って、何方どなたの要領でございますか?」
求婚三銃士 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
手前共では、もう何方どなたにも、一切そういうことは、しないようにして居るんですが、万一そういうことがあった場合には、私共女中がお立て換えをせねばならぬことになって居るんですから。
別れたる妻に送る手紙 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
真紀 あの時、何方どなたかに会ったあすこで。
みごとな女 (新字新仮名) / 森本薫(著)
「今、通ったのは何方どなたです」
西湖主 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
「あれは何方どなたですか。」
良寛物語 手毬と鉢の子 (新字旧仮名) / 新美南吉(著)
多「何方どなたさまかは知りませんが、何卒どうぞ放しておくんなせえ、生きて居られねえ深い義理にからまる身の上、何卒死なして下せい」
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
何方どなた、)と納戸なんどはうでいつたのはをんなぢやから、南無三宝なむさんばうしろくびにはうろこへて、からだゆかつてをずる/″\といてやうと、また退すさつた。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
『さあ、何方どなたなり一つ此栓を捻つて御覧なさい。』と、宛然さながら小学校の先生が一年生に教へる様な調子。二人は目と目で互に譲り合つてゐて、仲々手を出さぬので
天鵞絨 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
三千代はその暗い中に坐って挨拶あいさつをした。始めは誰が来たのか、よく分らなかったらしかったが、代助の声を聞くや否や、何方どなたかと思ったら……と寧ろ低い声で云った。
それから (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
天道樣てんたうさまかなどゝいふことが、わたし生意氣なまいきこゝろからばかりではありますまい、かならず、屹度きつと何方どなたのおくちからもれずにはりますまい、わたし自分じぶんすこしもわること
この子 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「御紹介状のない方には、何方どなたにもお目にかゝらないことにしてあるのですが、貴君様あなたさまを御信用申上げて、特別にお目にかゝるように仰しゃいました。どうぞ、此方こちらへ。」
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
もとより貴方あなたがお引受けなさる精神なれば、外の迷惑にはならんのですから、ほんの名義を借りるだけの話、それくらゐの事は朋友のよしみとして、何方どなたでも承諾なさりさうなものですがな。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
何方どなたですか? 木下さん? 未だお見えになりません」
負けない男 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
「何て顏をするんだ。——何方どなただか、名前を訊いたか」
真紀 (立上り)そう、何方どなた
みごとな女 (新字新仮名) / 森本薫(著)
何方どなた様でございましょう」
竇氏 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
駕「左様そうでげすか、オヤ/\/\成程居ない、気のせえおもてえと思ったと見える、成程何方どなたも入らっしゃいません、左様さようなら」
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「さ、ここへ入れ。」とかたわらに座をたまい、「婦人方の席へおれ一人孤城落日という処じゃ。や、何方どなた沸切にえきらぬ堅い談話はなしはまたの日するとして面白く談話はなそうではないか。なあ。」
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
何方どなた様も、玄関でお断りして居るのですが、秀一に訊いて見ますから。」
神の如く弱し (新字新仮名) / 菊池寛(著)
「いらっしゃいますが、何方どなたさまでございますか?」
好人物 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
何方どなたでも可うございます、御親友の内で一名」
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
何方どなたのお葬式でござる」
葬式の行列 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
「はあ。何方どなたに」
それから (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
森松「やアこれは/\何方どなたかと思ったら藤原様、どうも大層お立派で……おかや様も御一緒ですかうおいでゝございます」
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「お馴染様は、何方どなた様で……へへへ、つい、お見外みそれ申しましてございまして、へい。」
菎蒻本 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「神戸! 神戸つて、何方どなたにです?」
真珠夫人 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
「又ですか? 今度は何方どなたです?」
嫁取婿取 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
貴君あなた何方どなたですか」
悪僧 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
「はあ。何方どなたに」
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
婆「はい何方どなたでございます、巡礼どんかえ、修行者が銭を貰いに来たら銭を上げるがい、知ってる人が尋ねて来たかえ」
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
何方どなたぞ、御免ごめんなさい、)といつた。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「神戸! 神戸って、何方どなたにです?」
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
「お客さまは何方どなただい?」
嫁取婿取 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
「だあ、れ、何方どなた
一握の髪の毛 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)