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いづかた
明日より
何方へ行かむとするぞ。汝が魂、
何処にか在る。今までの生涯は夢なりしか。
現なりしか。まこと人の心に神も仏も無きものか。
恩ある
人は
二年目に
亡せて
今の
主も
内儀樣も
息子の
半次も
氣に
喰はぬ
者のみなれど、
此處を
死場と
定めたるなれば
厭とて
更に
何方に
行くべき
寶澤は
盜賊に
殺害されし
體に
拵らへ事十分
調ひぬと身は
伊勢參宮の
姿に
窶一先九州へ下り
何所にても足を止め
幼顏を
失ひて後に
名乘出んものと心は早くも定めたり
先大坂へ
出夫より
便船を