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何方
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どつち
ふりがな文庫
“
何方
(
どつち
)” の例文
『まァ、
大層
(
たいそう
)
悦
(
よろこ
)
んでること』
愛
(
あい
)
ちやんは
然
(
さ
)
う
思
(
おも
)
つて
猶
(
な
)
ほも
言
(
い
)
ひ
續
(
つゞ
)
けました。『
教
(
をし
)
へて
頂戴
(
てうだい
)
な、ね、
私
(
わたし
)
は
此處
(
こゝ
)
から
何方
(
どつち
)
へ
行
(
い
)
けば
可
(
い
)
いの?』
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
又
何方
(
どつち
)
が負けたにした所で、
真
(
しん
)
が
勢
(
いきほひ
)
を失ふといふ事にもならず、美が
輝
(
かゞやき
)
を減ずるといふ
羽目
(
はめ
)
にも陥る危険はないぢやありませんか
点頭録
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
何方
(
どつち
)
を
向
(
む
)
いたツて、人の影が一つ見えるのではない。
何處
(
どこ
)
までも
眞
(
ま
)
ツ
暗
(
くら
)
で、其の中に
其處
(
そこ
)
らの流の音が、夜の
秘事
(
ひめごと
)
を
私語
(
ささや
)
いてゐるばかり。
水郷
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
何だべえせえ、自分の
居
(
を
)
ツ
家
(
とこ
)
が
然
(
そ
)
でなかつたら
具合
(
ぐあえ
)
が悪かんべえが?
然
(
そ
)
だらハア、
俺
(
おら
)
ア酒え飲むのさ邪魔さねえば、
何方
(
どつち
)
でも
可
(
い
)
いどら。
赤痢
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
無暗に豪傑振つて女を軽蔑したがるくせに高が
売女
(
ばいぢよ
)
の一
顰
(
びん
)
一笑に喜憂して鼻の下を伸ばす先生方は、
何方
(
どつち
)
かといふと却て女の
翫弄物
(
ぐわんろうぶつ
)
だ子。
犬物語
(新字旧仮名)
/
内田魯庵
(著)
▼ もっと見る
「君、つかん事を訊くやうだが、
姑蘇
(
こそ
)
城外の蘇の字だね、あれは
艸冠
(
くさかむり
)
の下の
魚
(
うを
)
と
禾
(
のぎ
)
とは
何方
(
どつち
)
に書いた方がほんとうだつたかな。」
茶話:05 大正八(一九一九)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
さうかと云つて
何方
(
どつち
)
をどうすることも出来ず、陰で心配するばかりで、何の役にも立たないながら、これでなかなか苦いのは私の身だよ。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
一体
何方
(
どつち
)
が悪いのだらう。あゝわれは心ならずも己が家の人々とも意志疎通せざるか、「嘆かふ心、嘆かむにもよしなし……」であります。
青白き公園
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
鳥屋
(
とや
)
は
小鳥
(
ことり
)
を
捕
(
と
)
るために
造
(
つく
)
つてある
小屋
(
こや
)
のことです。
何方
(
どつち
)
を
向
(
む
)
いても
山
(
やま
)
ばかりのやうなところに、その
小屋
(
こや
)
が
建
(
た
)
てゝあります。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
「百萬兩の嫁に望まれただけあつて、良い娘でしたよ。お
品
(
ひん
)
がよくて、
優
(
やさ
)
しさうで、あつしなら、百萬兩とあの娘と、
何方
(
どつち
)
を取ると言はれたら」
銭形平次捕物控:295 万両息子
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
さうした惱ましげな
何方
(
どつち
)
からも切り出せないやうな重い二分ばかりの時間がつづいたあとに、殆んど音もけはひもなく、また少しの重みもない或る瞬間
蒼白き巣窟
(旧字旧仮名)
/
室生犀星
(著)
何方
(
どつち
)
かといへば場末の土地の名を、本の表題にするのは面白くないやうな氣がしたが、今になつて考へてみると
貝殻追放:015 「末枯」の作者
(旧字旧仮名)
/
水上滝太郎
(著)
母の手から貰つて横に糸で
結
(
ゆは
)
へ附けてある鍵で箱の中を
開
(
あけ
)
やうとするのであつたが、金具は通つて来た
海路
(
かいろ
)
の風の塩分で腐蝕して鍵が
何方
(
どつち
)
へも廻らない。
帰つてから
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
入勝橋
(
にふしようけう
)
から
福渡戸
(
ふくわと
)
に行くあたりは、殊にすぐれてゐる。しかし、箒川の谷は
何方
(
どつち
)
かと言へば女性的である。奔湍急瀬の壯よりも、寧ろ清淺晶玉の美である。
日光
(旧字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
「けれど姉さん、
何方
(
どつち
)
かへ
嫁
(
ゆ
)
くとお
定
(
き
)
めなさらねばならんでせう、両方へ嫁くわけにはならないんだもん」
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
何方
(
どつち
)
へ行つても、見覺えた道へは出られなくつて、まご/\してゐるうちに、足は疲れて眠くもなつて、木の根に
躓
(
つまづ
)
いて
打倒
(
ぶつたふ
)
れたまゝ、前後も知らず眠つてしまつた。
雨
(旧字旧仮名)
/
正宗白鳥
(著)
東京市の河流は其の江湾なる
品川
(
しながは
)
の
入海
(
いりうみ
)
と共に、さして
美
(
うつく
)
しくもなく大きくもなく又さほどに繁華でもなく、誠に
何方
(
どつち
)
つかずの極めてつまらない景色をなすに過ぎない。
水 附渡船
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
それで澤山な報酬が得られる仕事とでも云ふのなら
宜
(
い
)
いけれ共、海とも山とも付かない不安な
界
(
さかい
)
へ又踏み込んで行つて、結局は
何方
(
どつち
)
へ
何
(
ど
)
う向き變つて行くか分らないと云ふ始末を思ふと
木乃伊の口紅
(旧字旧仮名)
/
田村俊子
(著)
何方
(
どつち
)
へ
行
(
い
)
つても
最
(
も
)
う
造作
(
ざうさ
)
ア
有
(
あ
)
りません、
直
(
ぢ
)
きですよ。岩「それでも
極楽
(
ごくらく
)
は十
萬
(
まん
)
億土
(
おくど
)
だと
云
(
い
)
ふぢやアないか。重「
其処
(
そこ
)
に
停車場
(
ステンシヨン
)
が
有
(
あ
)
りますから、
汽車
(
きしや
)
に乗れば、すうツと
直
(
ぢ
)
きに
行
(
い
)
かれますよ。 ...
明治の地獄
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
此處
(
こゝ
)
で
死
(
し
)
ぬものか、
死
(
し
)
なないものか、
自分
(
じぶん
)
で
判斷
(
はんだん
)
をして、
活
(
い
)
きると
思
(
おも
)
へば
平氣
(
へいき
)
で
可
(
よ
)
し、
死
(
し
)
ぬと
思
(
おも
)
や
靜
(
しづか
)
に
未來
(
みらい
)
を
考
(
かんが
)
へて、
念佛
(
ねんぶつ
)
の
一
(
ひと
)
つも
唱
(
とな
)
へたら
何
(
ど
)
うぢや、
何方
(
どつち
)
にした
處
(
ところ
)
が、わい/\
騷
(
さわ
)
ぐことはない。
旅僧
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
これでは
何方
(
どつち
)
が
病人
(
びやうにん
)
か
分
(
わから
)
なくなつた。
自分
(
じぶん
)
も
斷念
(
あきら
)
めて
眼
(
め
)
をふさいだ。
湯ヶ原ゆき
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
道臣は先づ東の門前の水茶屋の軒下に立つて、
何方
(
どつち
)
へ行つたものかと考へた。水茶屋の戸は堅く締つて、雨風に
晒
(
さら
)
らされた黒い板のところ/″\に新らしく
繕
(
つくろ
)
はれた痕が、白く浮き上つて見えてゐた。
天満宮
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
「お嬢様!
何方
(
どつち
)
へ
行
(
い
)
らつしやるのでございます?」
真珠夫人
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
何方
(
どつち
)
の方へ逃げてつた
都会と田園
(新字旧仮名)
/
野口雨情
(著)
『
何方
(
どつち
)
もモウ背許り延びてカラ役に立ちませんので、……電信柱にでも売らなけや一文にもなるまいと申してゐますんで。ホホヽヽヽ。』
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
「猛烈には
働
(
はた
)
らけるかも知れないが誠実には
働
(
はた
)
らき
悪
(
にく
)
いよ。
食
(
く
)
ふ
為
(
ため
)
の
働
(
はた
)
らきと云ふと、つまり
食
(
く
)
ふのと、
働
(
はた
)
らくのと
何方
(
どつち
)
が目的だと思ふ」
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
『どれ、
第一
(
だいいち
)
の
歩調
(
ほてう
)
をやつて
見
(
み
)
よう!』と
海龜
(
うみがめ
)
がグリフォンに
云
(
い
)
ひました。『
蝦
(
えび
)
がなくても
出來
(
でき
)
るだらう、
何方
(
どつち
)
が
歌
(
うた
)
はう?』
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
「それは
何方
(
どつち
)
だツて
可
(
よ
)
うございますけれども、私は何も自分から進むで
貴方
(
あなた
)
と御一緒になツたのぢやございませんから、
何
(
ど
)
うぞ其のお
積
(
つもり
)
でね。」
青い顔
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
「
何方
(
どつち
)
が性悪なんでせう、もしか仰有る通り、貴方が私にお惚れなすつたのだつたら、あの女の
方
(
かた
)
を
追駈
(
おつか
)
けはなさらなかつた筈ぢやなくつて。」
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
お妙を殺したのは、二人のうちの、
何方
(
どつち
)
でもないよ。二人は何處へも行かずに、あのもとの岡崎屋跡の小屋へ歸るのだ。
銭形平次捕物控:315 毒矢
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
厭
(
いや
)
になつたら何時でも
左様
(
さやう
)
ならをキメるまでサ——
大洞
(
おほほら
)
さんもサウ
仰
(
おつ
)
しやるんだよ、決して長くとは言はない、
露西亜
(
ロシヤ
)
の
戦争
(
いくさ
)
が
何方
(
どつち
)
とも
定
(
き
)
まるまでの所、
厭
(
いや
)
でもあらうが花ちやんに
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
何方
(
どつち
)
も本当ではあるが、しかし何方も主観に偏つたセンチメンタルな見方で、不動不変な自然は、心理は、愛はまだその一段上に位置して、大きな
不壊
(
ふえ
)
なリズムを刻みつゝあるのである。
自からを信ぜよ
(新字旧仮名)
/
田山花袋
、
田山録弥
(著)
「ぢや
何方
(
どつち
)
にするのさ!」繁代は焦れた。「妾は行つたつていゝのよ。」
眠い一日
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
「黙つといで——黙つといで——学校の先生と大将と
何方
(
どつち
)
が強い?」
出発
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
「ですから、まあ、
何方
(
どつち
)
へいらつしやつたのかと思ひまして……」
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
「そして、
八田潟
(
はつたがた
)
の
鮒
(
ふな
)
と
戰
(
いくさ
)
をしたら、
何方
(
どつち
)
が
勝
(
か
)
つ?……」
霰ふる
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
『アリヨルと
何方
(
どつち
)
が大きい。』
帰つてから
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
何方
(
どつち
)
へ
行
(
い
)
つたら
宜
(
よ
)
からう。
明治の地獄
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
何方
(
どつち
)
かにしなければ生活の意義を失つたものと
等
(
ひと
)
しいと考へた。其他のあらゆる
中途半端
(
ちうとはんぱ
)
の方法は、
偽
(
いつはり
)
に
始
(
はじま
)
つて、
偽
(
いつはり
)
に
終
(
おは
)
るより
外
(
ほか
)
に道はない。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
自分の
居
(
を
)
ツ
家
(
とこ
)
が
然
(
そ
)
でなかつたら具合が惡かんべえが? 然だらハア、俺ア酒え飮むのさ邪魔さねえば、
何方
(
どつち
)
でも可いどら。
赤痢
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
可
(
い
)
いさ、
俺
(
おれ
)
もそりや
何方
(
どつち
)
だツて
可
(
い
)
いさ。
雖然
(
けれども
)
是
(
これ
)
だけは
自白
(
じはく
)
して置く。俺はお前の
肉
(
にく
)
を
吟味
(
ぎんみ
)
したが、心は
吟味
(
ぎんみ
)
しなかツた。
青い顔
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
庭の植込を
潜
(
くゞ
)
れば別ですが、廊下傳ひに來るには、お勝手か旦那樣の部屋の前か、
何方
(
どつち
)
かを通らなきやなりません。
銭形平次捕物控:256 恋をせぬ女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
然
(
しか
)
し金子堅太郎と高田実と
何方
(
どつち
)
が人間らしい仕事をしたかといふ段になると、誰でもが高田の方へ
団扇
(
うちは
)
をあげる。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
『
若
(
も
)
しそれが
大
(
おほ
)
きくなつたら』と
獨語
(
ひとりごと
)
を
云
(
い
)
つて、『
隨分
(
ずゐぶん
)
醜
(
みにく
)
い
子供
(
こども
)
になるでせう、けど、
何方
(
どつち
)
かと
云
(
い
)
へば
大人
(
おとな
)
しい
豚
(
ぶた
)
よ』
云
(
い
)
つて
愛
(
あい
)
ちやんは、
豚
(
ぶた
)
にでもなりさうな
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
世の係累を
暫
(
しば
)
し戦ひの
巷
(
ちまた
)
に
遁
(
のが
)
れやうとしたか、それともまだ妻子の
為
(
た
)
めに成功の道を求めやうとしたか、それは
何方
(
どつち
)
であるか
解
(
わか
)
らぬが、
兎
(
と
)
に
角
(
かく
)
自
(
みづ
)
から進んで
此
(
この
)
地に
遣
(
や
)
つて来たことは事実である。
父の墓
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
斯の子供の「
何方
(
どつち
)
が強い」には娘達はさん/″\弱らせられて居る。
出発
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
何方
(
どつち
)
がほんとの自分であるか解らなくなつてしまふ時がある……。
鏡地獄
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
「
蛙
(
かはづ
)
は
何方
(
どつち
)
の
味方
(
みかた
)
をする。」
霰ふる
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
又
(
また
)
其前
(
そのまへ
)
に
改革
(
かいかく
)
か
淘汰
(
たうた
)
が
行
(
おこな
)
はれるに
違
(
ちがひ
)
ないといふ
噂
(
うはさ
)
に
思
(
おも
)
ひ
及
(
およ
)
んだ。さうして
自分
(
じぶん
)
は
何方
(
どつち
)
の
方
(
はう
)
へ
編入
(
へんにふ
)
されるのだらうと
疑
(
うたが
)
つた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
社長は
何方
(
どつち
)
かと云へば因循な人であるけれど、資本
主
(
ぬし
)
から迫られて、社の創業費を六百円近く
着服
(
ちよろまか
)
したと云ふ主筆初め二三の者を追出して了つた。
病院の窓
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
何
常用漢字
小2
部首:⼈
7画
方
常用漢字
小2
部首:⽅
4画
“何方”で始まる語句
何方様
何方付
何方側
何方樣
何方迄