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何方
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どっち
ふりがな文庫
“
何方
(
どっち
)” の例文
「元来豪傑気取のところへ、勲章を貰ってから
誇大妄想
(
こだいもうそう
)
が手伝っています。西郷どんとガラマサどんと
何方
(
どっち
)
だろうなんて言いますよ」
ガラマサどん
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
最初果し合いに持出した徳利には、二本共南蛮物の毒薬を仕込み、大井久我之助は
何方
(
どっち
)
を取っても、助からないように仕組んだのだ。
銭形平次捕物控:237 毒酒薬酒
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
蛇行していれば、
何方
(
どっち
)
から出て来て突当ろうとしても、何等自分の威厳を傷つけられた風に見せずに、身をかわして了えるからだっだ。
黒い地帯
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
舞台の芸に心を刻み、骨を砕き、ひたすら、一流を立て抜こうとする芸人と、押し借り
強請
(
ゆすり
)
の悪浪人と、
何方
(
どっち
)
が恥ずべき境涯なのだ——
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
その頃はお政も
左様
(
さよう
)
さネと生返事、
何方
(
どっち
)
附かずに
綾
(
あや
)
なして月日を送る内、お勢の
甚
(
はなは
)
だ文三に親しむを見てお政も
遂
(
つい
)
にその気になり
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
▼ もっと見る
彼れが気がついた時には、
何方
(
どっち
)
をどう歩いたのか、昆布岳の下を流れるシリベシ河の河岸の丸石に腰かけてぼんやり
河面
(
かわづら
)
を眺めていた。
カインの末裔
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
けれども三千代と最後の会見を遂げた今更、父の意に
叶
(
かな
)
う様な当座の孝行は代助には出来かねた。彼は元来が
何方
(
どっち
)
付かずの男であった。
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
侍「まゝ黙ってお聞き、そう先走られると
何方
(
どっち
)
が話すのだか分らん、山賊が
団楽坐
(
くるまざ
)
になっていたのではない、一軒の
白屋
(
くずや
)
があった」
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
何分時間が早いので一応
雷門
(
かみなりもん
)
の牛屋に上りまして鍋をつっ突き酒を加え乍ら、
何方
(
どっち
)
方面の女にしようかと目論見を立てる事に致しました。
陳情書
(新字新仮名)
/
西尾正
(著)
「黙っといで。黙っといで」と泉太は父の言葉を
遮
(
さえぎ
)
るようにした。「節ちゃん、好いことがある。お
巡査
(
まわり
)
さんと兵隊さんと
何方
(
どっち
)
が強い?」
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
何方
(
どっち
)
が負けそうなと
云
(
い
)
う事は双方の
顔色
(
かおいろ
)
を見て
能
(
よ
)
く
分
(
わか
)
るから、勝つ方の手を誉めて負ける方を悪くさえ云えば間違いはない。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
実を云うと、同じ救護船浦島丸の無電技師で川本順吉という友達と、
何方
(
どっち
)
が先に流血船の真相探険をするか、もう五週間も前から賭けをしていた。
流血船西へ行く
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
妙なものでこう
決定
(
きま
)
ると、サアこれからは長谷川と高山の競争だ、お梅さんは
何方
(
どっち
)
の物になるだろうと、大声で
喋舌
(
しゃべ
)
る
馬面
(
うまがお
)
の若い連中も出て来た。
富岡先生
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
支那の政府が変ったばかりでこれから
何方
(
どっち
)
を向くかわからないことだし、直接商売に関係のあることですものねえ……。
女の一生
(新字新仮名)
/
森本薫
(著)
「ドニメ」と私は
厳
(
いかつ
)
い声で「少しお前に訊きたいものだ。今から丁度二十日程前だ、ボヘミアの奴等が来ただろう?
其奴
(
そいつ
)
等
何方
(
どっち
)
へ突っ走った?」
西班牙の恋
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
何方
(
どっち
)
かと云うと速口な、然し聞とり易い落付いたアルトの声で、全心を注ぎ、講義された俤が、今に髣髴としている。
弟子の心
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
太吉は、母に向って
何方
(
どっち
)
の町へ行くのかと聞こうかと思ったが、母が直に帰って来るといったので、別に聞かなくともいいと思い返した。而してただ
越後の冬
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
殉死か、討死か、
何方
(
どっち
)
を向いても死の策だったものが、開城と一決して、幾日でもここに生きのびられる欣びだろうかといえば、決してそうではない。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
我々もこうして
暢気
(
のんき
)
に遊び歩いていても、二人の
中
(
うち
)
の
何方
(
どっち
)
かは運命の頸環に見放された野犬であるかも知れない。
一日一筆
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
われわれは
何方
(
どっち
)
も若かったのです。女は、その時分、二十も年上の男と無理強いに結婚をさせられていました。
麻酔剤
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
何方
(
どっち
)
かこの東京を去らなくってはならん。この東京を去るということに就いては、君が先ず去るのが至当だ。何故かと
謂
(
い
)
えば、君は芳子の後を追うて来たのだから
蒲団
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
甲市人 マーキューシオーを
殺
(
ころ
)
した
奴
(
やつ
)
は
何方
(
どちら
)
へ
逃
(
に
)
げました?
人殺
(
ひとごろ
)
しのチッバルトは
何方
(
どっち
)
へ
逃
(
に
)
げました?
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
兎角
(
とかく
)
する中に慶三もお千代も
何方
(
どっち
)
からが手を出すとも知れず、二人は真暗な中に互に手と手をさぐり合うかと思うと、
相方
(
そうほう
)
ともに狂気のように猛烈な力で抱合った。
夏すがた
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
たゞごとでないと思うと急に
嫉
(
ねた
)
ましいような心持が加わり、小歌のことか婢のことか、小歌のことらしくない、婢のことらしくない、それでも
何方
(
どっち
)
かのことだとして見ると
油地獄
(新字新仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
此方
(
こちら
)
の不足を言うのも理窟があるが、向うにもやはり理窟があって、五分五分の理窟であるから、
何方
(
どっち
)
が良いかということは、第三者でなければ判決が出来ぬという訳である。
平和事業の将来
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
女の境遇や住宅を
捜
(
さぐ
)
り出そうと云う気は少しもなかったが、だんだん時日が立つに従い、私は妙な好奇心から、自分を乗せた俥が果して東京の
何方
(
どっち
)
の方面に二人を運んで行くのか
秘密
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
二人の少年は組んずほぐれつやっていたが、力が合っているのか
何方
(
どっち
)
も倒れない。
庭の怪
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
...
和女
(
おまえ
)
が考えても解るだろう、今までのようなお
粥
(
かゆ
)
や
重湯
(
おもゆ
)
を食べさせるのとこんなスープを食べさせるのと
何方
(
どっち
)
が身体にきくだろうか」下女「それはモーお粥なんぞは
足元
(
あしもと
)
へも
追付
(
おっつ
)
きません」
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
...
何方
(
どっち
)
にしても私は——」余「ですが、誰が貴女を父上の室へ入れません」秀子
幽霊塔
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
そして、従来
神田
(
かんだ
)
明神とか、
根津権現
(
ねづごんげん
)
とかいったものは、神田神社、根津神社というようになり、
三社
(
さんじゃ
)
権現も浅草神社と改称して、神仏
何方
(
どっち
)
かに方附けなければならないことになったのである。
幕末維新懐古談:31 神仏混淆廃止改革されたはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
何方
(
どっち
)
が善で、何方が悪か、誰が判る? 所詮は、武士というものの辛さだ
南国太平記
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
「お寺もおうちも
何方
(
どっち
)
もいいの。でも両方にいるような気がするの。」
幼年時代
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
暫らく紳士的に争った末、
何方
(
どっち
)
からともなく半分ずつ出し合うことに妥協した。フリント君の三十弗に自分の三十弗を合わせて、忌々しそうに青年へ渡すと、引換えに、紳士は問題の時計を受取った。
夜汽車
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
「そして、八田潟の鮒と
戦
(
いくさ
)
をしたら、
何方
(
どっち
)
が勝つ?……」
霰ふる
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「お前たちは、
何方
(
どっち
)
へこの駕籠を持って行くつもりじゃ」
大菩薩峠:21 無明の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「お嬢様!
何方
(
どっち
)
へ行らっしゃるのでございます?」
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
「困ったね、
何方
(
どっち
)
にしても。どうする君は?」
白蛇の死
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
何方
(
どっち
)
でも
関
(
かま
)
わん。おれは
臥
(
ね
)
る……
四日間
(新字新仮名)
/
フセヴォロド・ミハイロヴィチ・ガールシン
(著)
ナカナカ
然
(
そ
)
うは言えないよ。この鉄瓶と銅壷を見ても分るが、如何にも調和が好い。
何方
(
どっち
)
にも苦情はないようだ。円満な夫婦らしい。
親鳥子鳥
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
「煙哨の匂いがひどかったと聴いたもので、——ところで、弾丸は
何方
(
どっち
)
から撃ち込んだものです。右ですか、それとも左ですか」
銭形平次捕物控:297 花見の留守
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「猛烈には働らけるかも知れないが誠実には働らき悪いよ。食う為の働らきと云うと、つまり食うのと、働らくのと
何方
(
どっち
)
が目的だと思う」
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
それとも私が人間でなくなるのか? ……
何方
(
どっち
)
だか其は分らんが、兎に角互の熱情熱愛に、
人畜
(
にんちく
)
の
差別
(
さべつ
)
を
撥無
(
はつむ
)
して、渾然として一
如
(
にょ
)
となる。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
文「いや待てよ、
何処
(
どこ
)
の島へ
往
(
ゆ
)
くのか知らぬが、磁石も無ければ
的
(
まと
)
もない、
何方
(
どっち
)
の方へ往く所存か知らん、困ったものだ」
後の業平文治
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
節子と彼と、二人の中の
何方
(
どっち
)
か一人が死ぬより外に仕方が無いとまで考えて来たその時までの身の行詰りを思って見た。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
正月元日の朝、年礼に出掛けた時に、葬礼に逢うと鶴を台に戴せて
担
(
かつい
)
で来るのを見ると
何方
(
どっち
)
が
宜
(
よ
)
いかと云うから、私は
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
此
(
ここ
)
に
忽
(
たちま
)
ち掴み
合
(
あい
)
が始まった、上になり下になり、
互
(
たがい
)
に転げて挑み争う
中
(
うち
)
に、
何方
(
どっち
)
が先に足を滑らしたか知らず、二人は固く
引組
(
ひっく
)
んだままで、
傍
(
かたえ
)
の深い谷へ転げ
墜
(
お
)
ちた。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
何方
(
どっち
)
に変るか自分でも分らないような気分が
驀地
(
まっしぐら
)
に悪い方に傾いて来た。気を腐らせれば腐らすほど彼れのやまは外れてしまった。彼れはくさくさしてふいと座を立った。
カインの末裔
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
東京市の河流はその江湾なる
品川
(
しながわ
)
の
入海
(
いりうみ
)
と共に、さして美しくもなく大きくもなくまたさほどに繁華でもなく、誠に
何方
(
どっち
)
つかずの極めてつまらない景色をなすに過ぎない。
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
この
老猫
(
おいねこ
)
と老嬢は、お互いに理解し合っていた。
何方
(
どっち
)
もこうした隠者くさい生活が好きで、長い夏の午後なんか、鎧戸を閉めて、
窓布
(
リドオ
)
をおろした
室
(
へや
)
の中に
寂然
(
ひっそり
)
と引籠っていた。
老嬢と猫
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
けれど
何方
(
どっち
)
かといえば無愛想な、構わぬ人であった。或時には冷たく見えたのは事実だ。
点
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
何
常用漢字
小2
部首:⼈
7画
方
常用漢字
小2
部首:⽅
4画
“何方”で始まる語句
何方様
何方付
何方側
何方樣
何方迄