“初時雨”の読み方と例文
読み方割合
はつしぐれ100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
初時雨はつしぐれと云うのだろう。豆腐屋とうふやの軒下に豆をしぼった殻が、山のようにおけにもってある。山のいただきがぽくりと欠けて四面から煙が出る。風に連れて煙は往来へなびく。
野分 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
番組は「鶴亀つるかめ」、「初時雨はつしぐれ」、「喜撰きせん」で、末にこのみとして勝三郎と仙八とが「狸囃たぬきばやし」を演じた。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
次第にその終焉しゆうえんが近づいて来ると——忘れもしない初時雨はつしぐれの日に、自ら好んだ梨の実さへ、師匠の食べられない容子を見て、心配さうに木節が首を傾けた、あの頃から安心は追々不安にまきこまれて
枯野抄 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)