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廓
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さと
ふりがな文庫
“
廓
(
さと
)” の例文
廓
(
さと
)
に
馴
(
な
)
れた
吾妻下駄
(
あずまげた
)
、かろころ
左褄
(
ひだりづま
)
を取ったのを、そのままぞろりと青畳に敷いて、
起居
(
たちい
)
に
蹴出
(
けだ
)
しの水色
縮緬
(
ちりめん
)
。伊達巻で素足という芸者家の
女房
(
おんなあるじ
)
。
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「いや、狂人ならとにかく、正気を持ちながら、毎日、
廓
(
さと
)
や盛り場で、喧嘩をしては、狂人ほど人間を斬る奴。町方も、ちと持てあましておる男で」
無宿人国記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
用心棒に買い占めなはって、三日にあげずこの
廓
(
さと
)
をわがもの顔に荒し廻っていやはりますさかい、誰もかれも、みなえらい迷惑しているのでござります
旗本退屈男:04 第四話 京へ上った退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
「いや艶めかしい
廓
(
さと
)
言葉と白無垢鉄火の
強白
(
こわせりふ
)
、
交替
(
かたみがわり
)
に使われちゃどうにも俺ら手が出ねえ。一体お
前
(
めえ
)
は何者だね?」
村井長庵記名の傘
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
あの細君が時々
廓
(
さと
)
言葉か何か使ひ乍らも大いに世話女房がられると、十風は又十風で、あまり男振りはえゝ方では無いが、併しあれで却〻意氣でやすてい。
俳諧師
(旧字旧仮名)
/
高浜虚子
(著)
▼ もっと見る
この
噂
(
うわさ
)
が程遠からぬ吉原の
廓
(
さと
)
へ響くと、吉原の有志は、どう考えたものか、ぜひ道を
枉
(
ま
)
げて、その一隊に吉原へ繰込んでいただきたいという交渉であります。
大菩薩峠:20 禹門三級の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
迷信のつよい
廓
(
さと
)
の女は身の毛がよだって早々に帰って来た。しかし綾衣にむかって正直に天機を洩らすのを
憚
(
はばか
)
って、今度の病気だけのうらないを報告しておいた。
箕輪心中
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
しかもそうした
堅気
(
かたぎ
)
の士族出が、社会の最暗黒面である
廓
(
さと
)
近くに住居して、場末の下層級の者や、流れ寄った諸国の
喰詰
(
くいつ
)
めものや、そうでなくても
闇
(
やみ
)
の女の
生血
(
いきち
)
から絞りとる
樋口一葉
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
お客へは出ないという書附を伊之助と取合った仲でございます事がぱッと致しますと、
芸妓
(
げいしゃ
)
幇間
(
たいこ
)
に
仕着
(
しきせ
)
も出さなければならず、
総羽織
(
そうばおり
)
を出すと云うので、
廓
(
さと
)
の金には詰るが習い
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
障子の外から、まだ
廓
(
さと
)
言葉をそのまゝの、お菊の声が聞えた。
曲亭馬琴
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
この
廓
(
さと
)
は
燈火
(
ともしび
)
紅
(
あか
)
し草臥れて雪どけの道を行けばひもじき
海阪
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
茲に又
駿府
(
すんぷ
)
の
加番衆
(
かばんしゆ
)
松平玄蕃頭殿の
家來
(
けらい
)
に石川安五郎と云ふ
若侍士
(
わかざむらひ
)
ありしが駿府二丁目の小松屋の
抱
(
かゝ
)
へ遊女
白妙
(
しろたへ
)
が
許
(
もと
)
へ通ひ互ひに深くなるに付
廓
(
さと
)
の金には
迫
(
つま
)
るの習ひ後には
揚代金
(
あげだいきん
)
も
滯
(
とゞこ
)
ほり
娼妓
(
しやうぎ
)
が
櫛笄
(
くしかうがひ
)
衣類
(
いるゐ
)
までも
無
(
なく
)
しての立引に
毎晩
(
まいばん
)
通ひ居たりしが
早晩
(
いつしか
)
二階を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
喧嘩や斬合いは、この
廓
(
さと
)
の年中行事。別に珍らしいほどでもないが、夜と違って朝ッぱらの血まみれ騒ぎ、真っ黒になってワラワラと駈け集まった。
鳴門秘帖:02 江戸の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
自分も初めてこの
廓
(
さと
)
へ身を沈めた当座は、意地の悪い朋輩にいじめられて、蔭で泣いたこともたびたびあった。いっそ死んでしまいたいように思ったこともあった。
心中浪華の春雨
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
廓
(
さと
)
の名物を失ったといって、嘆息しない者はなかったが、名物といえば江戸名物の紅白縮緬組もそれ以来パッタリ市中へ出ないようになって、次第に噂も消えて行った。
紅白縮緬組
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
故あってこの
廓
(
さと
)
に身を沈めましたので、そのよしみを辿ってお杉の方様が、手前にあのような
偽
(
にせ
)
の手紙を遣わしまして、まんまとこのような淫らがましいところへ
誘
(
いざな
)
い運び
旗本退屈男:01 第一話 旗本退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
かえってこの
廓
(
さと
)
にいるよりは勝手であるとの事情が唯一の理由となっているようです。
大菩薩峠:19 小名路の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
その
廓
(
さと
)
の
権者
(
きれもの
)
が日影者になったのだから、吉原の動揺は一通りではなかったろう。
旧聞日本橋:16 最初の外国保険詐欺
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
この
傭
(
やとい
)
にさえ、弦光法師は配慮した。……俥賃には足りなくても、安肉四半斤……二十匁以上、三十匁以内だけの料はある。竹の皮包を土産らしく提げて帰れば、
廓
(
さと
)
から
空腹
(
すきばら
)
だ、とは思うまい。
薄紅梅
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「もう、心配おしでない。吉野様がお声をかけて下さりさえすれば、この
廓
(
さと
)
で通らぬことはないのだから」
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
まだ
廓
(
さと
)
なれないお前が
不憫
(
ふびん
)
さに、暇さえあればここへ来て、及ばぬながら力にもなってやったが、侍は御奉公が大切、お供にはずれていつまでもここに逗留は思いも寄らぬことだ。
鳥辺山心中
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
兵馬はこの
廓
(
さと
)
へ出入りするごとに、往来の人の姿に注意を払っていないことはない。
大菩薩峠:18 安房の国の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「何んだ打ち込んだ。いい
白
(
せりふ
)
だ。島原仕込みの
廓
(
さと
)
言葉、滅法仇っぽく聞こえるなあ」
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
河岸は
不漁
(
しけ
)
で、香のある
鯛
(
たい
)
なんざ、
廓
(
さと
)
までは廻らぬから、次第々々に
隙
(
ひま
)
にはなる、融通は利かず、寒くはなる、また暑くはなる、
年紀
(
とし
)
は取る、手拭は染めねばならず、夜具の皮は買わねばならず
葛飾砂子
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
廓
(
さと
)
から根びきした後も、色恋はべつとして、あの女にはずいぶん金をかけていたようだから、腹の立つのはもっともだが、誰にも、ひょッと気まぐれというやつはあるもの。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
廓
(
さと
)
の金にはつまるが慣い! こんな格言が世にはあるが、案外あたっていない。遊びの金というものは、容易に詰まるものではない。どうぞして女と逢いたいものだ! が、残念金がない。
任侠二刀流
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
隱さうとしても
廓
(
さと
)
の訛りがつい出てならぬ。堪忍してくださんせ。
箕輪の心中
(旧字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
文字どおり緑林の一
点紅
(
てんこう
)
、噂によれば、
廓
(
さと
)
から根びきした金の出し
人
(
て
)
は日本左衛門だということですが、元々どっちも変り者、どうせ世間通例のお
妾
(
めかけ
)
でお粂が納まっているはずもなく
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
しょう様とは、大高源吾、たんすい様とは村松三太夫、すけ様とは
富森助右衛門
(
とみのもりすけえもん
)
、しげ様とは、即ちかくいう十内、又、伜幸右衛門は、ほぼたん様と呼ばれての、なかなか、
廓
(
さと
)
では
妓
(
おんな
)
にもておる
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
欲には目もないのが
廓
(
さと
)
の
慣
(
なら
)
わし。わけてここのご内緒ときては、強欲の名が高い。おかみはさっそく、李師々をよんで、燕青にひきあわせ、李師々はまた、品よくおかみのはなしを聞き終って
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
あだめいた女がさす櫛とさえいえば、
油艶
(
あぶらづや
)
の
生地
(
きじ
)
をめでる
黄楊
(
つげ
)
と相場がきまっていますが、お粂がまだ
廓
(
さと
)
の芸者でいた前身の頃、櫛に血色の
塗
(
ぬ
)
りをかけて、それを
廓
(
くるわ
)
に
流行
(
はや
)
らせたことがあります。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
十内とか、幸右衛門とか、
野暮
(
やぼ
)
な名は、
廓
(
さと
)
では呼ばぬ。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「遊廓というと……遊女のいる
廓
(
さと
)
のことですか」
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
廓
(
さと
)
の年月はいとど流れが早い。
宮本武蔵:08 円明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“廓(
遊廓
)”の解説
遊廓(ゆうかく)は、公許の遊女屋(女郎屋)を集め、周囲を塀や堀などで囲った区画のこと。遊郭とも。
(出典:Wikipedia)
廓
漢検準1級
部首:⼴
14画
“廓”を含む語句
廓内
北廓
遊廓
一廓
廓然
外廓
輪廓
城廓
廓通
廓外
廓者
寥廓
廓寥
五稜廓
山廓
廓内京町
廓文章
廓落
色廓
内廓
...