“さかし”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:サカシ
語句割合
33.3%
29.6%
22.2%
3.7%
怜悧3.7%
3.7%
3.7%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
と、さかしがって言うのを尼夫人などは片腹痛く思った。大老人のあずま琴で興味のしらけてしまった席から中将の帰って行く時も山おろしが吹いていた。
源氏物語:55 手習 (新字新仮名) / 紫式部(著)
一の心状を示さむが為、おもむろに物象を喚起し、或はこれとさかしまに、一の物象を採りて、闡明せんめい数番の後、これより一の心状を脱離せしむる事これなり。
海潮音 (新字旧仮名) / 上田敏(著)
空にふらふらとなり、しなしなとして、按摩の手のうちに糸の乱るるがごとくもつれて、えんなまめかしい上掻うわがい下掻したがい、ただ卍巴まんじともえに降る雪の中をさかし歩行あるく風情になる。
怨霊借用 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
打見うちみれば面目めんもくさはやかに、稍傲ややおごれる色有れどさかしくはあらず、しかも今陶々然として酒興を発し、春の日長の野辺のべ辿たどるらんやうに、西筋の横町をこの大路にきたらんとす。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
貫一はこの絵をる如き清穏せいおんの風景にひて、かの途上みちすがらけはしいはほさかしき流との為に幾度いくたびこん飛び肉銷にくしようして、をさむるかた無く掻乱かきみだされし胸の内は靄然あいぜんとしてとみやはらぎ、恍然こうぜんとしてすべて忘れたり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
母上は我に向ひて、かの女子の怪しく濃き目の色、鴉青からすばいろの髮、をさなくて又怜悧さかしげなる顏、美しき紅葉もみぢのやうなる手などを、繰りかへして譽め給ふに、わが心にはねたましきやうなる情起りぬ。
ジエンナロは唯だ冷かに、にさることあらんも計られずとのみ答へしに、フランチエスカの君我耳に付きて、自ら怜悧さかしがりて人を屈するは惡しきならひぞとのたまふ。我は頭をれて人々のしりへに退きぬ。
吝嗇けちを生命の京わらんべも、これには皆々舌を巻きて、近処の噂さかしまし。
心の鬼 (新字旧仮名) / 清水紫琴(著)
されどもさかしき畔柳は事の密なるを策の上としてみだりに利の為に誘はれず、始よりその藩士なる鰐淵直行ただゆきの一手に貸出すのみにて、他は皆彼の名義を用ゐて、直接の取引を為さざれば
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)