怜悧さかし)” の例文
母上は我に向ひて、かの女子の怪しく濃き目の色、鴉青からすばいろの髮、をさなくて又怜悧さかしげなる顏、美しき紅葉もみぢのやうなる手などを、繰りかへして譽め給ふに、わが心にはねたましきやうなる情起りぬ。
ジエンナロは唯だ冷かに、にさることあらんも計られずとのみ答へしに、フランチエスカの君我耳に付きて、自ら怜悧さかしがりて人を屈するは惡しきならひぞとのたまふ。我は頭をれて人々のしりへに退きぬ。