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実家
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さと
ふりがな文庫
“
実家
(
さと
)” の例文
旧字:
實家
ちょうど女房と子供が、
実家
(
さと
)
の
餅搗
(
もちつき
)
の加勢に
行
(
い
)
とるけに、この店をば慾しがっとる奴の処へ
行
(
い
)
て委任状と引換えに五十両貰うて来た。
近世快人伝
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
そこを君は知らんぢやらう? え? 世間には伏せてあつたのだが、伯爵夫人は、ある不治の病のために、
実家
(
さと
)
へ帰つてをられたんだ。
泉
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
「なにか
仔細
(
しさい
)
があるのですか」と或る夜、妻のしのぶが訊いた、「いろいろ噂があるそうで、
実家
(
さと
)
の篠原でも案じておりましたが」
饒舌りすぎる
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「何をしとっか。つッ。赤坂へ行くといつもああじゃっで……
武
(
たけ
)
も武、
浪
(
なみ
)
も浪、
実家
(
さと
)
も
実家
(
さと
)
じゃ。今時の者はこれじゃっでならん」
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
そして女の跡を追うて、
此処
(
ここ
)
へ来た頃には、
上
(
かみ
)
さんまで
実家
(
さと
)
へ返して、父親からは準禁治産の形ですっかり
見限
(
みきり
)
をつけられていた。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
▼ もっと見る
いうまでもなく、一ノ宮の
乳人
(
めのと
)
、
有子
(
ありこ
)
であり、有子の
実家
(
さと
)
、大夫宗兼の許には、そのときもう、三人の幼な子が、あずけてあった。
新・平家物語:02 ちげぐさの巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
木場は父が死んでから母と共に静岡の
実家
(
さと
)
に行き幾年かを送つた後、一人東京に帰つて来て、一しきり××先生の家に書生となつてゐた。
来訪者
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
見す見す
実家
(
さと
)
の零落して行くのを、
奈何
(
いかん
)
ともする事の出来ない母の心になつて見たら、叔父の道楽が
甚麽
(
どんな
)
に辛く悲く思はれたか知れない。
刑余の叔父
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
実家
(
さと
)
の
両親
(
りょうしん
)
は
大
(
たい
)
へんに
私
(
わたくし
)
の
身
(
み
)
の
上
(
うえ
)
を
案
(
あん
)
じてくれまして、しのびやかに
私
(
わたくし
)
の
仮宅
(
かりずまい
)
を
訪
(
おとず
)
れ、
鎌倉
(
かまくら
)
へ
帰
(
かえ
)
れとすすめてくださるのでした。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
君がいわゆる
実家
(
さと
)
の
話柄
(
こと
)
とて、
喋舌
(
しゃべ
)
る杢若の目が光る。と、
黒痘痕
(
くろあばた
)
の
眼
(
まなこ
)
も輝き、天狗、般若、白狐の、
六箇
(
むつ
)
の眼玉も
赫
(
かッ
)
となる。
茸の舞姫
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
実家
(
さと
)
の方は其頃
両親
(
ふたおや
)
は亡くなり、番頭を妹に
娶
(
めあ
)
はせた養子が、浄瑠璃に
凝
(
こ
)
つた
揚句
(
あげく
)
店
(
みせ
)
を売払つて大坂へ遂転したので、
断絶同様
(
だんぜつどうやう
)
に成つて居る。
蓬生
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
(著)
青木さんの奥さんは去年の暮あたりから、坊ちやんを青木さんの方へお置きになつて、牛込のお
実家
(
さと
)
の方へ帰つてゐられるのださうであつた。
桑の実
(新字旧仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
治「銀行、ヘエー前橋にも支店が有りまして御懇意の方もありますが、ヘエー左様でございますか、成程深川でいらっしゃいますかお
実家
(
さと
)
は」
霧陰伊香保湯煙
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
自分
(
じぶん
)
が
内職
(
ないしよく
)
の
金
(
かね
)
で
嫁入衣裳
(
よめいりいしよう
)
を
調
(
とゝの
)
へた
娘
(
むすめ
)
が
間
(
ま
)
もなく
実家
(
さと
)
へ
還
(
かへ
)
つて
来
(
き
)
たのを
何故
(
なぜ
)
かと
聞
(
き
)
くと
先方
(
さき
)
の
姑
(
しうと
)
が
内職
(
ないしよく
)
をさせないからとの
事
(
こと
)
ださうだ(二十日)
もゝはがき
(新字旧仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
「今日は君も好いところへ来てくれた。操の奴が子供を連れて
実家
(
さと
)
の方へ行ったもんだから、お婆さんと僕とでお留守さ」
桜の実の熟する時
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
「だってお前が
実家
(
さと
)
へ行っていたって、お友達がみなそう言っていましたよ。それにお前は行かないなんて、うそを
吐
(
つ
)
くもんじゃありませんよ。」
幼年時代
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
お
実家
(
さと
)
様のお母様が
生
(
な
)
さぬ仲でいらっしゃいましょう? 綾子様は御自分は死ぬより
行途
(
ゆくみち
)
はないと仰しゃっていらっしゃいました位でございますから——
蛇性の執念
(新字新仮名)
/
大倉燁子
(著)
母親というは四十五六、早く夫に別れまして
実家
(
さと
)
に帰り、二人の子を連れて兄の世話になっていたのであります。
春の鳥
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
少し金があればはれもの出来したり、不幸が続いたりしやして、
島
(
しま
)
の
伯父家
(
おじげ
)
にも、お鳥が
実家
(
さと
)
さも、不義理がかさみやす。確かに御年貢だけは取れやした。
農村
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
実家
(
さと
)
帰りはいいとしても、母子二代、刑務所の産室で子供を産むのかと思うだけで、身体中の血が逆流する。
虹の橋
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
帝
(
みかど
)
が日々恋しく
思召
(
おぼしめ
)
す御様子に源氏は同情しながらも、
稀
(
まれ
)
にしかないお
実家
(
さと
)
住まいの機会をとらえないではまたいつ恋しいお顔が見られるかと夢中になって
源氏物語:05 若紫
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
お袋は田舎へ嫁入つた姉の処に引取つて貰ひまするし、
女房
(
にようぼ
)
は子をつけて
実家
(
さと
)
へ戻したまま
音信
(
いんしん
)
不通、女の子ではあり惜しいとも何とも思ひはしませぬけれど
十三夜
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
浜口夫人はその女中については、幾度か
実家
(
さと
)
へ頼んで
寄
(
よこ
)
して貰つたが、なか/\気に入つたのが無かつた。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
もしも以前借金で責られた時私の思った通りに責任を
遁
(
のが
)
れる工風したり
実家
(
さと
)
の親に金を借りたりするような小山でしたらば私も決してこんな幸福は得られないのです。
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
あの鬼の絵は、もと、私の
実家
(
さと
)
に秘蔵されて居たもので、御覧のとおり
北斎
(
ほくさい
)
の筆で御座います。
印象
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
数日後、耕吉はひどく尻ごみする自分を鞭打して、一時間ばかし汽車に乗って、細君の
実家
(
さと
)
へお詫びに出かけた。——細君は自儘には出てこれぬような状態になっていた。
贋物
(新字新仮名)
/
葛西善蔵
(著)
山谷八百善という派手な家業の
家
(
うち
)
ではあり、九代目団十郎のおかみさんは、八百善が
実家
(
さと
)
になっているという親類たちなので、時代は、丁度、明治二十四、五年ごろでしたでしょうから
朱絃舎浜子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
ある日だしぬけに
実家
(
さと
)
へ尋ねて来て、どうか離縁を申し込んでくれと云う。
お住の霊
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
実家
(
さと
)
に戻ったばかりには、恋にやつれて、正真の病人らしく見えるまでに、やつれ衰えても見えた浪路、雪之丞と、かたく誓いをかわしたと信じ切った今は、頬のいろも生き生きと、瞳には
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
「お
実家
(
さと
)
へ帰つたと思うて、ゆつくり泊つて下はれませぬ。」
念仏の家
(新字旧仮名)
/
小寺菊子
(著)
「あれみい。そなたが、この楠木家へ
輿入
(
こしい
)
れの日に、
実家
(
さと
)
から移し植えた柿苗も、はやあのような木になって、大きな実をつけ出している」
私本太平記:04 帝獄帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
お
実家
(
さと
)
には親御様お
両方
(
ふたかた
)
ともお達者なり、
姑御
(
しゅうとご
)
と申すはなし、小姑一
人
(
にん
)
ございますか。旦那様は御存じでもございましょう。
清心庵
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ひょっとこれがさかさまで、わたしが肺病で、浪の
実家
(
さと
)
から肺病は
険呑
(
けんのん
)
だからッて浪を取り戻したら、
母
(
おっか
)
さんいい
心地
(
こころもち
)
がしますか。
同
(
おんな
)
じ事です
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
その
一
(
ひと
)
つは
私
(
わたくし
)
がまだ
実家
(
さと
)
に
居
(
い
)
た
頃
(
ころ
)
、
腰元
(
こしもと
)
のようにして
可愛
(
かわい
)
がって
居
(
い
)
た、
香織
(
かおり
)
という
一人
(
ひとり
)
の
女性
(
じょせい
)
との
会合
(
かいごう
)
の
物語
(
ものがたり
)
でございます。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
私の右には母の
実家
(
さと
)
を相続して、教会の牧師になっている二番目の弟、左には、私を
出迎
(
でむかえ
)
に来た末の弟が制服の金ボタンいかめしく坐りました。
監獄署の裏
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
はじめの内は、よく
実家
(
さと
)
からお金を取つたりして、
窃
(
そ
)
つと青木さんの手前をつくろつてゐられたやうな事もあつたらしい。
桑の実
(新字旧仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
何か少し高いものを買ふと、きつとそれとなしに値段をいはないぢやゐないの。お
実家
(
さと
)
から補助があるつてことが、そんなに自慢になるか知ら……。
すべてを得るは難し
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
お話しなすったのでしょう、わたくしもそれで辛抱がきれましたから、お願いして
実家
(
さと
)
へ戻ることにいたしましたの
艶書
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「
親戚
(
しんせき
)
は田舎にたくさんござんすが、私の
実家
(
さと
)
は、これでまア綺麗に死に絶えてしまったようなものだで……。」
黴
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
何かにつけて頼りになるべきお君の
実家
(
さと
)
は、却って自分が頼られるほど貧しい、哀れな生活をして居た。
栄蔵の死
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
私の
実家
(
さと
)
は少し地位もあり資産もあった方ですから私は浮世の風波を知らずに育って学校へ入ってからもその時分の教育法で
無闇
(
むやみ
)
に
突飛
(
とっぴ
)
な
高尚
(
こうしょう
)
な事ばかり習ったものです。
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
そして無理算段をしては、細君を遠い郷里の
実家
(
さと
)
へ金策に
発
(
た
)
たしてやったのであった。……
子をつれて
(新字新仮名)
/
葛西善蔵
(著)
小児
(
こども
)
を
着飾
(
きかざ
)
らせて
一人々々
(
ひとり/\
)
乳母を附けて芝居を見せようと云ふ
豪奢
(
がうしや
)
な
性質
(
たち
)
、和上が何かに附けて奥方の町人
気質
(
かたぎ
)
を賎むのを
親思
(
おやおも
)
ひの奥方は、じつと辛抱して
実家
(
さと
)
へ帰らうともせず
蓬生
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
(著)
すると
此
(
こ
)
の
嫁
(
よめ
)
を
姉
(
あね
)
と
番頭
(
ばんとう
)
とで
虐
(
いぢ
)
めたので、
嫁
(
よめ
)
は
辛
(
つら
)
くて
居
(
ゐ
)
られないから、
実家
(
さと
)
へ
帰
(
かへ
)
ると、
親父
(
おやぢ
)
は
昔気質
(
むかしかたぎ
)
の
武士
(
ぶし
)
だから、なか/\
肯
(
き
)
かない、
去
(
さ
)
られて
来
(
く
)
るやうな者は
手打
(
てうち
)
にしてしまふ
塩原多助旅日記
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「でもお
実家
(
さと
)
の犬だし、何だか気味がわるくてね。」と言っていた。そして私には
幼年時代
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
私の母は、何時でも「
那麽
(
あんな
)
無精な女もないもんだ。」と叔母を悪く言ひながら、それでも猶何に
彼
(
か
)
につけて世話する事を、怠らなかつた。或時は父に
秘
(
かく
)
してまでも
実家
(
さと
)
の窮状を援けた。
刑余の叔父
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
中橋というのは、叔母の
沼間
(
ぬま
)
夫人の
実家
(
さと
)
で、悦二郎氏はその家の三男である。
キャラコさん:06 ぬすびと
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
寧
(
いつ
)
そ賃仕事してもお傍で暮した方が
余
(
よ
)
つぽど快よう御座いますと言ひ出すに、馬鹿、馬鹿、その様な事を仮にも言ふてはならぬ、嫁に行つた身が
実家
(
さと
)
の親の
貢
(
みつぎ
)
をするなどと思ひも寄らぬこと
十三夜
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
「不知哉丸の身は、その後も、つつがなく、
田舎童
(
いなかわらべ
)
のあいだで育っておると、右馬介の
実家
(
さと
)
から便りもあった。親は無うても子は育つとか」
私本太平記:02 婆娑羅帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「養生には
逗子
(
ずし
)
がいいですよ。
実家
(
さと
)
では子供もいますし、
実家
(
さと
)
で養生さすくらいなら
此家
(
うち
)
の方がよっぽどましですからね」
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
“実家”の意味
《名詞》
実 家(じっか)
自分が生まれた家。生家。
養子や配偶者の生まれた家。
(出典:Wiktionary)
“実家”の解説
実家(じっか)は、自分が生まれた家を指す日本語。
(出典:Wikipedia)
実
常用漢字
小3
部首:⼧
8画
家
常用漢字
小2
部首:⼧
10画
“実家”で始まる語句
実家方
実家帰
実家親
実家預
実家女臈