さと)” の例文
「廿五日。晴。昨日総督より洋医可心掛之命有之。」蘭軒の養孫、榛軒の養子は遂に洋医方に従ふべき旨をさとされた。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
しかも太祖が懿文いぶん太子に、七国反漢の事をさとしたりし時は、建文帝未だ生れず。明の国号はじめて立ちしのみ。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
〔譯〕誘掖いうえきして之をみちびくは、教の常なり。警戒けいかいして之をさとすは、教の時なり。に行うて之をきゐるは、教の本なり。言はずして之を化するは、教のしんなり。
おれも考えれば、たまらなくなって来る。其で、氏人を集めてさとしたり、歌を作って訓諭して見たりする。だがそうした後の気持ちのさわやかさは、どうしたことだ。
死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
前にもいえるごとく、至道は言語筆舌の必ず説き勧めさとし解せしめ得べきにあらず。その人善心なくんば、いかに多く物事を知り理窟を明らめたりとて何の益あらん。
神社合祀に関する意見 (新字新仮名) / 南方熊楠(著)
と馬作をさとして居りますと、其の内に足音がしますから、山三郎は格子のすきから見ると、先へ麻衣あさごろもを着た坊主が一人に、紺看板に真鍮巻の木刀を差した仲間体ちゅうげんていの男が
ファウストがワグネルをさとしたそのままの言葉がちょうど適当であるのが彼らの哲学である。
語られざる哲学 (新字新仮名) / 三木清(著)
籠から放される鳥のように、出ないうちから羽搏はばたきをした。秀吉はなおねんごろにこうさとした。
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
君子は義をさと下戸げこは甘きにさとる、偖こそ御里があらはれたれ、眼が近いに気が遠いと来て居るので、すんでの事に葉巻を一口に頬張ほゝばつて、まんまと耻を帝国ホテルにさらす所だつた。
燕尾服着初めの記 (新字旧仮名) / 徳冨蘆花(著)
大伴家持は、天平勝宝八歳、「やからさとす歌」長短歌を作った。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
張昭はたたみかけて、若い主君をさとした。
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
やがて、快川はさとした。やさしくなだめた。
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)