遊里さと)” の例文
「黒茶のお羽織は、四条の道場にかようお武家衆好み。この遊里さとまで、吉岡染よしおかぞめというて、流行はやっているではございませんか」
宮本武蔵:03 水の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
わちきがくるわへはいりぞめ、そのおりちょうど清吉さんも商用で江戸表に参られて遊里さとへ足をはいりぞめに、ふとれそめたのが深間にはいり
名ある女を、こうはいかに、あしらうまい、——奥様と云ったな——膝にすがった透見すきみをしたか、恥とうらみを籠めた瞳は、遊里さと二十はたちはりこもって、じっと襖に注がれた。
第二菎蒻本 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
遊里さとの風がしみていたから、口の利き方や、起居たちいなどにも落着きがなかった。
(新字新仮名) / 徳田秋声(著)
「ありんすという遊里さと言葉、こいつを聞くと思い出すな」
血煙天明陣 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「そうだ。いつかの年、大勢して、純友や、紀秋茂きのあきしげや、津時成つのときなりなどが、伊予に帰るのを、江口の遊里さとまで、送って行ったことがある。和主も一しょによ」
平の将門 (新字新仮名) / 吉川英治(著)