戦慄ぞっ)” の例文
旧字:戰慄
ちと気がれて血相変り、取乱してはいるけれど、すらっとして中肉中脊、戦慄ぞっとするほどい女さ。と空嘯そらうそぶいて毛脛けずねの蚊をびしゃりと叩く憎体面にくていづら
活人形 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
隣家となりといっても、実は壁一重ひとえの事だから、人の談話声はなしごえがよく聞えるので、私は黙って耳をすまして聴いてると、思わず戦慄ぞっとした、隣の主人が急病で死んだとの事だ、隣家となりの事でもあるから
闥の響 (新字新仮名) / 北村四海(著)
先頃、一寸ちょっと見た時に真青な顔をしていた。私は、死人の形相だと思った。漆のような髪は顔にかかって眼が落ち窪んで、手足が痩せて、その姿を見た時戦慄ぞっとした。私は、もはや長くないと思った。
(新字新仮名) / 小川未明(著)
いいえ、人から聞いたのではございません。わたくしがたしかに見ました。「はてな。「思い出すと戦慄ぞっといたします。 ...
活人形 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
は更けて、夏とはいえど、風冷々ひやひやと身に染みて、戦慄ぞっと寒気のさすほどに、えいさえめて茫然と金時は破垣やれがき依懸よりかかり、眠気つきたる身体からだ重量おもみに、竹はめっきと折れたりけり。
活人形 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)