たたか)” の例文
旧字:
「そんなに、おれいをいわれるとこまります。わたしは、良心りょうしんが、不正ふせいゆるさないために、たたかいましたばかりです。」と、若者わかものこたえました。
あほう鳥の鳴く日 (新字新仮名) / 小川未明(著)
これはたたかいにやぶれて、海のそこにしずんだ人びとが、残念ざんねんのあまり、そういうかにに、生まれかわってきたのだろうと、人びとはいいました。
壇ノ浦の鬼火 (新字新仮名) / 下村千秋(著)
保名やすな家来けらいたちもみんなつよさむらいでしたから、けずにふせたたかって、とうとう乱暴らんぼう侍共さむらいどものこらずはらってしまいました。
葛の葉狐 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
さてそこで、ネズミとのたたかいに力をかすのはごめんだ、だれかほかのものにでも助けてもらうがいい、とアッカに言ってやろうというわけです。
たたかんで、一かたまりになった時、雨もみ、陽も照り、濛々もうもうと、三千の武者いきれから白い湯気が立ちのぼっていた。
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しかしペテロは、たたかいのあと、馬とともに死んでいるのが発見されました。ペテロ、ペテロと、わかいペテロは、いちどに有名になってしまいました。
丘の銅像 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
太古たいこの神がみのこらずが、その大きな広間をとおっていきましたか。古代こだい英雄えいゆうが、そこでたたかっていましたか。
「それが本当なら、こっちも全く、たたか甲斐がいがあるというものサ」千手大尉は、まだらずぐちめなかった。
空襲葬送曲 (新字新仮名) / 海野十三(著)
しょうが過ぎかた蹉跌さてつの上の蹉跌なりき。されど妾は常にたたかえり、蹉跌のためにかつて一度ひとたびひるみし事なし。
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
お父様、あんな男に起訴されて、泣寝入りになさるような、腑甲斐ふがいないことをして下さいますな。飽くまでもたたかって、相手の悪意をこらしめてやって下さいませ。
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
まだねむらないで南京虫なんきんむしたたかっているものもあろう、あるいつよ繃帯ほうたいめられてなやんでうなっているものもあろう、また患者等かんじゃら看護婦かんごふ相手あいて骨牌遊かるたあそびをしているものもあろう
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
一方にはおおかみどもは犬にとびかかって、はげしくたたかったしるしがのこっていた。こちらにはおおかみがえものをつかんでゆっくり食べて歩いて行った足あとが残っていた。
わからなくてもたたかわねばならぬ、自分ひとりではない、ここに三人がいる、船底ふなぞこにはさらに十一人の少年がいる、同士どうしのためにはけっして心配そうな顔を見せてはならぬのだ。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
さすがの透明人間とうめいにんげんも、トーマスをつかまえていて、二人を相手あいてでは、たたかえるわけがない。
人が喰合くいあう都会では、人口の増加は苦痛くつうの問題だが、自然を相手に人間のたたかう田舎の村では、味方の人数が多い事は何よりも力で強味つよみである。小人数こにんずの家は、田舎ではみじめなものだ。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
やがてぐるぐるまわって上になったり下になったり、どっちがどっちかわからず暴れてわめいてたたかううちに、とうとうすてきに大きな音を立てて、引っ組んだまま坂をころげて落ちて来ました。
ガドルフの百合 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
「自分はなにを持ってくまとたたかったらいいだろうか?」
くまと車掌 (新字新仮名) / 木内高音(著)
学生服がくせいふく少年しょうねんから、あつなみだがながれました。つねにかれはほがらかだったのです。おとうさんは、おくにのためにたたかって、んだのだ。
夕焼けがうすれて (新字新仮名) / 小川未明(著)
「おお、あれはいつの年か、このへんでたたかいのあったとき焼けのこった文殊閣もんじゅかくにちがいない。もしかすると、六部ろくぶも、あれかもしれぬぞ……」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
とおっしゃって、弓矢ゆみや太刀たちをおりになり、身方みかた軍勢ぐんぜいのまっさきっていさましくたたかって、ほとけさまのてきのこらずほろぼしておしまいになりました。
夢殿 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
グリンミンゲ城の近くに住んでいる灰色ネズミたちは、しょっちゅうたたかいをしむけては、このお城をのっとる機会きかいを、いまかいまかと待っていました。
カピはおどおどした様子で、平伏へいふくした。わたしはかれのかたっぽの耳から血の出ているのを見た。わたしはそれで様子をさとった。ゼルビノはこの憲兵けんぺいたたかいをしかけてきたのである。
月のないくらいよるには、この壇ノ浦の浜辺はまべや海の上に、かずしれぬ鬼火おにび、——めろめろとしたあおが音もなくとびまわり、すこし風のある夜は、波の上から、源氏げんじ平家へいけとがたたかったときの
壇ノ浦の鬼火 (新字新仮名) / 下村千秋(著)
たたかうものの内的感情ないてきかんじょうです。
わたしは、なんのために、いつまでも、あなたがじっとしていなさるのかわからなかったのです。わたしは、いまゆきたたかっているのです。
月とあざらし (新字新仮名) / 小川未明(著)
そこで義家よしいえ身方みかた軍勢ぐんぜいひきいて、こんどもえとさむさになやみながら、三ねんあいだわきもふらずにたたかいました。
八幡太郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
毎晩まいばん毎晩まいばん、毎年毎年、攻めるものと守るものとのあいだには、くりかえしくりかえし、たたかいがつづけられました。
蛾次郎がじろう争闘力そうとうりょくは、いつも、このうでよりは口である。度胸どきょうよりはしたである。三じゃくつるぎよりは三ずん毒舌どくぜつ、よく身をふせぎてき翻弄ほんろうし、ときにはたたかわずしてつことがある。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
わたしはカピを保護ほごするためには、かれら二人とたたかうつもりでいた。
秀作しゅうさくや、わたしは、さっきからここで、おまえをているのだよ。どうかりっぱにたたかって、日本男児にっぽんだんじとして、はじないはたらきをしておくれ。」
しらかばの木 (新字新仮名) / 小川未明(著)
それでたたかえばたたかうたんびに八幡太郎はちまんたろうたかくなりました。さすがのあらえびすもふるえがって、しまいには八幡太郎はちまんたろういただけですようになりました。
八幡太郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
天下とう一の先駆さきがけにあせって、たたかって勝つという信条しんじょうもとには、どんな犠牲ぎせいしまない。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
またそのあしで、勇敢ゆうかんてきたたかったこともあったでしょう。それがために、かぎは、金色きんいろにぴかぴかとみがかれてひかっていました。
三つのかぎ (新字新仮名) / 小川未明(著)
それが土台石どだいいしの下で、いまだにきていて、よるひるもにらみってたたかっている。へびかえるがおこっていきほのおになって、そらまでちのぼると、こんどはてんみだれる。
葛の葉狐 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
ははたたか
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いままで勇敢ゆうかんたたかっていた戦友せんゆうが、ばたり、ばたりと前後ぜんごにたおれていきました。それにつらかったのは、たまのつきかかったことでした。
しらかばの木 (新字新仮名) / 小川未明(著)
のようないきをはきかけはきかけたたかっているへびかえるつけて、して、てました。
葛の葉狐 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
「いっしょにたたかって、いっしょににたいものだ。」と、徳蔵とくぞうさんに、いいました。もとよりあたたかな、まことなさけをった徳蔵とくぞうさんですから
とびよ鳴け (新字新仮名) / 小川未明(著)
それはもうながながい九ねんたたかいもそろそろおしまいになろうという時分じぶんのことでした。ある日はげしいいくさのあとで、義家よしいえてき大将たいしょう貞任さだとうとただ二人ふたり、一ちの勝負しょうぶをいたしました。
八幡太郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
ああまた、ながい、物憂ものうふゆあいだ、このとしとったと、北風きたかぜと、ゆきとのたたかいがはじまるのであります。そして、かしのは、ついに孤独こどくでした。
大きなかしの木 (新字新仮名) / 小川未明(著)
わたくしはひさしく九州きゅうしゅうりまして、なんとなくいくさをいたしましたが、こちらからせててきめますにも、てききうけてたたかいますにも、夜討ようちにまさるものはございません。
鎮西八郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
双方そうほうとも死力しりょくをつくしてたたかいましたから、容易ようい勝敗しょうはいはつきませんでしたが、おおくの犠牲ぎせいをはらって最後さいごに、ふじのはなくにったのでした。
ひすいを愛された妃 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ここでいちばんにものぐるいにねこたたかって、うまくてば、もうこれからはの中になにもこわいものはない、天井裏てんじょううらだろうが、台所だいどころだろうが、かべすみだろうが、天下てんかはれてわれわれの領分りょうぶんになるし
猫の草紙 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
かえりみると、このが、野原のはらおおきくなった歴史れきしは、まったくかぜとのたたかいであったといえるでありましょう。はけっしてこのことをわすれません。
曠野 (新字新仮名) / 小川未明(著)
おどろいて、をしっかりとくわえてくらそらがり、にものぐるいでよるあいだ暴風ぼうふうたたかいながらかけりました。
赤い船とつばめ (新字新仮名) / 小川未明(著)
ちいさなおとうとが、かぜゆきたたかって、やっとうちかえると、すぐにすえおとうと世話せわをさせられることをおもうと、もう、なにもいうことができなかったからです。
おきくと弟 (新字新仮名) / 小川未明(著)
天使てんしは、このなが年月としつきを、生活せいかつたたかってきて、いまこのようにつかれてえるおじいさんのきよらかなをうつしながら
いいおじいさんの話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
むかしから、正義せいぎのためにたたかった人々ひとびとは、そのすくないなかひとであって、おおくのひとたちから、迫害はくがいされたのだ。きみ空想くうそうをして、不安ふあんになるのも無理むりはない。
世の中のために (新字新仮名) / 小川未明(著)
人間にんげんだっておなじようにいわれる。なに不足ふそくなくそだつばかりが、そのひとをりっぱな人間にんげんとするものでない。くるしみと艱難かんなんたたかって、人格じんかくみがかれるのです。
さまざまな生い立ち (新字新仮名) / 小川未明(著)
どうしてわたしとあなたとがかたきどうしでしょう。わたしてきは、ほかになければなりません。戦争せんそうはずっときたほうひらかれています。わたしは、そこへいってたたかいます。
野ばら (新字新仮名) / 小川未明(著)