ジャン・クリストフ:04 第二巻 朝 (新字新仮名) / ロマン・ロラン(著)
しかし、あまりにも軽快な生気に満ちているので、長い間つづけてじっとしていることが出来ず、すぐに、ほっそりとした四本の脚を上にあげて、仰向にころがりました。
ワンダ・ブック――少年・少女のために―― (新字新仮名) / ナサニエル・ホーソーン(著)
馬は立ち上がり、後方におどり、仰向に倒れ、空中に四足をはねまわし、騎兵を振り落とし押しつぶした。もはや退却の方法はない。全縦隊は既に発射された弾丸に等しかった。
レ・ミゼラブル:05 第二部 コゼット (新字新仮名) / ヴィクトル・ユゴー(著)
今、下になって、さも疲れたように枝に掴まって、ぐったりとしている眼の柔和な鳥をば、雌鳥だと思った。雄鳥は、今、巣の下に仰向になって、なにやらを巣の中に押し入れている。
分娩のすんだトシエは、細くなって、晴れやかに笑いながら、仰向に横たわっていた。ボロ切れと、脱脂綿に包まれた子供は、軟かく、細い、黒い髪がはえて、無気味につめたくなっていた。
四日間 (新字新仮名) / フセヴォロド・ミハイロヴィチ・ガールシン(著)
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分) (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
あるいはまた仰向に寝転んで、雲の飛ぶのを眺めた。雲は、牛や、巨人や、帽子や、婆さんや、広々とした景色など、いろんな形に見えた。彼はそれらの雲とひそかに話をした。
ジャン・クリストフ:03 第一巻 曙 (新字新仮名) / ロマン・ロラン(著)
今度はきっと風変りの顔が見えるだろうと見て居たけれど火の形が変なためか一向何も現れぬ。やや暫くすると何やら少し出て来た。段々明らかになって来ると仰向に寐た人の横顔らしい。
ガタンと物凄い音がして椅子が仰向にひっくりかえった。
蝱の囁き:――肺病の唄―― (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
彼は自分の小さな寝床に仰向に寝ている。彼は天井に踊る光の線を眺める。それは尽くることなき楽しみである。にわかに彼は声高く笑う。聞く者の心を喜ばせる子供の善良な笑い。
ジャン・クリストフ:03 第一巻 曙 (新字新仮名) / ロマン・ロラン(著)
しばらくすると、彼は虫のそばにはらばいに寝転んで、じっと眺めた。もう魔法使の役目を忘れてしまって、そのあわれな虫を仰向にひっくり返しては、それがもがき苦しむのに笑い興じた。
ジャン・クリストフ:03 第一巻 曙 (新字新仮名) / ロマン・ロラン(著)
ジャン・クリストフ:04 第二巻 朝 (新字新仮名) / ロマン・ロラン(著)