仰向あふの)” の例文
心細き事を思ふては干場の傘のかげに隱くれて大地を枕に仰向あふのき臥してはこぼるゝ涙を呑込みぬる悲しさ
わかれ道 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
われは只管ひたすらに恍惚として夢の中なる夢の醒めたる心地となり、何事も手に附かず、夕餉ゆふげの支度するもものうく、方丈の中央まんなか仰向あふのきにね伸びて、眠るともなく醒むるとも無くて在りしが、さて
白くれない (新字新仮名) / 夢野久作(著)
大理石なめいしのごとくされ、仰向あふのくや
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)