真蒼まさお)” の例文
旧字:眞蒼
貴嬢はかすかにアと呼びたもうや真蒼まさおになりたまいぬ、弾力ばね強き心の二郎はずかずかと進みて貴嬢が正面の座に身を投げたれど
おとずれ (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
辿たどる姿は、松にかくれ、草にあらわれ、坂にしずみ、峰に浮んで、その峰つづきを畝々うねうねと、漆のようなのと、真蒼まさおなると、しゃのごときと、中にも雪を頂いた、雲いろいろの遠山とおやまに添うて
縁結び (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
見渡せば、見まわせば、赤土の道幅せまく、うねりうねりはてしなきに、両側つづきの躑躅の花、遠きかたは前後をふさぎて、日かげあかく咲込めたる空のいろの真蒼まさおき下に、たたずむはわれのみなり。
竜潭譚 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
見渡せば、見まはせば、赤土の道幅せまく、うねりうねりはてしなきに、両側つづきの躑躅つつじの花、遠きかたは前後をふさぎて、日かげあかく咲込さきこめたる空のいろの真蒼まさおき下に、たたずむはわれのみなり。
竜潭譚 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)