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ぎぬ
ふりがな文庫
“
衣
(
ぎぬ
)” の例文
他の女中が悪いことをして、あたいに濡れ
衣
(
ぎぬ
)
をきせたんだよ。あのまたおかみさんという人も、あんまり眼がなさ過ぎるじゃないか。
巷説享保図絵
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
五つ
衣
(
ぎぬ
)
の
上衣
(
うわぎ
)
は
青海波
(
せいがいは
)
に色鳥の美しい
彩色
(
つくりえ
)
を置いたのを着て、又その上には
薄萌黄
(
うすもえぎ
)
地に
濃緑
(
こみどり
)
の玉藻をぬい出した
唐衣
(
からごろも
)
をかさねていた。
玉藻の前
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
が、予は
昨夜
(
ゆうべ
)
もあの
菰
(
こも
)
だれの中で、独りうとうとと眠って
居
(
お
)
ると、柳の五つ
衣
(
ぎぬ
)
を着た姫君の姿が、夢に予の枕もとへ歩みよられた。
邪宗門
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
困つた事には足に坐り癖がついてゐて、うす
衣
(
ぎぬ
)
ばかりの曲線の際立つ姿で腰かけてゐると、自然と内輪に曲つてゐて怖ろしく醜くかつた。
貝殻追放:012 向不見の強味
(旧字旧仮名)
/
水上滝太郎
(著)
今は、汚れをいとうひまもなく、延べのきせるを投げ捨てて、
掛
(
か
)
け
衣
(
ぎぬ
)
をつかんで、投げ捨てると、両手で、死骸の首を抱き上げるように——
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
▼ もっと見る
「錢形の親分にお願ひして、何とかお冬の
濡
(
ぬ
)
れ
衣
(
ぎぬ
)
が干してやりてえ、あの女は、そんな大それたことの出來る女ぢやねえ——つて言ひますぜ」
銭形平次捕物控:011 南蛮秘法箋
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
俺は今に怨みに思っておるぞ! 事実を
誣
(
し
)
い、俺に濡れ
衣
(
ぎぬ
)
を着せたあげく、俺の股へ斬り付け、躄者になる原因を作ったな。
血曼陀羅紙帳武士
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
子飼
(
こが
)
いの時より
一方
(
ひとかた
)
ならぬ大恩を受けながらそのような身の程知らずの
不料簡
(
ふりょうけん
)
は起しませぬ思いも寄らぬ
濡
(
ぬ
)
れ
衣
(
ぎぬ
)
でござりますと今度は春琴に口を
春琴抄
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
そして、仮死したままうごかない
黛
(
まゆずみ
)
と、
五
(
いつ
)
つ
衣
(
ぎぬ
)
につつまれた高貴さとに、女性美の極致を見たように茫然と打たれながら
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
五
(
いつ
)
ツ
衣
(
ぎぬ
)
で
檜扇
(
おうぎ
)
をさしかざしたといったらよいでしょうか、王朝式といっても、丸いお顔じゃありません、ほんとに輪郭のよくととのった、
瓜実顔
(
うりざねがお
)
です。
九条武子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
ユラリユラリと優美都雅を極めた有様でもって旅行するようになるのですから、まして夫人方は「虫の垂れ
衣
(
ぎぬ
)
」を
被
(
かぶ
)
った大時代や、「あづまからげ」に草履ばき
旅行の今昔
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
私めのためにとんでもない
濡
(
ぬ
)
れ
衣
(
ぎぬ
)
をお着になったお恨みは、必ずお晴らし申します。特別御贔屓にして頂きました私めの、これがせめてもの御恩返しでございます。
幽霊妻
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
オマエガオ入リニハ、兵庫ハカリ
衣
(
ぎぬ
)
ヲ着テ門マデオ迎エニ出ル、ソレカラ座敷ヘ出ロ、昨日ノ不調法ヲワビサセルカラ挨拶ヲシテヤレト云ウカラ、聞届ケタトイエ
大菩薩峠:40 山科の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「つるばみの
解洗
(
ときあら
)
ひ
衣
(
ぎぬ
)
のあやしくも殊に
着欲
(
きほ
)
しきこの
夕
(
ゆふべ
)
かも」(巻七・一三一四)という前例がある。
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
彼は
脇差
(
わきざし
)
をぬき取った。肩脱ぎのうす
衣
(
ぎぬ
)
に肩を一度は入れて、そしてするすると帯を解きほごした。武士のいでたちを脱ぎ捨てるのである。
襯衣
(
シャツ
)
と
腿引
(
ももひ
)
きだけの姿になった。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
来馬も可哀そうにとんだぬれ
衣
(
ぎぬ
)
をきせて、と云ったこと、それでいろ/\と山田をさぐると、佐々木の金入をもっていた事、この金入を証拠としてあかりをお立てになったら
新訂雲母阪
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
船はやおら桟橋を離れた。
空色
(
そらいろ
)
衣
(
ぎぬ
)
の
笑貌
(
えがお
)
の花嫁は、白い
手巾
(
はんかち
)
を振り/\視界の外に消えた。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
主人の家の金を持って逃げようと
企
(
たくら
)
んだなぞと
濡
(
ぬ
)
れ
衣
(
ぎぬ
)
を着せて、殺してしまったんだよ。
棚田裁判長の怪死
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
てつきり嫁だといふことになつたので若い嫁はぬれ
衣
(
ぎぬ
)
をきせられた。それが無念さに若嫁は里へ帰つたきり戻つて来ない。ところが嫁は妊娠してゐることが婦人科医によつて分つた。
老残
(新字旧仮名)
/
宮地嘉六
(著)
筧
(
かけひ
)
の
水
(
みづ
)
を
受
(
う
)
くるとて、
嫁菜
(
よめな
)
の
莖
(
くき
)
一
(
ひと
)
つ
摘
(
つ
)
みつゝ、
優
(
やさ
)
しき
人
(
ひと
)
の
心
(
こゝろ
)
かな、
何
(
なん
)
のすさみにもあらで、
其
(
そ
)
の
盥
(
たらひ
)
にさしけるが、
引
(
ひき
)
とき
衣
(
ぎぬ
)
の
藍
(
あゐ
)
に
榮
(
は
)
えて、
嫁菜
(
よめな
)
の
淺葱色
(
あさぎいろ
)
冴
(
さ
)
えしを、
菜畠
(
なばたけ
)
の
日南
(
ひなた
)
に
憩
(
いこ
)
ひて
婦人十一題
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「ええ、それはぼくにもわかります。しかし、そのために、大河君がぬれ
衣
(
ぎぬ
)
をきなければならないという道理はないでしょう。ぼくとしては、それがたまらないほど心苦しいんです。」
次郎物語:05 第五部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
其方大切なればこそお師匠様と
追従
(
ついしよう
)
もしたれ、
益
(
えき
)
も無き他人を珍重には非らず、
年来
(
としごろ
)
美事に育だて上げて、人にも褒められ我れも誇りし物を、口惜しき
濡
(
ぬ
)
れ
衣
(
ぎぬ
)
きせられしは
彼
(
か
)
の人ゆゑなり
雪の日
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
なんてことだ! 人にあられもない
濡
(
ぬ
)
れ
衣
(
ぎぬ
)
を着せただけで足りないで——このげす女はわたしまで! ああなんてことだろう! 夫の葬式の日に、腹さんざ人のご
馳走
(
ちそう
)
になっておきながら
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
名月や肌は落著くひとへ
衣
(
ぎぬ
)
助然
古句を観る
(新字新仮名)
/
柴田宵曲
(著)
干
(
ほ
)
し
衣
(
ぎぬ
)
は紺の
単衣
(
ひとえ
)
のよく
乾
(
かわ
)
き
六百句
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
あり
衣
(
ぎぬ
)
の
一三
三重の子が
古事記:02 校註 古事記
(その他)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
うす
衣
(
ぎぬ
)
すらもはおらずに
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
靄
(
もや
)
は
刈穗
(
かりほ
)
のはふり
衣
(
ぎぬ
)
海潮音
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
何か御主人のものを
盗
(
と
)
ったとか、とんでもない
濡
(
ぬ
)
れ
衣
(
ぎぬ
)
をきせて、そのために、お仕着せまで取り上げられて、ほうり出されたのだそうです。
巷説享保図絵
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
「銭形の親分にお願いして、何とかお冬の
濡
(
ぬ
)
れ
衣
(
ぎぬ
)
が干してやりてえ、あの女は、そんな大それたことの出来る女じゃねえ——って言いますぜ」
銭形平次捕物控:011 南蛮秘法箋
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
(又あざ笑ふ。)
上方者
(
かみがたもの
)
の尻押しをして、江戸つ子にぬれ
衣
(
ぎぬ
)
をきせるなぞとは、本當の江戸つ子でなければ出來ない藝だよ。
権三と助十
(旧字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「く、くやしい、わたし……。嘘ッぱちにも何も、まったく身に覚えなんかありませんもの。みんなあの居候めの、つくり
言
(
ごと
)
です、
濡
(
ぬ
)
れ
衣
(
ぎぬ
)
です」
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
(女子を見て)野を行く柩のかけ
衣
(
ぎぬ
)
が、麻で織られた白布でも、大理石の
温槽
(
ゆそう
)
の中へ、流れて落つる雪どけ水でも、お前の今の心のように、清いものは世にあるまいが
レモンの花の咲く丘へ
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
束帶のいかめしい
殿上人
(
てんじやうびと
)
、五つ
衣
(
ぎぬ
)
のなまめかしい青女房、珠數をかけた念佛僧、高足駄を穿いた侍學生、
細長
(
ほそなが
)
を着た
女
(
め
)
の
童
(
わらは
)
、
幣
(
みてぐら
)
をかざした
陰陽師
(
おんみやうじ
)
——一々數へ立てゝ居りましたら
地獄変
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
白状せば伯父が上にもかかる、我が罪は覚悟の上なれど物がたき伯父様にまで
濡
(
ぬ
)
れ
衣
(
ぎぬ
)
を着せて、
干
(
ほ
)
されぬは貧乏のならひ、かかる事もする物と人の言ひはせぬか、悲しや何としたらよかろ
大つごもり
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
虚共実共
終
(
つひ
)
にしれずして、方々におゐて自害有し人々、一人も及
二
白状
一
、某は不
レ
存、かれは存知たると云人もなく、ぬれ
衣
(
ぎぬ
)
を着て旅に赴きぬる事、
宿業
(
しゆくごふ
)
の程あさましと観念し終にけり
聞書抄:第二盲目物語
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
五つ
衣
(
ぎぬ
)
を
剥
(
は
)
ぎ、金冠をもぎとった、爵位も金権も何もない裸体になっても、離れぬ美と才と、彼女の持つものだけをもって、粛然としている。黒い
一閑張
(
いっかんばり
)
の机の上には、新らしい聖書が置かれてある。
柳原燁子(白蓮)
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
靄
(
もや
)
は
刈穂
(
かりほ
)
のはふり
衣
(
ぎぬ
)
海潮音
(新字旧仮名)
/
上田敏
(著)
露をもった草の上に、ふさふさとした黒髪と、
五
(
いつ
)
つ
衣
(
ぎぬ
)
の
裳
(
すそ
)
を流した、まだうら若い姫の顔がそっと横に寝かされた。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
お前はそれが悲しいか。(間)黄昏の神の素足のような、美しく白い公子の肌が、麻の衣にかけ
衣
(
ぎぬ
)
された樫の柩の底にある。彫刻の美も光がなければ、女の眼には映るまい。
レモンの花の咲く丘へ
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
そうして、ひとりの
艶
(
あで
)
やかな
上臈
(
じょうろう
)
の立ち姿がまぼろしのように浮き出て来た。柳の五つ
衣
(
ぎぬ
)
にくれないの袴をはいて、
唐衣
(
からごろも
)
をかさねた彼女の姿は、見おぼえのある玉藻であった。
玉藻の前
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「お前の姿は、人目を忍ぶにしては、ノツポ過ぎて、恰好がつかないよ。つまらねえ隱しだてをすると、大變な
濡
(
ぬ
)
れ
衣
(
ぎぬ
)
を着なきやならないが——それも覺悟をして居るだらうな」
銭形平次捕物控:305 美しき獲物
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
束帯のいかめしい
殿上人
(
てんじやうびと
)
、五つ
衣
(
ぎぬ
)
のなまめかしい青女房、珠数をかけた念仏僧、高足駄を穿いた
侍学生
(
さむらひがくしやう
)
、
細長
(
ほそなが
)
を着た
女
(
め
)
の
童
(
わらは
)
、
幣
(
みてぐら
)
をかざした
陰陽師
(
おんみやうじ
)
——一々数へ立てゝ居りましたら
地獄変
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
白状
(
はくぜう
)
せば
伯父
(
おぢ
)
が
上
(
うへ
)
にもかゝる、
我
(
わ
)
が
罪
(
つみ
)
は
覺悟
(
かくご
)
の
上
(
うへ
)
なれど
物
(
もの
)
がたき
伯父樣
(
おぢさま
)
にまで
濡
(
ぬ
)
れ
衣
(
ぎぬ
)
を
着
(
き
)
せて、
干
(
ほ
)
されぬは
貧乏
(
びんぼう
)
のならひ、かゝる
事
(
こと
)
もする
物
(
もの
)
と
人
(
ひと
)
の
言
(
い
)
ひはせぬか、
悲
(
かな
)
しや
何
(
なん
)
としたらよかろ
大つごもり
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
わけても、新婦は、まだ
華燭
(
かしょく
)
のかがやきの
褪
(
あ
)
せない
金色
(
こんじき
)
の
釵子
(
さいし
)
を黒髪に
簪
(
さ
)
し、
五
(
いつ
)
つ
衣
(
ぎぬ
)
のたもとは
薫々
(
くん
)
と高貴なとめ
木
(
き
)
の香りを歩むたびにうごかすのだった。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
……事実を
誣
(
し
)
い、俺に
濡
(
ぬ
)
れ
衣
(
ぎぬ
)
を着せたあげく、股へ一太刀! ……おのれ勘兵衛、もう一度野中の道了で決闘し、雌雄を決しようと、長い長い間、機会の来るのを待っていたのだ
血曼陀羅紙帳武士
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
飛んだ
濡
(
ぬ
)
れ
衣
(
ぎぬ
)
を着ることになる。
銭形平次捕物控:310 闇に飛ぶ箭
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
プーンと洩れてくる酒の薫り、朱の塗膳、銀の銚子、
衣桁
(
いこう
)
の乱れ
衣
(
ぎぬ
)
、すべてが
媚
(
なまめ
)
いて取り散らされている中に、御方は男と向い合って
艶
(
あでや
)
かな笑顔を微酔に染めていた。
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
女子 あの真先に小さく見える白い色のかけ
衣
(
ぎぬ
)
は、柩を包んだ
経帷子
(
きょうかたびら
)
か?
レモンの花の咲く丘へ
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
いまも
月輪殿
(
つきのわどの
)
の
長築土
(
ながついじ
)
まで来ると、路傍の物売りや尼や
雑人
(
ぞうにん
)
たちの中に
交
(
ま
)
じって、旅笠に
垂
(
た
)
れ
衣
(
ぎぬ
)
した若い女性と、そのそばに年ごろ八、九歳の可憐な少年が寄り添っているのが見えた。
私本太平記:04 帝獄帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“衣”の意味
《名詞: ja》
(ころも)
(出典:Wiktionary)
“衣”の解説
料理において衣(ころも)とは揚げ物や和え物などで食材の周りに付けるものである。
(出典:Wikipedia)
衣
常用漢字
小4
部首:⾐
6画
“衣”を含む語句
衣服
上衣
衣裳
襯衣
白衣
胴衣
寛衣
被衣
衣類
御衣
法衣
白襯衣
単衣
浴衣
衣嚢
更衣
衣装
短衣
胸衣
寝衣
...