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ぎもの
云
聞せ
直己が隣家の女房を頼み
賣物には花を
飾れとやら何分宜敷御頼み申すと
髮形から
化粧迄其頃の風俗に
作り立
損料着物を借請
衣裳附まで長庵が
拔目なく差※をなしお文を
見れば
扨も
美男子色こそは
黒みたれ
眉目やさしく
口元柔和に
歳は
漸く
二十か
一か
繼々の
筒袖着物糸織ぞろへに
改めて
帶に
卷く
金鎖りきらびやかの
姿させて
見たし
流行の
花形俳優何として
及びもないこと
大家の
若旦那それ
至當の
役なるべし
汗出でて厚く着重ねたる木綿
衣は汗にて流るるが如きに至るを以て、
自ら臭気を発して、一種の不快を覚ゆると其
苦さとにて、
一日には僅に三四時間の労働に当るのみ。