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ポケツト
愛ちやんは
兎が
襯衣の
衣嚢から
時計を
取出して、
面白さうにそれを
燒いて
了うなんてことを、
是れまで
决して
見たことがないわと
心に
一寸思ひました。
小形の
聖書が何日でも
衣嚢に入れてあつた。
『お
前は
未だ
他に
何か
衣嚢に
持つてるの?』と
云ひ
足して、
愛ちやんの
方を
振向きました。
帽子屋が
先づ
其の
沈默を
破りました。『
何日だね?』と
云つて
愛ちやんの
方を
振向き、
衣嚢から
時計を
取り
出し、
不安さうにそれを
眺めて、
時々振つては
耳の
所へそれを
持つて
行きました。