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御金
「
坂井さん
見た
樣に、
御金があつて
遊んでゐるのが
一番可いわね」と
云つた
御米の
言葉を
聞いて、
小六は
又自分の
部屋へ
歸つて
行つた。
申請
御金會所にて金子受取參るべしと
云遣けるにぞ吉兵衞は
彼書付を
懷中なし
爰に
彌々決心し兼て
勝手を知し事なれば
御勘定の
部屋に到り右の
書付を差出ければ役人は是を
「
本當にね。
兄さんにさへ
御金があると、
何うでもして
上げる
事が
出來るんだけれども」と、
御世辭でも
何でもない、
同情の
意を
表した。