隠袋ポケット)” の例文
旧字:隱袋
と云いつつ、隠袋ポケットからかぎを取出して其箱を開けば、中から出て来たのは、金銀宝玉の装飾品数十種、いずれもまばゆきばかりの珍品である。
黄金の腕環:流星奇談 (新字新仮名) / 押川春浪(著)
「なに札は大丈夫だ。ほかの紙片かみぎれと違って活きてるから。こうやって、手でさわって見るとすぐ分るよ。隠袋ポケットの中で、ぴちぴちねてる」
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
こう云った小林は、手紙を隠袋ポケットへしまい込むと同時に、同じ場所から先刻の紙幣を三枚とも出して、それを食卓の上へ並べた。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
小林は受け取ったものを、赤裸あかはだかのまま無雑作むぞうさ背広せびろ隠袋ポケットの中へ投げ込んだ。彼の所作しょさが平淡であったごとく、彼の礼のかたも横着であった。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)