懐中ポケット)” の例文
旧字:懷中
彼は机の前に腰をかけて、懐中ポケットからパイプを取り出し机上にあったマリーランド煙草の箱の封を切ってそれを詰めてかしながら、何やら手紙を書き初めた。
水晶の栓 (新字新仮名) / モーリス・ルブラン(著)
新しく土を埋めたらしく柔らかくなっている竹片を紙にくるんで懐中ポケットへ入れると台所の方へ歩いていった。
誘拐者 (新字新仮名) / 山下利三郎(著)
『あいつが戸棚の鍵を取ろうと書記の懐中ポケットへ手を突き込もうとするといつのまにか縛ってあった腕の縄を解いていたんです。……だから泡食って突いたんです』
水晶の栓 (新字新仮名) / モーリス・ルブラン(著)
春日は渡邊に顛末てんまつをすべて速記させ、尚手紙も詳細に調べたがそれは、預って懐中ポケットへ収めた。
誘拐者 (新字新仮名) / 山下利三郎(著)
ふとこの時ルパンは先刻さっきジルベールがボーシュレーから奪って懐中ポケットへねじ込んだもののある事を思い出した。そしていきなりジルベールの懐中ポケットへ手を突込んだ。
水晶の栓 (新字新仮名) / モーリス・ルブラン(著)
懐中ポケットを探って煙草に火を点けて、勢いよく角家かどの「貸家老舗しにせ案内社」と染抜いた暖簾のれんを潜った、そして特別料金を払って、仔細に一枚々々綴込帳を調べた上二十分も経ってから
誘拐者 (新字新仮名) / 山下利三郎(著)