“ふところ”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:フトコロ
語句割合
45.7%
懐中37.3%
懷中7.9%
7.1%
懐裡0.5%
懐中物0.3%
懐裏0.3%
懷中物0.3%
懐袍0.1%
内懐0.1%
御懷0.1%
懷裡0.1%
胸懐0.1%
0.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
盲目のお婆さんは、座が定ると、から手拭を出して、それを例のごとく三角にしてつた。暢気な鼻唄が唸るやうに聞え出した。
(新字旧仮名) / 田山花袋(著)
一人も血統を残すなと厳しい探索の網を潜って、その時二歳のあなた様を懐中に抱えて逃げましたのが、このお霜なのでございます。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
湯治幾日往復旅錢と、切詰めた懷中だし、あひりませうならば、のうちに修善寺まで引返して、一旅籠かすりたい。
雨ふり (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
其頃東京むとき、にしては、んど使たしてゐた。福岡生活前後じて、中々苦鬪であつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
「善さん、しッかりなさいよ、お紙入れなんかお忘れなすッて」と、お熊が笑いながら出した紙入れを、善吉は苦笑いをしながら胸もあらわな寝衣懐裡へ押し込んだ。
今戸心中 (新字新仮名) / 広津柳浪(著)
死骸の懐中物まで抜くというじゃないか、——武家の悪戯は、町方役人の知ったことじゃねえと言う積りだろうが、一体誰がこれを取締ってくれるんだ、——銭形とか平次とか
それに生れてっと五月ばかしの赤子さんを、懐裏に確と抱締めて御居でなのでした。
昇降場 (新字新仮名) / 広津柳浪(著)
即ち蕪村は、その藪入りの娘に代って、彼の魂の哀切なノスタルジア、亡き母の懐袍に夢を結んだ、子守歌の古く悲しい、遠い追懐のオルゴールをいているのだ。
郷愁の詩人 与謝蕪村 (新字新仮名) / 萩原朔太郎(著)
と歌う蕪村は、常に寒々とした人生の孤独を眺めていた。そうした彼の寂しい心は、に火の燃える人の世の侘しさ、古さ、なつかしさ、暖かさ、楽しさを、慈母の懐袍のように恋い慕った。
郷愁の詩人 与謝蕪村 (新字新仮名) / 萩原朔太郎(著)
驚くべき敏捷さでもって、内懐から、黄色い手袋を出してめ、そしてどこに隠してあったのか、マスクをひょいと被ると、例の封筒を指先でみあげて、端の方を、で、静かにいた。
空襲葬送曲 (新字新仮名) / 海野十三(著)
この時に當りて、その御髮に結はせり。ここに小碓の命、その倭比賣の命御衣御裳を給はり、御懷れていでましき。
飛行家ほど自然の征服者のやうに見えるものもないが、その實、高く飛ぶことによつて、より大きな自然の懷裡に飛び込むことを身をもつて證據立てたのも、あの亞米利加人であつた。
桃の雫 (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
切なさは可懐しさに交つて、足もおのづからへて来た。あゝ、自然の胸懐一時慰藉に過ぎなかつた。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
喜いちゃんはから二十五銭出して私の前へ置きかけたが、私はそれに手を触れようともしなかった。
硝子戸の中 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)