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懐中
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くわいちう
ナント
異に
出来したでは
厶らぬか、
此詩を
懐中したれば、
門を
叩いて
驚かし
申さんかとは思ひしが、
夢中感得の
詩なれば、
何時何処にても、またやらかすと
云ふ
訳には
行かず
代助の
懐中は甚だ
手薄になつた。代助は此前
父に
逢つた時以後、もう
宅からは補助を受けられないものと覚悟を
極めてゐた。今更平気な
顔をして、のそ/\
出掛て行く了見は丸でなかつた。
始のほどは
高利の金を貸し付けて
暴利を
貪り、
作事を
構へて他を
陥れ、出ては
訴訟沙汰、
入ツては
俗事談判の
絶ゆる間も無き中に立ツて、
頑として、たゞ其の
懐中を
肥すことのみ
汲々としてゐた。
あなたの
懐中にある小さな詩集を見せてください
其上午餐を断つて、旅行するにしても、もう自分の
懐中を
当にする
訳には
行かなかつた。矢張り、兄とか
嫂とか、もしくは
父とか、いづれ反対派の
誰かを
痛めなければ、
身動が
取れない位地にゐた。