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形
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なり
ふりがな文庫
“
形
(
なり
)” の例文
としては
大
(
おおき
)
なものよ、大方猪ン中の王様があんな三角
形
(
なり
)
の冠を
被
(
き
)
て、
市
(
まち
)
へ出て来て、そして、私の
母様
(
おっかさん
)
の橋の上を通るのであろう。
化鳥
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
六日間も自転車競争場の桟敷で、さばけた
形
(
なり
)
をして酒の肴のザリ蟹を剥いてるところなぞ一緒にいてぞっとする程好かったですよ。
巴里祭
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
己の思うには当分は自分の差料にするより外に仕様がねえ、そこでその
侍
(
さむれえ
)
の
形
(
なり
)
恰好は己が知ってるが、安さん
面
(
つら
)
ア知ってるだろうな
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
二人
(
ふたり
)
はすでに
乾
(
かわ
)
ける砂を踏みて、今日の
凪
(
なぎ
)
を
地曳
(
じびき
)
すと立ち騒ぐ
漁師
(
りょうし
)
、貝拾う子らをあとにし、新月
形
(
なり
)
の浜を次第に人少なき
方
(
かた
)
に歩みつ。
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
「ツ、ツ、ツッ……」と、
喉
(
のど
)
の
捕縄
(
とりなわ
)
をつかみながら、孫兵衛だけは、
弦
(
つる
)
を張られた弓の
形
(
なり
)
に、そこへ、食いとめられてしまった。
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
大きな、笑うと目元に
小皺
(
こじわ
)
の寄る、
豊頬
(
ふっくり
)
した
如何
(
いか
)
にも愛嬌のある円顔で、
形
(
なり
)
も大柄だったが、何処か円味が有り、心も其通り
角
(
かど
)
が無かった。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
彼女はみじめな
形
(
なり
)
をしている。ことに色の
褪
(
あ
)
せた靴下が、焦げた靴の上にだらしなく下っているので、なおさらその感が深い。
ぶどう畑のぶどう作り
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
「この
形
(
なり
)
じゃあ眼についていけないんです、むやみに戦地のことをきかれるんでね、これがいちばん閉口です、どうかひとつ貸してください」
花咲かぬリラ
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
眼も遥かな下の線路に大の字
形
(
なり
)
にタタキ付けられている彼自身の死骸を見下したかのように、魂のドン底までも縮み上らせられたのであったが
木魂
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
那覇や首里を訪われるなら、そのゆかしい
形
(
なり
)
を何処にも見られるでしょう。何も貴族のみが
纏
(
まと
)
うのではありません。それは庶民の風俗なのです。
民芸四十年
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
何者か種子を蒔く時に、文字形にそれを蒔いたと見えて種子から生い出た草花の花が文字
形
(
なり
)
に崩れずに咲いている。そして
其
(
その
)
文字は斯うである——
死の復讐
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「それがね。髪も
形
(
なり
)
も取り乱しているが、ちょいと踏めるような中年増に酌をさせて、上機嫌に何か歌っていましたよ」
半七捕物帳:68 二人女房
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
するとそこに坐つてゐた男は、一寸眉をしかめて、口もとをへの字
形
(
なり
)
に歪めた。上人は泣き出しさうな顔をして、またその丸薬を手に取りあげた。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
何
(
なに
)
とはなしに
針
(
はり
)
をも
取
(
と
)
られぬ、
未
(
ま
)
だ
幼
(
いとけ
)
なくて
伯母
(
をば
)
なる
人
(
ひと
)
に
縫物
(
ぬひもの
)
ならひつる
頃
(
ころ
)
、
衽先
(
おくみさき
)
、
褄
(
つま
)
の
形
(
なり
)
など六づかしう
言
(
い
)
はれし
雨の夜
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
米友は口惜しがって
地団太
(
じだんだ
)
を踏みましたが、続いて同じような
形
(
なり
)
をして、同じ年頃の娘が、これも同じように頭巾で面を包んで出て来たのを見ると
大菩薩峠:13 如法闇夜の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「どうも坊主にはなっておらぬらしいが、どんな
風体
(
ふうてい
)
でいても見逃がすなよ。だがどうせ立派な
形
(
なり
)
はしていないのだ」
護持院原の敵討
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
夕陽を避けて壁際に大の字
形
(
なり
)
に仰臥した藤吉、傍に畏る葬式彦と
緒
(
とも
)
に、いささか出鼻を
挫
(
くじ
)
かれた心持ちで、に組の頭常吉の言葉に先刻から耳を傾けている。
釘抜藤吉捕物覚書:04 槍祭夏の夜話
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
身躰
(
からだ
)
ではないが、君が此
尫弱
(
ひよわ
)
い
形
(
なり
)
でどうしてあれだけの詩篇が出來、其詩篇が一々
椋實珠
(
むくろうじゆ
)
のやうに底光りのした鍛錬の痕を留めてをる、其精力の大さでした。
花守
(旧字旧仮名)
/
横瀬夜雨
(著)
これを銀之助の五分刈頭、顔の色赤々として、血肥りして、
形
(
なり
)
も
振
(
ふり
)
も関はず
腕捲
(
うでまく
)
りし乍ら、
談
(
はな
)
したり笑つたりする肌合に比べたら、其二人の相違は
奈何
(
どんな
)
であらう。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
その同勢三四十人の
形
(
なり
)
の
凄
(
すさ
)
まじさと申したら、
悪鬼羅刹
(
あっきらせつ
)
とはこのことでございませうか、裸身の上に申訳ばかりの
胴丸
(
どうまる
)
、
臑当
(
すねあて
)
を着けた者は半数もありますことか
雪の宿り
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
お
内儀
(
かみ
)
さん、わしどんな
形
(
なり
)
にか
家
(
うち
)
も
建
(
た
)
てなくつちやなんねえから、そん
時
(
とき
)
や
家族
(
うち
)
の
極
(
きま
)
りもつけべと
思
(
おも
)
つてんですが、お
内儀
(
かみ
)
さん
又
(
また
)
わしこと
面倒
(
めんだう
)
見
(
み
)
ておくんなせえ
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
四角な
蟹
(
かに
)
、円い蟹、「生きて居る間のおの/\の
形
(
なり
)
」を
果敢
(
はか
)
なく浪の来ぬ間の
沙
(
すな
)
に
痕
(
あと
)
つけたまでだ。
平将門
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
と、猫はことばをつづけて、——『わしはこの通り
形
(
なり
)
が小さくなって、わしが実は何者かということのよく分らぬ者の眼には、猫と見えるような仕儀になってしもうた。 ...
ムツェンスク郡のマクベス夫人
(新字新仮名)
/
ニコライ・セミョーノヴィチ・レスコーフ
(著)
隅の方には、葉の細い柿の樹が一本、くの字
形
(
なり
)
にひよろりとしてゐる。
實
(
な
)
らぬ柿の樹だ。其の下に地を掘ツた向ふの家の芥溜が垣根越しに見える。少し離れて臺所も見える。
昔の女
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
赤土の急勾配、溝のごとくになり、
辷
(
すべ
)
って転ぶ事も幾回なるを知らず、足を大の字
形
(
なり
)
に拡げて両側の草を踏みつつ、ヨタヨタ進まねば容易に登る事の出来ぬ場所も五、六町。
本州横断 癇癪徒歩旅行
(新字新仮名)
/
押川春浪
(著)
サンパンと云う船がここかしこに浮かんで
形
(
なり
)
に合しては大き過ぎるぐらいな
帆
(
ほ
)
を上げている。
満韓ところどころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
財布の中へ
礫
(
つぶて
)
か何か入れて置いて、人の頭へ叩きつけて、ざまあ見やがれ、
彼様
(
あんな
)
汚い
形
(
なり
)
を
我が円朝研究:「怪談牡丹灯籠」「江島屋騒動」「怪談乳房榎」「文七元結」「真景累ヶ淵」について
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
東の辰さんの家では、
形
(
なり
)
は小さいが気前の好い男振りの好い岩公が音頭とりで、「
人里
(
ひとざと
)
はなれた三軒屋でも、ソレ、住めば都の風が
吹
(
ふ
)
ゥくゥ、ドッコイ」
歌声
(
うたごえ
)
賑
(
にぎ
)
やかにばったばた。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
すなはち、そのまゝ、モーニング
形
(
なり
)
でわたくしは百花園へ乗込んだのである。
萩
(新字旧仮名)
/
久保田万太郎
(著)
家の近所では女中達が未だしどけない
形
(
なり
)
をして彼方此方で門を開けていた。
朝起の人達
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
「ちょッとああいったようなね、
頚
(
くび
)
つきでしたの。」女は下の人込みの中から、
形
(
なり
)
のいい五分刈り頭を見つけ出して、目をしおしおさせた。笹村もこそばゆいような体を前へ乗り出して見下した。
黴
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
三角
形
(
なり
)
の
街燈
(
がいたう
)
の鉄の支
柱
(
ちゆう
)
によろけかかつて腰をつき
東京景物詩及其他
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
「あれ、お前さん。そんな
形
(
なり
)
で」
銭形平次捕物控:227 怪盗系図
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
山吹
(
やまぶき
)
や
笠
(
かさ
)
に挿すべき枝の
形
(
なり
)
郷愁の詩人 与謝蕪村
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
賢
(
さか
)
しき
心
(
こゝろ
)
、
清
(
きよ
)
き
形
(
なり
)
花枕
(旧字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
防がんやうなく
只濡
(
ひたぬれ
)
なるに脊はまた汗なり一里に足らぬ峠なれど
急上
(
きふのぼ
)
りの
急下
(
きふくだ
)
りなれば大辟易の形となりぬ
頓
(
やが
)
て峠へ上りつきて餅屋にて
云々
(
しか/″\
)
の
形
(
なり
)
の者は通らずやと聞けば先にお
下
(
くだ
)
りになりましたと云ふ
偖
(
さて
)
は梅花道人も谷へは落ちざりしかと安心し
下
(
くだ
)
りとならば嶮しとて
一跳
(
ひとはね
)
にせんものと雨を
木曽道中記
(旧字旧仮名)
/
饗庭篁村
(著)
可哀
(
かあい
)
や我故
身形
(
みなり
)
も
構
(
かま
)
はず
此寒空
(
このさむそら
)
に
袷
(
あはせ
)
一ツ寒き樣子は見せねども此頃は苦勞の故か
面痩
(
おもやせ
)
も見えて
一入
(
ひとしほ
)
不便に思ふなり今宵は
何方
(
いづかた
)
へ行しにや最早
初更
(
しよや
)
近きに
戻
(
もど
)
り
來
(
こ
)
ねば晝は身
形
(
なり
)
の
窶然
(
みすぼらし
)
く金の
才覺
(
さいかく
)
にも出
歩行
(
あるか
)
れぬ故夜に入て才覺に出行しか女の夜道は
不用心
(
ぶようじん
)
若
(
もし
)
惡者
(
わるもの
)
に
出會
(
であ
)
はぬか
提灯
(
ちやうちん
)
は持ち行しか是と云も皆我が身の
在
(
ある
)
故なり
生甲斐
(
いきがひ
)
もなき身を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
な、三日月
形
(
なり
)
だろう、この
界隈
(
かいわい
)
でちっとでも後暗いことのある者は、あれを知らぬは無いくらいだ。といえば八蔵はしたり顔にて
活人形
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
一体
角力取
(
すもうとり
)
の愛敬というものは大きい
形
(
なり
)
で
怖
(
こわ
)
らしい姿で太い声の中に、
何
(
なん
)
となく
一寸
(
ちょっと
)
愛敬のあるものでのさり/\と歩いて参りまして
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
親船には恐怖と
大寂
(
だいじゃく
)
が残った。松兵衛と新吉とは、最前から
額
(
ひたい
)
をすりつけてしまったまま、
雷
(
らい
)
にうたれたようにうッ伏した
形
(
なり
)
となっていた。
鳴門秘帖:04 船路の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
嘘
(
うそ
)
か
誠
(
まこと
)
か九十九
夜
(
よ
)
の
辛棒
(
しんぼう
)
をなさりませ、
菊
(
きく
)
の
井
(
ゐ
)
のお
力
(
りき
)
は
鑄型
(
いがた
)
に
入
(
はい
)
つた
女
(
おんな
)
でござんせぬ、
又
(
また
)
形
(
なり
)
のかはる
事
(
こと
)
もありまするといふ、
旦那
(
だんな
)
お
歸
(
かへ
)
りと
聞
(
きい
)
て
朋輩
(
ほうばい
)
の
女
(
をんな
)
にごりえ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
お佐代さんは
形
(
なり
)
ふりに構わず働いている。それでも「岡の小町」と言われた昔の
俤
(
おもかげ
)
はどこやらにある。このころ黒木孫右衛門というものが仲平に逢いに来た。
安井夫人
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
ゲエテはその『狐の裁判』で、「猫は
形
(
なり
)
こそ小さいが、分別もあり、哲学をも知つてゐる。」と言つた。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
その同勢三四十人の
形
(
なり
)
の
凄
(
すさ
)
まじさと申したら、
悪鬼羅刹
(
あっきらせつ
)
とはこのことでございましょうか、裸身の上に申訳ばかりの
胴丸
(
どうまる
)
、
臑当
(
すねあて
)
を着けた者は半数もありますことか
雪の宿り
(新字新仮名)
/
神西清
(著)
正しく仕える身であるから、彼らは
淫
(
みだら
)
な
形
(
なり
)
を慎む。相応しき体を整え、謹ましく衣を染める。
奢
(
おご
)
る風情は器らしき姿ではない。華かに過ぎるなら、仕える心に
悖
(
もと
)
るではないか。
工芸の道
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
火の海の表面から湧き起った
仄黄色
(
ほのきいろ
)
い水蒸気と、煙と、焔の一団が、渦巻き合いながら中空の
暗
(
やみ
)
へ消え入ると、あとに等身大の大の字
形
(
なり
)
の黒い斑点が残っていたが、それとてもやがて又
オンチ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
皆具
(
かいぐ
)
取鎧
(
とりよろ
)
うて
草摺長
(
くさずりなが
)
にザックと着なした
大鎧
(
おおよろい
)
で茶室へも通れまいし、又如何に茶に招かれたにしても
直
(
ただち
)
に其場より修羅の
衢
(
ちまた
)
に踏込もうというのに
袴
(
はかま
)
肩衣
(
かたぎぬ
)
で、其肩衣の鯨も抜いたような
形
(
なり
)
も変である。
蒲生氏郷
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
「
形
(
なり
)
でみると相当な店の隠居らしいがな」
追いついた夢
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
すでについたる
実
(
み
)
の
形
(
なり
)
の
第二海豹と雲
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
ほほう生れかわって
娑婆
(
しゃば
)
へ出たから、争われねえ、島田の姉さんがむつぎにくるまった
形
(
なり
)
になった、はははは、縫上げをするように腕を
葛飾砂子
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
形
常用漢字
小2
部首:⼺
7画
“形”を含む語句
形容
形相
人形
異形
形成
形態
形状
円形
形体
形象
大形
地形
花形
外形
印形
弓形
扇形
形式
形勢
女形
...