トップ
>
成
>
なり
ふりがな文庫
“
成
(
なり
)” の例文
與
(
よ
)
四
郎
(
らう
)
心
(
こゝろ
)
をつけて
物事
(
ものごと
)
を
見
(
み
)
るに、さながら
戀
(
こひ
)
に
心
(
こゝろ
)
をうばゝれて
空虚
(
うつろ
)
に
成
(
なり
)
し
人
(
ひと
)
の
如
(
ごと
)
く、お
美尾
(
みを
)
お
美尾
(
みを
)
と
呼
(
よ
)
べば
何
(
なに
)
えと
答
(
こた
)
ゆる
詞
(
ことば
)
の
力
(
ちから
)
なさ
われから
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
之
(
これ
)
が
吉瑞
(
きちずゐ
)
と
成
(
なり
)
けん、此年此家の
娶
(
よめ
)
初産
(
うひざん
)
に
男子
(
なんし
)
をまうけ、やまひもなくておひたち、三ツのとし
疱瘡
(
はうさう
)
もかろくして今年七ツになりぬ。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
上野のお
成
(
なり
)
街道を横切ってくる小川に添った
片側
(
かたがわ
)
町の露地で、野暮にいえば下谷の
源助店
(
げんすけだな
)
、丹頂のお
粂
(
くめ
)
がひとり暮らしの
住居
(
すまい
)
であります。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
日来
(
ひごろ
)
武に誇り、
本所
(
ほんじょ
)
を
無
(
なみ
)
する権門高家の武士共いつしか諸庭奉公人と
成
(
なり
)
、或は軽軒香車の後に走り、或は青侍格勤の前に
跪
(
ひざまず
)
く。
四条畷の戦
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
俳諧は連歌ほどはいはず。
総別
(
そうべつ
)
景気の句は皆ふるし。一句の曲なくては
成
(
なり
)
がたき故つよくいましめ置たる也。木導が春風、景曲第一の句也。
俳人蕪村
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
▼ もっと見る
「殊ニ身ニシムヤウニ聞ユルハ、御謀反ノ志ヲモ聞セ給フベケレバ、事ノ
成
(
なり
)
ナラズモ
覚束
(
おぼつか
)
ナク、又ノ対面モ如何ナラムト
思召
(
おぼしめす
)
御胸ヨリ出レバナルベシ」
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
引取
(
ひきと
)
り
元
(
もと
)
主人
(
しゆじん
)
五兵衞方へ
改
(
あらた
)
めて養子にぞ
遣
(
つか
)
はしける然ば
昨日迄
(
きのふまで
)
に遠き八丈の
島守
(
しまもり
)
となりし身が今日は此
大家
(
たいか
)
の養子と
成
(
なり
)
し事實に忠義の
餘慶
(
よけい
)
天より
福
(
さいは
)
ひを
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
そして、どうなるのだろうと
成
(
なり
)
ゆきをみていた。はたして、しばらくすると、その中の一名が、ほかの人をおしのけて、丁坊のまえにつかつかと出てきた。
大空魔艦
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
榛軒は帰途に上つて、始めて此日徳川将軍の「お
成
(
なり
)
」のために交通を遮断せられたことを聞き知つた。枳園は罪を謝するに当つて、絶てこれを口に上せなかつた。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
夜軍
(
よいくさ
)
に
成
(
なり
)
て、
暗
(
くらさ
)
は暗し、大将軍頭中将重衡、般若寺の門に
打立
(
うちたち
)
て『火を出せ』と
宣
(
のたま
)
ふ程こそ
在
(
あり
)
けれ。
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
夜叉王 思ひもよらぬお
成
(
なり
)
とて、なんの設けもござりませぬが、先づあれへお通りくださりませ。
修禅寺物語
(旧字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
国子当時
蝉表
(
せみおもて
)
職中一の
手利
(
てきき
)
に
成
(
なり
)
たりと風説あり
今宵
(
こよい
)
は例より、酒
甘
(
うま
)
しとて母君大いに
酔
(
よい
)
給ひぬ。
樋口一葉
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
わが心はすでに天地とひとつに
成
(
なり
)
ぬ、わがこゝろざしは国家の大本にあり、わがかばねは野外にすてられて、やせ犬のゑじきに成らんを期す、われつとむるといへども賞をまたず
一葉の日記
(新字旧仮名)
/
久保田万太郎
(著)
「へゝゝ、
誰
(
だれ
)
にお
聞
(
き
)
き
遊
(
あそ
)
ばしたやら、
大分
(
だいぶ
)
高慢
(
かうまん
)
な
口
(
くち
)
をお
利
(
き
)
きに
成
(
なり
)
ます、お廿六で、」
月夜車
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
御老中は勿論将軍家も年に二度ぐらいはお
成
(
なり
)
になるという
定例
(
じょうれい
)
でございます、
即
(
すなわ
)
ち正面の
高座敷
(
たかざしき
)
が将軍家の御座所でございまして、御老中、
若年寄
(
わかどしより
)
、寺社奉行、
大目附
(
おおめつけ
)
、
御勘定
(
ごかんじょう
)
奉行、
郡
(
こおり
)
奉行
後の業平文治
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
それから加賀の石川郡の
出城
(
でじろ
)
村大字
成
(
なり
)
の字は、字維、字新、字以、字来、字文、字明、字開、字化というのであり、いずれも無造作の中に著しくあの時代の生活趣味を現わしているのが面白い。
地名の研究
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
人品
(
じんぴん
)
を落すほどに
粧
(
つく
)
ッて、衣服も
成
(
なり
)
たけ
美
(
よ
)
いのを
撰
(
えら
)
んで着て行く。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
さしもに
中
(
なか
)
よし
成
(
なり
)
けれど
正太
(
しようた
)
とさへに
親
(
した
)
しまず、いつも
耻
(
はづ
)
かし
氣
(
げ
)
に
顏
(
かほ
)
のみ
赤
(
あか
)
めて
筆
(
ふで
)
やの
店
(
みせ
)
に
手踊
(
てをどり
)
の
活溌
(
かつぱつ
)
さは
再
(
ふたゝ
)
び
見
(
み
)
るに
難
(
かた
)
く
成
(
なり
)
ける
たけくらべ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
「お
邸内
(
やしきうち
)
のお
成
(
なり
)
御殿
(
ごてん
)
は、おととしから去年にかけて
竣工
(
できあ
)
がっているが、またことしの春も、お
成
(
なり
)
があるというので、庭のお手入れだ。大したものだぜ」
梅里先生行状記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
把
(
とり
)
お菊の部屋へ
誘引
(
いざなひ
)
たり然るに此お菊は
幼年
(
えうねん
)
より吉三郎と
云號
(
いひなづけ
)
と聞居たりしが
今年
(
ことし
)
十七歳に
成
(
なり
)
始めて吉三郎を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
然れば惜むべきを、ひめ隠しおかば、荷田大人の功も
徒
(
いたづら
)
に
成
(
なり
)
なんと、我友皆いへればしるしつ
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
わたしは千葉の者であるが、
馬琴
(
ばきん
)
の八犬伝でおなじみの里見の家は、
義実
(
よしざね
)
、義
成
(
なり
)
、義
通
(
みち
)
、
実尭
(
さねたか
)
、義
豊
(
とよ
)
、義
尭
(
たか
)
、義
弘
(
ひろ
)
、義
頼
(
より
)
、義
康
(
やす
)
の九代を伝えて、十代目の
忠義
(
ただよし
)
でほろびたのである。
青蛙堂鬼談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
最
(
も
)
う
此
(
こ
)
の
頃
(
ごろ
)
には、それとなく
風
(
かぜ
)
のたよりに、
故郷
(
こきやう
)
の
音信
(
いんしん
)
を
聞
(
き
)
いて
自殺
(
じさつ
)
した
嫂
(
あによめ
)
のお
春
(
はる
)
の
成
(
なり
)
ゆきも、
皆
(
みな
)
其
(
そ
)
の
心得違
(
こゝろえちが
)
ひから
起
(
おこ
)
つた
事
(
こと
)
と
聞
(
き
)
いて
知
(
し
)
つて
居
(
ゐ
)
たので、
自分
(
じぶん
)
、
落目
(
おちめ
)
なら
自棄
(
やけ
)
にも
成
(
な
)
らうが
二た面
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
他處目
(
よそめ
)
うら
山
(
やま
)
しう
見
(
み
)
えて、
面白
(
おもしろ
)
げ
成
(
なり
)
しが、
旦那
(
だんな
)
さま
好
(
よ
)
き
頃
(
ころ
)
と
見
(
み
)
はからひの
御積
(
おつも
)
りなるべく、
年來
(
としごろ
)
足
(
た
)
らぬ
事
(
こと
)
なき
家
(
いへ
)
に
子
(
こ
)
の
無
(
な
)
きをばかり
口惜
(
くちを
)
しく
われから
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
結ぶ時とぞ
成
(
なり
)
にき澤の井
密
(
ひそか
)
に徳太郎君に
向
(
むか
)
ひかね/\君の
御情
(
おなさけ
)
を蒙り
嬉
(
うれ
)
しくもまた
悲
(
かな
)
しくいつか
御胤
(
おたね
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
たった一度の湯治お
成
(
なり
)
に万金の工費をかけて、そのまま建ちぐされとなっている将軍家のお
湯浴
(
ゆあみ
)
御殿や諸侯の湯荘など、
築地
(
ついじ
)
なまこ塀の建ち並ぶ小路をスタスタと話もせずに急いで
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「ええ
可
(
よ
)
うございますともね。だが何ですよ。
成
(
なり
)
たけ両方をゆっくり取るようにしておかないと、当節は
喧
(
やかま
)
しいんだからね。距離をその八尺ずつというお達しでさ、御承知でもございましょうがね。」
露肆
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
家内
(
うち
)
に
居
(
ゐ
)
れば
私
(
わたし
)
の
傍
(
そば
)
ばつかり
覗
(
ねら
)
ふて、ほんに/\
手
(
て
)
が
懸
(
かゝ
)
つて
成
(
なり
)
ませぬ、
何故
(
なぜ
)
彼樣
(
あんな
)
で
御座
(
ござ
)
りませうと
言
(
い
)
ひかけて
思
(
おも
)
ひ
出
(
だ
)
しの
涙
(
なみだ
)
むねの
中
(
なか
)
に
漲
(
みなぎ
)
るやうに
十三夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
浜町
(
はまちょう
)
菖蒲河岸
(
あやめがし
)
の御船御殿というのは、将軍家
船
(
ふね
)
お
成
(
なり
)
の節に、
御台所
(
みだいどころ
)
づき大奥の女中たちが、よそながら
陪観
(
ばいかん
)
するお数寄屋であったが、いつからか、そこにあでやかな一人の貴婦人が棲むようになり
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
私
(
わたし
)
の
樣
(
やう
)
な
不運
(
ふうん
)
の
母
(
はゝ
)
の
手
(
て
)
で
育
(
そだ
)
つより
繼母御
(
まゝはゝご
)
なり
御手
(
おて
)
かけなり
氣
(
き
)
に
適
(
かな
)
ふた
人
(
ひと
)
に
育
(
そだ
)
てゝ
貰
(
もら
)
ふたら、
少
(
すこ
)
しは
父御
(
てゝご
)
も
可愛
(
かわゆ
)
がつて
後々
(
のち/\
)
あの
子
(
こ
)
の
爲
(
ため
)
にも
成
(
なり
)
ませう
十三夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
ひどく
弱
(
よわ
)
つて
居
(
い
)
るやうだなと
見知
(
みし
)
りの
臺屋
(
だいや
)
に
咎
(
とが
)
められしほど
成
(
なり
)
しが、
父親
(
ちゝおや
)
はお
辭氣
(
じぎ
)
の
鐵
(
てつ
)
とて
目上
(
めうへ
)
の
人
(
ひと
)
に
頭
(
つむり
)
をあげた
事
(
こと
)
なく
廓内
(
なか
)
の
旦那
(
だんな
)
は
言
(
い
)
はずともの
事
(
こと
)
たけくらべ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
夫
(
そ
)
れは
何
(
ど
)
ういふ
子細
(
しさい
)
でと
父
(
ちゝ
)
も
母
(
はゝ
)
も
詰寄
(
つめよ
)
つて
問
(
とひ
)
かゝるに
今
(
いま
)
までは
默
(
だま
)
つて
居
(
ゐ
)
ましたれど
私
(
わたし
)
の
家
(
うち
)
の
夫婦
(
めをと
)
さし
向
(
むか
)
ひを
半日
(
はんにち
)
見
(
み
)
て
下
(
くだ
)
さつたら
大底
(
たいてい
)
が
御解
(
おわか
)
りに
成
(
なり
)
ませう
十三夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
明
(
あけ
)
ぬれば月は空に
還
(
かへ
)
りて
名残
(
なごり
)
もとゞめぬを、
硯
(
すずり
)
はいかさまに
成
(
なり
)
ぬらん、
夜
(
よ
)
な/\影や
待
(
まち
)
とるらんと
憐
(
あはれ
)
なり。
月の夜
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
要
(
えう
)
なき
胸
(
むね
)
は
痛
(
いた
)
めけん、
愚
(
おろ
)
かしさよと
一人
(
ひとり
)
笑
(
ゑ
)
みして、
竹椽
(
ちくえん
)
のはしに
足
(
あし
)
を
休
(
やす
)
めぬ、
晩風
(
ばんぷう
)
凉
(
すゞ
)
しく
袂
(
たもと
)
に
通
(
かよ
)
ひて、
空
(
そら
)
に
飛
(
とび
)
かふ
蝙蝠
(
かはほり
)
のかげ二つ三つ、
夫
(
それ
)
すら
漸
(
やうや
)
く
見
(
み
)
えず
成
(
なり
)
ゆく
たま襻
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
三日
(
みつか
)
とも
数
(
かぞ
)
へずして
驚
(
おどろ
)
くばかりに
成
(
なり
)
ぬ、
秋
(
あき
)
かぜ
少
(
すこ
)
しそよ/\とすれば
端
(
はし
)
のかたより
果敢
(
はか
)
なげに
破
(
やぶ
)
れて
風情
(
ふぜい
)
次第
(
しだい
)
に
淋
(
さび
)
しくなるほど
雨
(
あめ
)
の
夜
(
よ
)
の
音
(
おと
)
なひこれこそは
哀
(
あは
)
れなれ
雨の夜
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
珍
(
めづ
)
らしく
家内中
(
うちゞう
)
との
觸
(
ふ
)
れに
成
(
なり
)
けり、
此
(
この
)
お
供
(
とも
)
を
嬉
(
うれ
)
しがるは
平常
(
つね
)
のこと、
父母
(
ちゝはゝ
)
なき
後
(
のち
)
は
唯
(
たゞ
)
一人の
大切
(
たいせつ
)
な
人
(
ひと
)
が、
病
(
やま
)
ひの
床
(
とこ
)
に
見舞
(
みま
)
ふ
事
(
こと
)
もせで、
物見遊山
(
ものみゆさん
)
に
歩
(
ある
)
くべき
身
(
み
)
ならず
大つごもり
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
何
(
ど
)
うも
何
(
なん
)
とも
言
(
い
)
はれぬ
氣持
(
きもち
)
に
成
(
なり
)
ました、
貴郎
(
あなた
)
には
笑
(
わら
)
はれて、
叱
(
し
)
かられる
樣
(
やう
)
な
事
(
こと
)
で
御座
(
ござ
)
りましよと
下
(
した
)
を
向
(
む
)
いて
在
(
おは
)
するに、
見
(
み
)
れば
涙
(
なみだ
)
の
露
(
つゆ
)
の
玉
(
たま
)
、
膝
(
ひざ
)
にこぼれて
怪
(
あや
)
しう
思
(
おも
)
はれぬ。
われから
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
もとは
檀家
(
だんか
)
の一
人
(
にん
)
成
(
なり
)
しが
早
(
はや
)
くに
良人
(
おつと
)
を
失
(
うし
)
なひて
寄
(
よ
)
る
邊
(
べ
)
なき
身
(
み
)
の
暫時
(
しばらく
)
こゝにお
針
(
はり
)
やとひ
同樣
(
どうやう
)
、
口
(
くち
)
さへ
濡
(
ぬ
)
らさせて
下
(
くだ
)
さらばとて
洗
(
あら
)
ひ
濯
(
そゝ
)
ぎよりはじめてお
菜
(
さい
)
ごしらへは
素
(
もと
)
よりの
事
(
こと
)
たけくらべ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
いと
恥
(
はづ
)
かしうて
是
(
こ
)
れ
習
(
なら
)
ひ
得
(
え
)
ざらんほどはと
家
(
いへ
)
に
近
(
ちか
)
き
某
(
それ
)
の
社
(
やしろ
)
に
日参
(
につさん
)
といふ
事
(
こと
)
をなしける、
思
(
おも
)
へば
夫
(
そ
)
れも
昔
(
むか
)
し
成
(
なり
)
けり、をしへし
人
(
ひと
)
は
苔
(
こけ
)
の
下
(
した
)
になりて
習
(
なら
)
ひとりし
身
(
み
)
は
大方
(
おほかた
)
もの
忘
(
わす
)
れしつ
雨の夜
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
歌よみがましきは憎きものなれどかゝる
夜
(
よ
)
の
一言
(
ひとこと
)
には身にしみて思ふ友とも
成
(
なり
)
ぬべし。
月の夜
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
婢女
(
はしため
)
ども気味わるがりて
咡
(
ささや
)
き合ひしが、門の扉の
明
(
あけ
)
くれに用心するまでもなく、垣に
枝
(
し
)
だれし柿の実ひとつ、事もなくして一月あまりも過ぎぬるに、
何時
(
いつ
)
となく忘れて噂も出ず
成
(
なり
)
しが
琴の音
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
此池
(
このいけ
)
の深さいくばくとも
測
(
はか
)
られぬ
心地
(
こゝち
)
に
成
(
なり
)
て、月は
其
(
その
)
そこの
底
(
そこ
)
のいと深くに住むらん物のやうに思はれぬ、久しうありて
仰
(
あふ
)
ぎ見るに空なる月と水のかげと
孰
(
いづ
)
れを
誠
(
まこと
)
のかたちとも思はれず
月の夜
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
秋
(
あき
)
より
只
(
たゞ
)
一人の
伯父
(
おぢ
)
が
煩
(
わづら
)
ひて、
商賣
(
しやうばい
)
の
八百
(
やを
)
や
店
(
みせ
)
もいつとなく
閉
(
と
)
ぢて、
同
(
おな
)
じ
町
(
まち
)
ながら
裏屋
(
うらや
)
住居
(
ずまゐ
)
に
成
(
なり
)
しよしは
聞
(
き
)
けど、六づかしき
主
(
しゆう
)
を
持
(
も
)
つ
身
(
み
)
の
給金
(
きうきん
)
を
先
(
さ
)
きに
貰
(
もら
)
へえば
此身
(
このみ
)
は
賣
(
う
)
りたるも
同
(
おな
)
じ
事
(
こと
)
大つごもり
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
二つの
手桶
(
てをけ
)
に
溢
(
あふ
)
るゝほど
汲
(
く
)
みて、十三は
入
(
い
)
れねば
成
(
な
)
らず、
大汗
(
おほあせ
)
に
成
(
な
)
りて
運
(
はこ
)
びけるうち、
輪寳
(
りんぽう
)
のすがりし
曲
(
ゆが
)
み
齒
(
ば
)
の
水
(
みづ
)
ばき
下駄
(
げた
)
、
前鼻緒
(
まへばなを
)
のゆる/\に
成
(
な
)
りて、
指
(
ゆび
)
を
浮
(
う
)
かさねば
他愛
(
たわい
)
の
無
(
な
)
きやう
成
(
なり
)
し
大つごもり
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
二つの
手桶
(
てをけ
)
に
溢
(
あふ
)
るるほど
汲
(
く
)
みて、十三は入れねば成らず、大汗に成りて運びけるうち、
輪宝
(
りんぽう
)
のすがりし
曲
(
ゆが
)
み歯の水ばき
下駄
(
げた
)
、前鼻緒のゆるゆるに成りて、指を浮かさねば
他愛
(
たわい
)
の無きやう
成
(
なり
)
し
大つごもり
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
涙をかくして乗り移る哀れさ、
家
(
うち
)
には父が
咳払
(
せきばら
)
ひのこれもうるめる声
成
(
なり
)
し。
十三夜
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
玉
(
たま
)
の
姫樣
(
ひめさま
)
御出生
(
ごしつしやう
)
と
聞
(
き
)
きも
敢
(
あ
)
へず、
散
(
ち
)
るや
櫻
(
さくら
)
の
我
(
わ
)
が
名
(
な
)
空
(
むな
)
しく
成
(
なり
)
ぬるを、
何處
(
いづく
)
に
知
(
し
)
りてか
六三
(
ろくさ
)
天地
(
てんち
)
に
哭
(
なげ
)
きて、
姫
(
ひめ
)
が
命
(
いのち
)
は
我
(
わ
)
れ
故
(
ゆゑ
)
と
計
(
ばかり
)
、
短
(
みじ
)
かき
契
(
ちぎ
)
りに
淺
(
あさ
)
ましき
宿世
(
しゆくせ
)
を
思
(
おも
)
へば、
一人
(
ひとり
)
殘
(
のこ
)
りて
我
(
わ
)
れ
何
(
なん
)
とせん
暁月夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
此處
(
こゝ
)
三十
里
(
り
)
の
隔
(
へだ
)
てなれども
心
(
こゝろ
)
かよはずは八
重
(
へ
)
がすみ
外山
(
とやま
)
の
峰
(
みね
)
をかくすに
似
(
に
)
たり、
花
(
はな
)
ちりて
青葉
(
あをば
)
の
頃
(
ころ
)
までにお
縫
(
ぬひ
)
が
手
(
て
)
もとに
文
(
ふみ
)
三
通
(
つう
)
、こと
細
(
こま
)
か
成
(
なり
)
けるよし、
五月雨
(
さみだれ
)
軒
(
のき
)
ばに
晴
(
は
)
れまなく
人戀
(
ひとこひ
)
しき
折
(
をり
)
ふし
ゆく雲
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
去年
向島
(
むかふじま
)
の花見の時女房づくりして
丸髷
(
まるまげ
)
に結つて
朋輩
(
ほうばい
)
と共に遊びあるきしに土手の茶屋であの子に逢つて、これこれと声をかけしにさへ私の若く
成
(
なり
)
しに
呆
(
あき
)
れて、お
母
(
つか
)
さんでござりますかと驚きし様子
にごりえ
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
去年
(
きよねん
)
向島
(
むかふじま
)
の
花見
(
はなみ
)
の
時
(
とき
)
女房
(
にようぼう
)
づくりして
丸髷
(
まるまげ
)
に
結
(
ゆ
)
つて
朋輩
(
ほうばい
)
と
共
(
とも
)
に
遊
(
あそ
)
びあるきしに
土手
(
どて
)
の
茶屋
(
ちやゝ
)
であの
子
(
こ
)
に
逢
(
あ
)
つて、これ/\と
聲
(
こゑ
)
をかけしにさへ
私
(
わたし
)
の
若
(
わか
)
く
成
(
なり
)
しに
呆
(
あき
)
れて、お
母
(
つか
)
さんでござりますかと
驚
(
おどろ
)
きし
樣子
(
やうす
)
にごりえ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
成
常用漢字
小4
部首:⼽
6画
“成”を含む語句
成長
相成
形成
成立
完成
可成
成就
成程
構成
成熟
成人
成功
御成
成道
老成
成丈
行成
編成
大願成就
相成候
...