“いでたち”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:イデタチ
語句割合
扮装57.8%
打扮9.0%
出立9.0%
服装4.5%
装束3.5%
扮裝3.0%
扮粧2.5%
1.5%
身装1.5%
1.0%
風体1.0%
装立0.5%
打份0.5%
啓行0.5%
打揃0.5%
旅裝0.5%
服裝0.5%
行装0.5%
衣装0.5%
衣裝0.5%
装衣0.5%
身裝0.5%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
白地に星模様のたてネクタイ、金剛石ダイアモンド針留ピンどめの光っただけでも、天窓あたまから爪先つまさきまで、その日の扮装いでたち想うべしで、髪から油がとろけそう。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
和蘭風な打扮いでたちで、尖柱戯をして居るのに邂逅であつたことがある、かれもある夏の昼過に、たまを転ばすやうな音を聞いたことがあるといひます。
新浦島 (新字旧仮名) / ワシントン・アーヴィング(著)
洋服出立いでたちで鉄砲をもった若い男三四人、それに兎だの鴨だの一ぱい入れた網嚢あみぶくろかついだ男が一人——此れは島の者だ——どやどや騒いで立って居る。
漁師の娘 (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
渠は紳士というべき服装いでたちにはあらざるなり。されどもその相貌そうぼうとその髭とは、多くべからざる紳士の風采ふうさいを備えたり。
義血侠血 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
白い著物、白いかつら、手は足は、すべて旅の装束いでたちである。頭より上に出た杖をついて——九柱。この坦に来て、森の前に立つた。
死者の書:――初稿版―― (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
たれおも怪我人けがにんはこばれたのだと勘次かんじぐにさとつてさうしてなんだか悚然ぞつとした。かれ業々げふ/\しい自分じぶん扮裝いでたちぢて躊躇ちうちよしつゝ案内あんないうた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
葉子はそんな人間からは一段も二段も高い所にいるような気位きぐらいを感じた。自分の扮粧いでたちがその人たちのどれよりも立ちまさっている自信を十二ぶんに持っていた。
或る女:2(後編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)
扉を排して入って来たのは、年の頃四十二三の、骨と皮ばかりに瘠せた背の高い男で、喪服のような黒づくめのいでたちをし、眠そうに瞼を垂れた極めて陰気な人物である。
魔都 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
同じく有竹松太郎——これは商売が独楽こま廻しなので、身装いでたちもそれにやつしてい、さらに虚無僧こむそうに身を変えている、関口勘之丞と僧の範円——以上が同伴しているのであった。
猫の蚤とり武士 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
さて二ばんに仮面めんをあてゝ鈿女うずめいでたちたる者一人、はうきのさきに紙に女阴ぢよいんをゑがきたるをつけてかたぐ。
夜光を背にしてよくは見えないが、つんつるてんの紺飛白こんがすりに白い兵児へこ帯を太く巻いて、後世の英傑西郷先生の元祖みたいな風体いでたちだ。髪は、戦国風の太茶筌ふとちゃせん。釣竿を差し伸べて片手に魚籠びくげている。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
義仲この日の装立いでたちは、赤地の錦の直垂に唐綾縅の鎧、厳物いかもの作りの太刀、鍬形打った兜の緒をしめ、背に二十四さした石打の矢がうちつづく戦闘でまだ少し残っていた。
その日の装立いでたちは、かちんに白と黄の糸で千鳥が岩に群れ遊んでいる直垂、紫裾濃むらさきすそごの鎧、鍬形くわがた打った兜の緒をしめ、黄金作こがねづくりの太刀、切斑きりふの矢二十四本を背に、重籐の弓を持ち
わずかに店の余地でしまの綿服にたすきがけのボオイが曹達水ソーダすいの給仕をしており、手狭な風月の二階では、同じ打份いでたちの男給仕が、フランス風の料理を食いに来る会社員たちにサアビスしていた。
縮図 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
松島はすらりとしたせ形で、上等の上布がすり錦紗きんしゃ兵児帯へこおびをしめ、本パナマの深い帽子で禿はげを隠し、白足袋たび雪踏穿せったばきという打份いでたちで、小菊や品子を堅気らしく作らせ、物聴山ものききやまとか水沢の観音とか
縮図 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
第二せつの妙は初齣をゆること一等なりき。これヂドとエネエアスとの對歌ヅエツトオなり。ヂドは無情なる夫のせめては啓行いでたちの日をおそうせんことを願へり。君が爲めにはわれリユビアの種族をはづかしめき。
「武士とや。打揃いでたちは」
武蔵野 (新字新仮名) / 山田美妙(著)
すると軌道レール沿ふて三にん田舍者ゐなかもの小田原をだはら城下じやうかるといふ旅裝いでたちあかえるのはむすめの、しろえるのは老母らうぼの、からげたこし頑丈ぐわんぢやうらしいのは老父おやぢさんで
湯ヶ原より (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
旅僧たびそう年紀とし四十二三、全身ぜんしんくろせて、はなたかく、まゆく、耳許みゝもとよりおとがひおとがひよりはなしたまで、みじかひげまだらひたり。けたる袈裟けさいろせて、法衣ころもそでやぶれたるが、服裝いでたちれば法華宗ほつけしうなり。
旅僧 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
例の、人目を驚かすばかりな風流行装いでたちで、小鷹狩こたかがりの帰りを、佐々木道誉、秀綱の父子が、従者大勢と共に東山の妙法院のそとを通りかけた。
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
折からとある茶屋の床几しやうぎに腰掛けゐたりし、廿五六の優男、ふし結城の羽織に糸織の二枚袷といふ気の利きたる衣装いでたちにて、商家の息子株とも見ゆるが、お糸を見るより馴れ馴れしげに声かけて
心の鬼 (新字旧仮名) / 清水紫琴(著)
ぼくですか、ぼくは』とよどんだをとことしころ二十七八、面長おもながかほ淺黒あさぐろく、鼻下びかき八ひげあり、人々ひと/″\洋服やうふくなるに引違ひきちがへて羽織袴はおりはかまといふ衣裝いでたち
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
青年わかものの入り来たれるを見て軽くいやなしつ、孫屋の縁先に置かれし煙草盆たばこぼんよりは煙真直ますぐにたちのぼれり。君が今朝けさ装衣いでたちはと翁まず口を開きてやや驚けるようなり。
わかれ (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
りゅうとした身裝いでたちをしたこの紳士の、威風凛々たる面構えは、わいわい囃し立てていた野次馬どもにも、大いに威壓的な效果を生んだ。笑い聲はぱったりやんでしまった。