形姿なり)” の例文
男「わっちは斯んな胡散うさん形姿なりをしてえるから、怪しい奴だと思おうが、私は伊皿子台町にいる船頭で、荷足の仙太郎という者です」
御前はそんな形姿なり地体じたいどこへ、行ったのぞいと聴くと、今芹摘せりつみに行った戻りじゃ、和尚さん少しやろうかと云うて、いきなりわしのたもとどろだらけの芹を押し込んで、ハハハハハ
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
お婆さんが茶を売って居る処へ三人連で浴衣に兵子帯へこおび形姿なりで這入ろうとすると、何を思ったか掛茶屋の方を見て、車夫の峯松が石坂をトン/\駈下りました。
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「そんなハイカラな形姿なりをして、大きな紙屑籠なんぞを提げてるから妙なんだよ」
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
なに……これ人非人にんぴにん……その形姿なりは何んだ、能くもずう/\しく其様そんな真似をして此処へ来て
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
男「まア御免なさい、わっちアこんな形姿なりをしてえますが、その長安寺の門番でげす」
闇夜の梅 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
表からずっと這入って来た男は年頃三十二三ぐらいで、色の浅黒い鼻筋の通ったちょっと青髯あおひげの生えた、口許くちもとの締った、利口そうな顔附をして居ますけれども、形姿なりを見るとごく不粋ぶすいこしらえで
闇夜の梅 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)