“からだ”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:カラダ
語句割合
身体54.4%
17.6%
6.4%
身體4.6%
体躯3.7%
2.8%
1.8%
肉体1.7%
身躰1.0%
1.0%
(他:63)5.0%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
彼の身体からだ土塀どべいに行き当った馬のようにとまると共に、彼の期待も急に門前で喰いとめられなければならなかった。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
重湯おもゆでも少し飲んだらいでしょう。いや? でもそう何にも食べなくっちゃ身体からだが疲れるだけだから」
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
苦しそうにさけび、片手で耳をおさえ、片手で本をつかんで、からだをまげておかしなこしつきでベンチから立ちあがった。
ケーはこうして、このまちなか探検たんけんしていますうちに、いつともなしにからだつかれてきました。
眠い町 (新字新仮名) / 小川未明(著)
チチコフは何もすることがないので、後ろに突っ立ったまま、相手のだだっぴろいからだを隅から隅までしげしげと眺めていた。
「巳は男好きだというけれど……」お絹はいささかけちをつけるように言って、からだを壁ぎわの方へ去らして横になった。
挿話 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
ともに身體からだやすましてらくをさせようとふ、それにもしうとたちのなさけはあつた。
一席話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
風呂桶へ四五荷も汲んで、使ひ水をも大きな水瓶みづがめに滿すと、肥つた身體からだにべつたり汗の出るほどに温かくなつた。
玉の輿 (旧字旧仮名) / 正宗白鳥(著)
その折は雨も煙りも一度に揺れて、余勢が横なぐりに、悄然しょうぜんと立つ碌さんの体躯からだへ突き当るように思われる。
二百十日 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
兄に比べるとはるかに頑丈がんじょう体躯からだを起しながら、「じゃ御先へ」と母に挨拶あいさつして下へ降りた。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
玉ちやんはおとう樣に抱かれてゐるのにきて來て、からだをもぢ/\させてゐたが、「あつちへ行く」と云ひ出した。
半日 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
さうしてからだを出來る丈、平にしながら、くびを出來る丈、前へ出して、おそる恐る、樓の内をのぞいて見た。
羅生門 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
薄いござを掛けた馬のからだはビッショリとぬれて、あらく乱れたたてがみからはしずくしたたる。
千曲川のスケッチ (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
中にも船で漂うのは、あわれにかなしく、浅ましい……からだの丈夫で売盛うれさかるものにはない、弱い女が流される。
河伯令嬢 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
酒といふものは、禁酒論者が言ふやうにまつたく肉体からだには良くないらしいが、その代り精神には利益ためになる事が多い。
三人は更に無意味に街を歩いて、歩き疲れて、観念あたま肉体からだも冷えきって、唯一杯の支那そばが食ひたくなった。
(新字旧仮名) / 原民喜(著)
幾千いくせんかはづひとひとがあつて、くちがあつて、あしがあつて、身躰からだがあつて
化鳥 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
わたくし身躰からだひとつ、胴廻どうまはりをると、かたからさかさまをんなちた。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
廓の女でも、からだは売っても心は売らないと、口はばったく言えた時代で、恋愛遊戯などする女は、まだだいぶすけなかったのだ。
モルガンお雪 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
葉子の好きな言葉のない映画よりも、長いあいだ見つけて来た歌舞伎の鑑賞癖が、まだ彼のからだにしみついていた。
仮装人物 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
するとある日、夜半に目覺めた多緒子の肉體からだは火のやうになつてゐた。多緒子は苦しくて寢ることが出來なかつた。
(旧字旧仮名) / 素木しづ(著)
まちは、もはや不自由ふじいうあしわるい、自分じぶん肉體からだについてはあきらめてゐる。
追憶 (旧字旧仮名) / 素木しづ(著)
「そねエな殺生せっしょうしたあて、あにが商売になるもんかよ。その体格からだ日傭ひよう取りでもして見ろよ、五十両は大丈夫だあよ」
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
「私は駄目でごす……」と涙の込み上げて来るのを押へて、「私ア、とても貴郎あんたの真似は出来ねえでごす。一体、もうこんな体格からだでごいすだで」
重右衛門の最後 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
身躯からだは漢魏式の決りきったやり方を踏襲しているが、お頭や手は丸で生きている人を標準にして刻んで附けている。
回想録 (新字新仮名) / 高村光太郎(著)
身躯からだの重みをちょっと寄せかけるや否や、音もなく、自然じねんと身は大きなガレリーの中にすべり込んだ。
永日小品 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
かれ體躯からだむし矮小こつぶであるが、そのきりつとしまつた筋肉きんにく段々だん/″\仕事しごと上手じやうずにした。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
しな不斷衣ふだんぎまゝ襷掛たすきがけ大儀相たいぎさう體躯からだうごかして勘次かんじそばへはすわらなかつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
木八刺ぼくはつらは西域の人で、あざな西瑛せいえい、その躯幹からだが大きいので、長西瑛と綽名あだなされていた。
髪を若衆髷に取上げた躯幹からだの小造りの少年武士が彼の方へ横顔を見せ、部屋の真中に端然と坐わり、巧みな手並で茶を立てている。見覚えの無い武士である。
赤格子九郎右衛門 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
頼母は、しぼんだ朝顔を逆さに懸けたような形の紙帳の、そのがくにあたる辺を睨み、依然として刀を構えていたが、次第に神気こころが衰え、刀持つ手にしこりが来、全身に汗が流れ、五体からだに顫えが起こり、眼が眩みだして来た。
血曼陀羅紙帳武士 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
五体からだのんびりして、始めてアヽ世界は広いものだと、心の底から思ひましたの、――私、老女さん、二十年前に別れた母が未だながらへて居て、丁度ちやうど廻り合つたのだと思つて孝行しますから――私の様なアバずれ者でも何卒どうぞ、老女さん
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
縄を解き、懐中ふところよりくし取りいだして乱れ髪けと渡しながら冷えこおりたる肢体からだを痛ましく、思わず緊接しっかりいだき寄せて
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
お鳥は時々谷川の水鏡を見て、次第に美しくなって行く自分の肢体からだと、山人達や、たまに里から来る人間と自分との間に、恐ろしい差違さしちがいのあることを覚り始めました。
裸身の女仙 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
でも矢張り女で、やがて全然すつかり醉つて了つて、例の充分に發達して居る美しい五躰からだの肉には言ひやうもなく綺麗な櫻いろがさして來た。
姉妹 (旧字旧仮名) / 若山牧水(著)
即ち今までの学説で呼吸器から肺病の細菌を吸い込むと信じましたけれどもベーリング氏の研究ではその細菌が食物と共に一旦いったん腸へ附着して体中からだへ吸収せられるという事です。ベーリング氏の演説には他の大家の賛成もあって医学社会の大評判となりましたが我邦なぞも人が牛乳を飲み出してから結核病が多くなったのを思うと少々気味が悪いでありませんか。
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
「農科をやるといいわ。きつと似合つてよ。どうしてもお百姓をやる体質からだだわ。五郎さんのは。……」
水と砂 (新字旧仮名) / 神西清(著)
それから、次の花婿にめられている喜惣は、あの山のように少しも動きませんわ。ここへ来てからというもの、体身からだ中が荒彫りのような、粗豪なマスうずめられてしまい、いつも変らず少し愚鈍ではございますけど、そのかわり兄と一緒に、日々野山を駆け廻っておりますの。
白蟻 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
「何に、少しは風を通さないと善くないのよ。御用というのは欠勤届のことでしょう、」と主人の少女は額から頬へ垂れかかるをうるさそうに撫であげながら少し体駆からだを前にかがめて小声で言った。
二少女 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
らいてうさま、あなたのお健康からだは、都門ともんを離れたお住居すまいを、よぎなくしたでございましょうが、激しい御理想に対してその欲求おのぞみが、時折何ものも焼尽やきつくす火のように燃え上るおりがございましょう。
平塚明子(らいてう) (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
すなわちその尾を枝に巻きつけて全身からだの重みを支えるばかりか時にはその尾を振り廻して行手をさえぎる雑木を叩くと丈夫の生木さえその一撃でもろくも二つに千切れて飛んであたかも鋭いまさかりなんどで立ち割ったようになるのであった。
沙漠の古都 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「死んだ――といふと、あの弟の捨吉ですか。身動きも出來ない容體からだでしたが」
誠におはずかしき事に候えどもどうやらいたし候節はさびしさ悲しさのやる瀬なく早く早く早くおん目にかかりたく翼あらばおそばに飛んでも行きたく存じ参らせ候事も有之これあり夜ごと日ごとにお写真とおふねの写真を取りでてはながめ入り参らせ候 万国地理など学校にては何げなく看過みすごしにいたし候ものの近ごろは忘れし地図など今さらにとりいでて今日はおふねのこのあたりをや過ぎさせたまわん明日あす明後日あさってはと鉛筆にて地図の上をたどり居参らせ候 ああ男に生まれしならば水兵ともなりて始終おそば離れずおつき申さんをなどあらぬ事まで心に浮かびわれとわが身をしかり候ても日々物思いに沈み参らせ候 これまで何心なく目もとめ申さざりし新聞の天気予報など今いますあたりはこのほかと知りながら風など警戒のいで候節は実に実に気にかかり参らせ候 何とぞ何とぞお尊体からだおん大切に……(下文略)
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
ゆめゆめあるまじき事にして、徹頭徹尾、じょの一義を忘れず、形体からだこそ二個ふたりに分かれたれども、その実は一身同体と心得て、始めて夫婦の人倫を全うするを得べし。
日本男子論 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
ひかり凝塊かたまり申上もうしあげてよいようなお形態からだをおあそばされたたか神様かみさま
神界しんかいから霊界れいかい霊界れいかいから幽界ゆうかいへと、だんだんにそのお形態からだ物質ぶっしつちかづけてあったればこそ、ここにはじめて地上ちじょう人類じんるい発生はっせいすべき段取だんどりすすたのであるともうすことでございます。
「お雪、何時だろう――そろそろ夜が明けやしないか――今頃は、正太さんの死体からださかんに燃えているかも知れない」
家:02 (下) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
その報をきいてかけ付けた門弟たちは、師の病体からだを神戸にうつすと同時に「楠公なんこう父子桜井の訣別けつべつ」という、川上一門の手馴てなれた史劇を土地の大黒座で開演した。
マダム貞奴 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)