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体躯
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からだ
ふりがな文庫
“
体躯
(
からだ
)” の例文
旧字:
體躯
顔をあげて拝むような目付をしたその男の有様は、と見ると、
体躯
(
からだ
)
の割に頭の大きな、
下顎
(
おとがい
)
の円く長い、何となく人の好さそうな人物。
朝飯
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
夕月の光を背にしていたからその横顔もはっきりとは知れなかったがそのたくましげな
体躯
(
からだ
)
の黒い輪郭が今も僕の目の底に残っている。
忘れえぬ人々
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
講演が無事に済むで、その晩タフト氏は、田舎町の狭つ苦しい
旅籠屋
(
はたごや
)
に、象のやうな大きな
体躯
(
からだ
)
を投げ出して、ぐつすり寝込むだ。
茶話:05 大正八(一九一九)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
このはずみに貝は突然、うああ、……という
体躯
(
からだ
)
の全部からしぼり出された
声音
(
こえ
)
を、続け
様
(
ざま
)
に草の間にうつ伏せになって発した。
舌を噛み切った女:またはすて姫
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
しかれども人もし普通の発達を為せば彼に心情の発達するがごとく、彼の
体躯
(
からだ
)
の成長するがごとく、愛国心も自然に発達すべきものなり
基督信徒のなぐさめ
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
▼ もっと見る
一歩ごとに
体躯
(
からだ
)
を前に傾けて男はのそのそと歩む、その長い
脚
(
すね
)
はかねての遅鈍な、骨の折れる百姓仕事のためにねじれて形をなしていない。
糸くず
(新字新仮名)
/
ギ・ド・モーパッサン
(著)
汽鑵の正面へ大の字にまたがっているのがあるかと思えば、踏台へ片足かけて、
体躯
(
からだ
)
を斜めに宙に浮かせているのもある。
駅夫日記
(新字新仮名)
/
白柳秀湖
(著)
相手は
痩
(
や
)
せた
体躯
(
からだ
)
を持ち上げた
肱
(
ひじ
)
を二段に
伸
(
のば
)
して、手の平に胴を
支
(
ささ
)
えたまま、自分で自分の腰のあたりを
睨
(
ね
)
め廻していたが
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
其
(
そ
)
の
体躯
(
からだ
)
が
小児
(
こども
)
のように小さいのは、同族結婚や野蛮生活に
因
(
よっ
)
て身体の発育が衰えた為である。と、
先
(
ま
)
ず
斯
(
こ
)
う云うのだ。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
泥田を踏んで来たような
草履
(
ぞうり
)
や
革足袋
(
かわたび
)
。うるしのはげた
烏帽子
(
えぼし
)
は、すこし
斜
(
はす
)
かいに乗っかっている。背丈はずんぐり短かく、かた肥りという
体躯
(
からだ
)
だ。
新・平家物語:02 ちげぐさの巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
○○町の中学校から村へ帰る
卓造君
(
たくぞうくん
)
は隅っこに大きな
体躯
(
からだ
)
を縮めて居睡りをしていた。連日の学期試験が今朝終った。これから長い暑中休暇が始まる。
村の成功者
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
米友は小田原提灯を
翳
(
かざ
)
していると、やっぱり土を嗅いでいたムク犬は、急にその巨大な
体躯
(
からだ
)
を
跳上
(
はねあ
)
げて、社の左の方から廻って裏手へ飛んで行きました。
大菩薩峠:13 如法闇夜の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
お得意の三味線の音締めに掛らうとしてゐたらしい禎子は、楽器を傍に置くとその肥つた
体躯
(
からだ
)
を起して、人の好い笑みを湛えながら、縁さきにあらはれて
水と砂
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
別
(
べつ
)
に
美
(
うつく
)
しい
程
(
ほど
)
でもありませぬが、
体躯
(
からだ
)
は
先
(
ま
)
ず
大柄
(
おおがら
)
な
方
(
ほう
)
で、それに
至
(
いた
)
って
健康
(
たっしゃ
)
でございましたから、
私
(
わたくし
)
の
処女時代
(
むすめじだい
)
は、
全
(
まった
)
く
苦労
(
くろう
)
知
(
し
)
らずの、
丁度
(
ちょうど
)
春
(
はる
)
の
小禽
(
ことり
)
そのまま
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
相手の人にお
世辞
(
せじ
)
を述べるか、あるいは
妄
(
みだ
)
りに自分を
卑下
(
ひげ
)
して、なさずともよいお
辞儀
(
じぎ
)
をなし、みずから五
尺
(
しゃく
)
四
寸
(
すん
)
の
体躯
(
からだ
)
を四尺三尺に
縮
(
ちぢ
)
め、それでも不足すれば
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
この
谿間
(
たにま
)
に移ってからというものは、騎西家の人達は見違えるほど野性的になってしまって、
体躯
(
からだ
)
のいろいろな角が、ずんぐりと節くれ立ってきて、皮膚の色にも
白蟻
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
泉原は人気のない
共同椅子
(
ベンチ
)
に
疲労
(
つか
)
れた
体躯
(
からだ
)
を休めて、
呆然
(
ぼんやり
)
と
過去
(
すぎさ
)
った日の出来事を思浮べた。
緑衣の女
(新字新仮名)
/
松本泰
(著)
明け放した受附の室とは別室になった奥から、横井は大きな
体躯
(
からだ
)
をのそり/\運んで来て「やあ君か、まああがれ」斯う云って、彼を二階の広い風通しの好い室へ案内した。
子をつれて
(新字新仮名)
/
葛西善蔵
(著)
この着物は
体躯
(
からだ
)
の上にふわりと掛けてあるばかりで、その広やかな胸は丸出しになっていた。
クリスマス・カロル
(新字新仮名)
/
チャールズ・ディケンズ
(著)
体躯
(
からだ
)
の立派なのに合格としたが、英語の素養のないので退学させられるということになった。
松井須磨子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
此方
(
こっち
)
が御無礼で、帰って見ると髷が殺げて髪を結うことが出来ねえんだが、旦那エ実に
私
(
わっち
)
ア驚きやした、あなたは
華奢
(
きゃしゃ
)
な
細
(
ほっ
)
そりした小さい
体躯
(
からだ
)
だから、実はお案じ申したんですが
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
然かし
体躯
(
からだ
)
は
以前
(
まえ
)
よりも遙かに
健康
(
よく
)
なられた。直訴の時分には車が無ければ
歩行事
(
あるくこと
)
出来なかつた人が、今では
腕車
(
くるま
)
を全廃されたと云ふ。顔の皺も近頃は美しく延びて、若々となられた。
大野人
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
けれども、ゴメズがカラタール氏に心服して仕えていたことは疑いのない事実だった。カラタール氏は、前にも言ったように、小兵な
体躯
(
からだ
)
なので、護衛者としてゴメズを
傭
(
やと
)
っていたのだ。
臨時急行列車の紛失
(新字新仮名)
/
アーサー・コナン・ドイル
(著)
そうして人を頼る気持は犬や猫と同じであるような気がするが、しかしどうしても
体躯
(
からだ
)
には
触
(
さわ
)
らせまいとして手を出すと逃げる。それだけは「教育」で抜け切れない「野性」の
名残
(
なごり
)
であろう。
高原
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
猛烈な嫉妬心を、其肥満の
体躯
(
からだ
)
全部に貯えているのが生縄のお鉄で有った。
死剣と生縄
(新字新仮名)
/
江見水蔭
(著)
八歳の小児の
体躯
(
からだ
)
に分別くさい大きな頭がのって、それが、より驚いたことには、重箱を背負ったような見事な亀背であるうえに、頭から胴、
四肢
(
てあし
)
まで全身
漆黒
(
しっこく
)
の長い毛で覆われているのだ。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
「はてな」——とそれを訊くと北条美作は、
解
(
げ
)
せないというように首を振ったが、「まかせるというのは何をまかせるのか?」「主として
体躯
(
からだ
)
にござります」——いよいよ兵馬は笑い声でいう。
娘煙術師
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
帰れば何を勉強をする気にもなれず、筆をとる気にもなれず、唯疲れた
体躯
(
からだ
)
を投げ出して、快い眠りに入る事より他に、何の欲望もありません。労働者の上も偲ばれて、気の毒で堪えませんでした。
職業の苦痛
(新字新仮名)
/
若杉鳥子
(著)
両手に一挺の
鍬
(
くわ
)
を掴んで
打振
(
うちふり
)
ながら、煉瓦塀に並行した長い畑を二
畝
(
せ
)
半ほど耕しておりますが、しかしその
体躯
(
からだ
)
を見ますと御覧の通り、腕も、
脛
(
すね
)
も生白くて、ホッソリ致しておりまするのみならず
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
恐ろしく夢中な恋のその時に、彼等は可笑しな
体躯
(
からだ
)
をば
ランボオ詩集
(新字旧仮名)
/
ジャン・ニコラ・アルチュール・ランボー
(著)
めぐる宇宙は廃物となったわれらの
体躯
(
からだ
)
ルバイヤート
(新字新仮名)
/
オマル・ハイヤーム
(著)
先生は重い
体躯
(
からだ
)
を三吉の方へ向けて、手を
執
(
と
)
らないばかりの
可懐
(
なつか
)
しそうな姿勢を示したが、昔のようには語ろうとして語られなかった。
家:02 (下)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
と、私はある日母がその服を著て、「ロベエルや、よござんすか、
体躯
(
からだ
)
をまッすぐにしてないと猫背になってしまって、一生なおりませんよ」
ある自殺者の手記
(新字新仮名)
/
ギ・ド・モーパッサン
(著)
「驚くうちは
楽
(
たのしみ
)
があるもんだ。女は楽が多くて仕合せだね」と甲野さんは長い
体躯
(
からだ
)
を
真直
(
ますぐ
)
に立てたまま藤尾を
見下
(
みおろ
)
した。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
宰相は肥つた
体躯
(
からだ
)
を椅子にもたせて、何か善くない事を考へてゐたらしかつたが、この休職外交官を見ると、急に拵へたやうな
愛想
(
あいさう
)
ぶりを言つた。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
僕が十九の
歳
(
とし
)
の春の
半
(
なか
)
ごろと記憶しているが、少し
体躯
(
からだ
)
の具合が悪いのでしばらく保養する気で東京の学校を
退
(
ひ
)
いて国へ帰る、その
帰途
(
かえりみち
)
のことであった。
忘れえぬ人々
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
たださえ
巨
(
おお
)
きい美少年の
体躯
(
からだ
)
は、その時、つま先で伸び上がるように胸を張り、右手をぐっと肩の上にやった。背に負っている大刀の柄を握ったのである。
宮本武蔵:04 火の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
私たちのこの
痩
(
や
)
せ衰えた亡者のような
体躯
(
からだ
)
に比べて、私はあの
逞
(
たくま
)
しい土方の体躯が羨ましい、そして一口でもいいからあの美しい千代子の前に立って、あんな暴言が吐いて見たい。
駅夫日記
(新字新仮名)
/
白柳秀湖
(著)
「犬嫌いは何処へ行っても吠えられますが、お宅のは殊に恐れます。普通のと違って顔も
体躯
(
からだ
)
も真四角ですからな。それに隈取りになっていて相が悪いです。無論洋犬でしょう?」
親鳥子鳥
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
只
(
た
)
だ燃え立つ
復讐
(
ふくしう
)
の誠意、幼き胸にかき抱きて、雄々しくも
失踪
(
しつそう
)
せる小さき影を、月よ、汝は
如何
(
いか
)
に哀れと観じたりけん、
焦
(
こ
)
がるゝ如き救世の野心に五尺の
体躯
(
からだ
)
徒
(
いたづら
)
に
煩悶
(
はんもん
)
して、鈍き手腕
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
見たところしっかりした
体躯
(
からだ
)
つきで、眉の上に大きい
黒子
(
ほくろ
)
を持っておられますが、凡夫のわたくしどもはその大きい黒子が何ともいえぬほど、おん優しいお心の程をあらわしているようで
あじゃり
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
裸かにしてもみまほしきその
体躯
(
からだ
)
ランボオ詩集
(新字旧仮名)
/
ジャン・ニコラ・アルチュール・ランボー
(著)
一代の中に
幾棟
(
いくむね
)
かの家を建て、大きな建築を起したという人だけあって、ありあまる精力は老いた
体躯
(
からだ
)
を
静止
(
じっと
)
さして置かなかった。
家:01 (上)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
これらの女はみな男よりも
小股
(
こまた
)
で早足に歩む、その
凋
(
しお
)
れたまっすぐな
体躯
(
からだ
)
を薄い小さなショールで飾ってその平たい胸の上でこれをピンで留めている。
糸くず
(新字新仮名)
/
ギ・ド・モーパッサン
(著)
そのかへり
途
(
みち
)
に犬養氏は国民党本部へ立ち寄つた。そして
乾魚
(
ひうを
)
のやうな痩せた
体躯
(
からだ
)
をぐたりと椅子の上に下すと、居合はせた党員の誰彼を見て言つた。
茶話:05 大正八(一九一九)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
シカシ今井の叔父さんはさすがにくたぶれてか、大きな
体躯
(
からだ
)
を僕のそばに横たえてぐうぐう眠ってしまった。炉の火がその
膩
(
あぶら
)
ぎった顔を赤く照らしている。
鹿狩り
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
「おい、君、
甲野
(
こうの
)
さん」と振り返る。甲野さんは細い山道に適当した細い
体躯
(
からだ
)
を
真直
(
まっすぐ
)
に立てたまま、下を向いて
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
初生
(
はつな
)
りと
末生
(
うらな
)
りの差異が現れて来たのか、菊太郎君は僕よりも発育が好かった。頭の大きいくらいのものは
体躯
(
からだ
)
も釣合を保つ為めに自ら比例を求めるのらしい。丈が高い上に
骨太
(
ほねぶと
)
だった。
勝ち運負け運
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
千代子はほかの客に押されて私の立っている横手を
袖
(
そで
)
の触れるほどにして行く、私はいたく身を
羞
(
は
)
じてちょっと
体躯
(
からだ
)
を横にしたがその途端に千代子は星のような
瞳
(
ひとみ
)
をちょっと私の方にうつした。
駅夫日記
(新字新仮名)
/
白柳秀湖
(著)
大きな、
肥
(
ふと
)
った
体躯
(
からだ
)
をした
他
(
よそ
)
の
内儀
(
おかみ
)
さんなぞが、女というものは弱いもんですなんて、そんなことを聞くと俺は
可笑
(
おか
)
しく成っちまう……
家:02 (下)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
体
常用漢字
小2
部首:⼈
7画
躯
漢検準1級
部首:⾝
11画
“体”で始まる語句
体
体裁
体中
体格
体操
体臭
体好
体当
体仁
体内