“身体:からだ” の例文
“身体:からだ”を含む作品の著者(上位)作品数
泉鏡花91
夢野久作63
野村胡堂45
中里介山39
夏目漱石36
“身体:からだ”を含む作品のジャンル比率
文学 > 日本文学 > 小説 物語17.2%
文学 > 日本文学 > 小説 物語(児童)10.3%
文学 > 日本文学 > 評論 エッセイ 随筆2.1%
(注)比率=対象の語句にふりがなが振られている作品数÷各ジャンルの合計の作品数
彼の身体からだ土塀どべいに行き当った馬のようにとまると共に、彼の期待も急に門前で喰いとめられなければならなかった。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
重湯おもゆでも少し飲んだらいでしょう。いや? でもそう何にも食べなくっちゃ身体からだが疲れるだけだから」
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
しまいには足が痛んで腰が立たなくなって、かわやのぼる折などは、やっとの事壁伝いに身体からだを運んだのである。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
しかしこの墓参りを一切りとして身体からだを休めたいと考えるほど、人知れずおさえに制えて来た激しい疲労を感じていた。
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
子供ながらに級全体のお友達の視線が、私の身体からだに焼きついているように思って、うつむいて泣いておりました時の情なさ。
押絵の奇蹟 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
この頃じゃ、こちらに、どんな事でもあるように、島山(理学士)を見ると、もうね、身体からだすくむような事があるわ。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
お蔭でスッカリ身体からだをヤクザにした上に、今の十字丸に乗ってから一年目に、瀬戸内海で推進機スクリュウを振り落した。
焦点を合せる (新字新仮名) / 夢野久作(著)
妾は濡れたまんまの両腕をハラムの太い首に捲きつけた。その拍子にハラムの身体からだに塗りつけた香油の匂いがムウウとした。
ココナットの実 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
……暑さは強し……貴方あなた、お身体からださわりはしますまいかと、――めしあがりものの不自由な片山里は心細い。
夜叉ヶ池 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
鼓草たんぽぽの花の散るように、娘の身体からだは幻に消えても、その黒髪は、金輪こんりん、奈落、長く深く残って朽ちぬ。
陽炎座 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
レムは、年齢のわりに身体からだの小さな、非常に病身なで、そのせいかまだ学校へも行かずに、うちにぶらぶらしていた。
子供たちはめいめいそう言って、自分の影法師の前に立ってみせました。背の高さから形まで、身体からだどおりの影法師でした。
影法師 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
そして漕いだ経験は十分だが身体からだがないので舵手だしゅになっていた小林を説きつけて、やむを得ず五番にまわした。
競漕 (新字新仮名) / 久米正雄(著)
そしてそばるが早いか、その大きな身体からだで、ぐるぐると人形にきついて、力いっぱいにしめつけました。
人形使い (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
自分の父は、幼い時、その親が身体からだを悪くされたために、自分の身を犠牲にして、一生懸命一家のために尽くされたという。
画家ゑかきは強ひて自分を叱りつけてみるが、いつも駄目で、気張れば気張るほど自分の身体からだが小さくなるやうに思へた。
その心もその身体からだと同じように丈夫に美しく育ちたいと熱心にのぞむ本能ちからを与えられているのだと私は思っている。
最も楽しい事業 (新字新仮名) / 羽仁もと子(著)
それとてもすっかり身体を洗うのでなく顔と首筋を洗うだけですから、身体からだは真っ黒で見るからが嫌に黒く光って居ります。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
薄暗うすぐらつるしランプの光がせこけた小作こづくりの身体からだをば猶更なほさらけて見せるので
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
あには、つくづくそのおじいさんをましたが、身体からだちいさく、あまりおもそうでもないようですから、
村の兄弟 (新字新仮名) / 小川未明(著)
二人は僕の居るのに気がつかぬかして、かすかに笑ひ、かすかに語り、折り/\立どまり、身体からだをすり寄せなどするのです。
夜の赤坂 (新字旧仮名) / 国木田独歩(著)
曲は最高調に達して、くり返しくり返し執拗に出て来る妖悪凄艶な主題が、佐良井の身体からだを、非力学的に跳躍させ続けます。
死の舞踏 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
あまつさえ髪は乱れてほおにかかり、頬の肉やや落ちて、身体からだすこやかならぬと心に苦労多きとを示している。
酒中日記 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
「どうしような」と思わず小声で言った時、夕風が一筋さっと流れて、客は身体からだ何処どこかが寒いような気がした。
幻談 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
そしてその煙草の火が蜻蛉の身体からだに触れたと思った瞬間に、既に首を失っている蜻蛉の屍は、ばたばたっと暴れまわった。
首を失った蜻蛉 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
森本は近頃身体からだのために酒を慎しんでいると断わりながら、いでやりさえすれば、すぐ猪口ちょくからにした。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
世間話しもある程度以上に立ち入ると、浮世のにおいが毛孔けあなから染込しみこんで、あか身体からだが重くなる。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
宗助も帰ればただ寝るよりほかに用のない身体からだなので、ついまた尻をえて、濃い煙草たばこを新らしく吹かし始めた。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
ただ精神生活においては得失の両面において等しく拘泥こうでいまぬかれぬところが、身体からだよりわずらいになる。
野分 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
そして、数日後に半平は身体からだの一部に異常を発見したのだった。彼にとって、それは踏んだりったりの不運だった。
幸運の黒子 (新字新仮名) / 海野十三(著)
取りわけて横笛が名人で、お母さんの身体からだの中から鉄の横笛を握って生れて来たという評判の、香潮かしおという若者が
白髪小僧 (新字新仮名) / 夢野久作杉山萠円(著)
何か、聞きゃ、河野の方で、妙の身体からだ探捜さぐりを入れるのが、不都合だとか、不意気ぶいきだとか言うそうだが、
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
血が通わなくなっても、脳味噌がつぶれても、肩が飛んでも身体からだが棒のように鯱張しゃちこばっても上がる事は出来ん。
趣味の遺伝 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「橋本さん」と老松は手をんで、酒が身体からだにシミルという容子ようすをした。「貴方――早くもうけて下さいよ」
家:02 (下) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
彼等とても強健な身体からだに青年の血をたたえているのですから、そんな話に興味を起すことは無理もないのであります。
大菩薩峠:15 慢心和尚の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
と云ううちに、しなやかな身体からだをくねくねという恰好にくねらせた。しきりに顔を真赤にして自分の指をオモチャにしている。
超人鬚野博士 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
腰が抜けるとはあんな状態をいうのであろう。ドア把手ノッブ後手うしろでに掴んでヤッと身体からだの重量を支えた。
幽霊と推進機 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
ワルデルゼイ軍医大佐は砲弾の穴の半分埋まっている斜面に寝かされている、まだウラ若い候補生の身体からだを電燈で指し示した。
戦場 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
瘠せこけた身体からだに引っかけた羊羹ようかん色のフロックコートの襟をコスリ直した犬田博士は顔を真赤にして謙遜した。
S岬西洋婦人絞殺事件 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
山霊さんれいに対して、小さな身体からだは、既に茶店の屋根をのぞく、御嶽みたけあごに呑まれていたのであった。
栃の実 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
寝ている蒲団ふとんの中から、お雪ちゃんの身体からだを引きずり起して、両方の腕で掻抱かきだいてむやみにゆすぶりました。
大菩薩峠:36 新月の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
テレサは、北極熊みたいな白い大きな身体からだと、いつもいま水から上ったばかりのような、濡れた感じの顔とをもっていた。
その小坊主は、誰が見ても盲目めくらで、おまけに身体からだよりも大きなおいを背負っていることがどうにも不釣合いです。
大菩薩峠:20 禹門三級の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
白雲は喜んで立ち上りました。久しく湯の中をくぐらなかったので、身体からだがウザついて来たと見え、お辞儀を忘れて立ち上り、
大菩薩峠:23 他生の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
その疲れた身体からだで、最後に八百屋の若いものに悩まされた処――片腕一所に斬られた、と思ったが、守護袋で留まったと言う。
星女郎 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
青年の身体からだは、其処そこにあった。が、彼の上半身は、半分開かれた扉から、外へはみ出しているのであった。
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
「容貌はまず無難でも、不具なところが身体からだにある孫ですから、結婚はさせずに尼にして自分の生きている間は手もとへ置く」
源氏物語:22 玉鬘 (新字新仮名) / 紫式部(著)
女三の宮も御煩悶はんもんばかりをあそばされるせいか、月が重なるにつれてますますお身体からだがお苦しいふうに見えた。
源氏物語:35 若菜(下) (新字新仮名) / 紫式部(著)
お引き立て申して行こうとするのであるが、宮のお身体からだはすくんでしまって御自身の思召すようにもならないのであった。
源氏物語:39 夕霧一 (新字新仮名) / 紫式部(著)
「お身体からだでも悪くて被居るのですか。」とたえ子が尋ねた。二人共叔父が時々軽いせきをしているのに気附いていた。
恩人 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
して、ばあさんのみせなりに、おうら身体からだむかふへ歩行あるいて、それ
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
道徳といふのは、自分自身に対する事で、まあ手つ取り早く言つたら、自分の身体からだ健康たつしやにする事から始まるのだ。
だが困つた事には身体からだが牛のやうに肥えてゐるので、お説教が興奮はづむと、ふいごのやうな苦しさうな息遣ひをする。
商人あきんどは商品を調べるやうにして身体からだを調べて見たが、何処にきず一つあるではなく、達者でぴちぴちしてゐた。
槇子は揺椅子ロッキング・チェアのうえでうるさく身体からだを揺すりながら、じろじろと猪股氏を見すえていたが、だしぬけに、
キャラコさん:01 社交室 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
銘々に、志を立てて落ちてくれ! 随分、身体からだに気を付けろ! 忠次が、何処かで捕まって、江戸送りにでもなったと聞いたら
入れ札 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
騒ぎは、それで静まりましたけれども、その時黒子ほくろ一つないお身体からだへ、きずがついたろうじゃありませんか。
式部小路 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「や、」「や、」と声をかけ合せると、や、我が身体からだは宙にられて、庭の土に沈むまで、どうとばかり。
二世の契 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
激しい水瀬みづせの石の間を乗つて行つた時は私達の身体からだをどつて、船はくつがへるかと思ふほどの騒ぎをした。
突貫 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
「あたし、この話をするときは癲癇てんかんが起るのよ。あなた、あたしの身体からだが後ろへ反らないように抱いててよ。」
上海 (新字新仮名) / 横光利一(著)
危うく転びそうになって、私たちはやっと私たちの身体からだを階段の欄干てすりに支えた。そうしておずおずと下を差し覗いた。
フレップ・トリップ (新字新仮名) / 北原白秋(著)
「何とも云えないよ。こう見えて、我々も日糖の重役と同じ様に、何時拘引されるか分らない身体からだなんだから」と云った。
それから (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
終点まで来た時は、精神が身体からだを冒したのか、精神の方が身体に冒されたのか、厭な心持がして早く電車を降りたかった。
それから (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
私の歯は一枚の鉄桶のように食いしばられ、私の身体からだは、寒天のように慄えおののき、私の頭は、水のように澄み渡りました。
死の舞踏 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
さては盗賊どろぼうと半ば身体からだを起してきょろきょろと四辺あたりを見廻したが、しんとしてその様子もない。
酒中日記 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
岡村と云われた青年は、中肉の身体からだにスッキリと合って居る、琥珀こはく色の、瀟洒しょうしゃな夏服を着て居た。
大島が出来る話 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
余が身体からだいて、茣蓙ござの敷いてある縁先で、団扇うちわを使って涼んでいると、やがて長谷川君が上がって来た。
長谷川君と余 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
羽織はとくに濡れつくして肌着にみ込んだ水が、身体からだ温度ぬくもり生暖なまあたたかく感ぜられる。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
三人共腰をかけるでもなく、寝転ぶでもなく、互にもたれ合って身体からだを支えるごとくに、後の壁をいっぱいにした。
満韓ところどころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
余は湯壺ゆつぼわきに立ちながら、身体からだめす前に、まずこの異様の広告めいたものを読む気になった。
思い出す事など (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
驚いて走り寄って見ますと、大きな身体からだが井戸の口一パイになっていて、下の方から自分の子供の泣き声がきこえます。
豚吉とヒョロ子 (新字新仮名) / 夢野久作三鳥山人(著)
と涙を払って頼みましたから、皆の者も励まされて、疲れた身体からだを起こして、一所に涙を拭き拭き、又もや綱に取り付きました。
白髪小僧 (新字新仮名) / 夢野久作杉山萠円(著)
『あゝ、必定きつと身体からだの具合でも悪いのだらう』と銀之助は心に考へて、丑松から下宿を探しに行つた話を聞いた。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
た繰返した。袈裟治は襷を手に持つて、一寸小肥りな身体からだゆすつて、早く返事を、と言つたやうな顔付。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
馬車を下りて、それからなお山深く入る前に、三吉はある休茶屋の炉辺ろばたで凍えた身体からだを温めずにはいられなかった。
家:01 (上) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
本当の背はそう高くないのに、ちょっと見て高く思われるのは身体からだの形がいかにもすらりとして意気に出来ているからであった。
黒髪 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
「そんな事を」と、かへつて両手をぴたりと身体からだけて仕舞つた。代助は然し自分の手をめなかつた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
台察児タイチャル (気色ばんで)うむ! 嫂上あねうえ合爾合カルカ姫の、一夜の身体からだが所望だというのだな。
涙をんではせかえって、身体からだじらせ、じりまわしつつ、ノタ打ちまわりつつ笑いころげた。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
そうして床の上に落ちたまだ長い葉巻を踏み付けながら、偉大な身体からだをヌックと立ち上らせて、私の鼻の先に突立った。
暗黒公使 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
……そのうちに発動機船ポンポンは、とっさんの身体からだを海に投込んでウチ達の舟を曳いたまま、どこかへ行ってしもうた。
爆弾太平記 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
船長はその場で命令を下して水夫長の身体からだを、下甲板に在る船長室のスグ横の行李こうり部屋兼、化粧室に移させた。
幽霊と推進機 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
女なんかでも顔はパヤパヤとしただらけで身体からだ中は鳥の毛をむしったようにブツブツだらけでゲス。
人間腸詰 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
……と思うと、その次の瞬間には、みるみる血の色を復活さして、身体からだじゅうを真赤な海老茶色えびちゃいろにしてしまった。
ココナットの実 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「ここが一番六かしい。私のような身体からだの弱いものには息が続かぬ。……芝居ではない……と何遍叱られたかわからぬ」
梅津只円翁伝 (新字新仮名) / 夢野久作杉山萠円(著)
『君はもうしてくれ給へ、身体からだがまだ真実ほんとうになつてないんだから、よしてくれ給へ。君、君、いけませんよ。』
戸の外まで (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
此度このたびの難産のあと、奥方は身体からだがげつそりよわつて、耳も少し遠く成り、気性までが一変して陰気に成つた。
蓬生 (新字旧仮名) / 与謝野寛(著)
力のない身体からだを向き直すつもりで、鉢巻をしたかおだけをこちらへ向けると、米友は無言のまま、そこへ坐り込んでいます。
大菩薩峠:21 無明の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
米友の身体からだも道庵先生の力によって旧に復するし、机竜之助もまた計らずも道庵先生の力によって幾分か視力を回復したらしい。
大菩薩峠:06 間の山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
百両で若主人の身体からだ釣替つりかえになれば安いものだといって、望月の家では金には糸目をつけないという色を見せました。
大菩薩峠:08 白根山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
かれはもうだまっていることができなくなった、身体からだは小さいがおれの方が正しいんだ、伯父さんを助けてあげなきゃならない。
ああ玉杯に花うけて (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
先生の身体からだが、影のように帰って来て、いましめを解くと一所に、五体も溶けたようなお道さんを、しかと腕に抱きました。
唄立山心中一曲 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
腕をのばして、来た方をゆびさすと共に、ひとしく扇子を膝にいて身体からだごと向直る……それにさえ一息して、
白金之絵図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
い月夜なんぞに来ると、身体からだあおい後光がさすように薄ぼんやりしたなりで、樹の間にむらむら居る。
縁結び (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
道理もっとも千万せんばんちげえねえ、これから売るものアてめえ身体からだより他にゃあえんだ。
貧乏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
女たちは金銀のケエプをしっくりと身体からだに引き締めて、まるでりんうろこを持った不思議な魚のようだった。
踊る地平線:09 Mrs.7 and Mr.23 (新字新仮名) / 谷譲次(著)
彼は、自分の唐突な説が、私の上に影響したであろう反応を見きわめるために、身体からだじ向けて、私の顔を下から仰いだ。
踊る地平線:11 白い謝肉祭 (新字新仮名) / 谷譲次(著)
お猫さんは鏡を見ました。そして身体からだ中の毛をこすつてピカピカに光らしました。そして、お隣のあひるさんの所へ行きました。
泣いてゐるお猫さん (新字旧仮名) / 村山籌子(著)
いくら神様かみさまでも、生きた人間の身体からだを、右と左とまったく同じにこさえることは、おできにならなかったのでしょう。
風ばか (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
老人は一寸手を挙げて挨拶するとかゞとの上でくるりと身体からだむきへて、元気よく引き下つて往つた。
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