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扮装
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なり
ふりがな文庫
“
扮装
(
なり
)” の例文
旧字:
扮裝
百人に一人位
真摯
(
まじめ
)
なものもあるかも知れないが、大抵は卒業すると直ぐ
気障
(
きざ
)
な
扮装
(
なり
)
をして新聞受売の経済論や株屋の
口吻
(
くちまね
)
をしたがる。
青年実業家
(新字旧仮名)
/
内田魯庵
(著)
「そこらをぶらつくうちにはまた出会いましょう。あの
扮装
(
なり
)
です……見違えはしませんから、わざわざ引返すのも変ですから。……」
ピストルの使い方:――(前題――楊弓)
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
鼠地
(
ねずみじ
)
の
納所着
(
なっしょぎ
)
に幅細の白くけ帯を前結びにして、それで尻からげという
扮装
(
なり
)
。坊主頭に
捻鉢巻
(
ねじはちまき
)
をしているさえ奇抜を通越した
大俗
(
だいぞく
)
さ。
死剣と生縄
(新字新仮名)
/
江見水蔭
(著)
△「えへゝゝ殿様なんざア男が
好
(
よ
)
くって
美
(
い
)
い
扮装
(
なり
)
だからもてやすが、
私
(
わっち
)
どもはもてた事はなく振られてばかり居ても行き
度
(
た
)
えから別段で」
政談月の鏡
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
昔の作者を思わせるようなこの人の
扮装
(
なり
)
の好みや部屋の
装飾
(
つくり
)
は、周囲の空気とかけ離れたその心持に相応したものであった。
黴
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
▼ もっと見る
扮装
(
なり
)
は男でも、名は若侍でも、弥生はやはり弥生、成らぬ哀慕に人知れず泣くあけぼの小町のなみだは今もむかしもかわりなく
至純
(
しじゅん
)
であった。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
そぼうな
扮装
(
なり
)
の、髪はぼうぼうと脂気の無い、その癖、眉の美しい、
悧発
(
りこう
)
そうな眼付の、何処にも憎い処の無い人でした。
昇降場
(新字新仮名)
/
広津柳浪
(著)
「いえ、王子で着換えたのは女形のあっしだけで、あとは六部や虚無僧や巡礼だから気が強いわけで、あの
扮装
(
なり
)
で浅草から繰出しましたよ、ヘエ」
銭形平次捕物控:063 花見の仇討
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
一つフロックコートで
患者
(
かんじゃ
)
も
受
(
う
)
け、
食事
(
しょくじ
)
もし、
客
(
きゃく
)
にも
行
(
ゆ
)
く。しかしそれは
彼
(
かれ
)
が
吝嗇
(
りんしょく
)
なるのではなく、
扮装
(
なり
)
などには
全
(
まった
)
く
無頓着
(
むとんじゃく
)
なのに
由
(
よ
)
るのである。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
それから、十七八から
二十
(
はたち
)
そこそこのところは、少し解つて来て、生意気に成りますから、顔の好いのや、
扮装
(
なり
)
の
奇
(
おつ
)
なのなんぞには
余
(
あんま
)
り迷ひません。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
この女は一方に質素な藍色の洋服を着て、せっせと働いているように見えながら、一方には派手な
扮装
(
なり
)
をして、
白粉
(
おしろい
)
をこてこてと塗って大金を受け取っている。
暗黒公使
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
お前はこれからどうあっても、この
皺苦茶
(
しわくちゃ
)
の
扮装
(
なり
)
のままで、三斎屋敷に駆け込まなけりゃあ駄目なのだよ。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
小林はやはり
仲間
(
ちゅうげん
)
のような
扮装
(
なり
)
をして、看板の上には半合羽を着て、脇差を一本だけ差しておりました。
大菩薩峠:13 如法闇夜の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
夕涼
(
ゆうすずみ
)
に出掛ける
賑
(
にぎや
)
かな人出の中にお糸はふいと立止って、並んで歩く長吉の
袖
(
そで
)
を引き、「長さん、あたいも
直
(
じ
)
きあんな
扮装
(
なり
)
するんだねえ。
絽縮緬
(
ろちりめん
)
だねきっと、あの羽織……。」
すみだ川
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
僕もあのときは、もっと上等の
扮装
(
なり
)
をして一行に加わっていたので、『幽霊』という言葉とかねて血型の相違についての疑問とによって、夫人の生存していることを悟りました。
人間灰
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
……がそういう
扮装
(
なり
)
をして、結構なお屋敷に住めるのも、この十二神が見て見ぬ振り、知って知らぬふりしているからじゃ! ……出娑婆るとみっしり喰らわせるぞ! ……殿!
血煙天明陣
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「いくらかまわないと言っても、この
扮装
(
なり
)
ではちょっと滑稽だ」——ピエエルは言った。
ぶどう畑のぶどう作り
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
『私、
甚麽
(
どんな
)
に困つたでせう、
這麽
(
こんな
)
扮装
(
なり
)
をしてゐて!』と静子は初めて友の顔を見た。
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
頭髪
(
かみ
)
の結び方と顔の化粧振りとに対して、余りに
扮装
(
なり
)
が粗末なので、全く調和が取れなかった。これでは誰の眼にも
謎
(
なぞ
)
で有ろう。
死剣と生縄
(新字新仮名)
/
江見水蔭
(著)
「まあ、あられもない
扮装
(
なり
)
をしてどうしたというのだろう。
好
(
よ
)
く御覧、秀に限ってそういう取乱した風をする
婦人
(
おんな
)
じゃないよ。」
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
意気地の無いダラシの無い
扮装
(
なり
)
をして足だけ泥にしているのや、テンヤワンヤの姿をした働き手が裏口から焼け跡へと出たり入ったりしていた。
灰燼十万巻:(丸善炎上の記)
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
「
画家
(
えかき
)
というものは、面白い
扮装
(
なり
)
をしているもんですね。」と、お銀は山内のよろよろと帰って行った後で言い出した。
黴
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
私は此の通りの
扮装
(
なり
)
で
居
(
お
)
るぞよ、
夜
(
よ
)
が明けたら穴の様子を見て、どうぞして此の穴を出るゆえ、心あらば助けてくれよ
後の業平文治
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
伊勢の生れで、れっきとした武家出なのが、何か感ずるところあって——経歴はとにかく、
扮装
(
なり
)
がまた嬉しい。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
夕凉
(
ゆふすゞみ
)
に
出掛
(
でか
)
ける
賑
(
にぎや
)
かな
人出
(
ひとで
)
の中にお
糸
(
いと
)
はふいと
立止
(
たちどま
)
つて、
並
(
なら
)
んで歩く
長吉
(
ちやうきち
)
の
袖
(
そで
)
を引き、「
長
(
ちやう
)
さん、あたいも
直
(
ぢ
)
きあんな
扮装
(
なり
)
するんだねえ。
絽縮緬
(
ろちりめん
)
だねきつと、あの
羽織
(
はおり
)
………。」
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
「ほんにねえ、大そう
質直
(
じみ
)
でいて、引ッ立つ
扮装
(
なり
)
をしているのね?
誰
(
だれ
)
だろう?」
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
平生
(
いつも
)
の例で静子が送つて出た。糊も
萎
(
な
)
えた大形の
浴衣
(
ゆかた
)
にメリンスの幅狭い
平常帯
(
ふだんおび
)
、素足に庭下駄を突掛けた無雑作な
扮装
(
なり
)
で、己が
女傘
(
かさ
)
は畳んで、智恵子と肩も摩れ/\に睦しげに列んだ。
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
平次は、これも祭の
扮装
(
なり
)
のままの長吉を、明神下の自身番に引入れると、暑いにも構わず、表の油障子を締めさして、こう当ってみました。物柔かいうちにも、
退引
(
のっぴき
)
させぬ手厳しさがあります。
銭形平次捕物控:017 赤い紐
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
そうしてみると、なんとなくきまりの悪いような心持にもなり、また今ごろ小林師範が、どうしてこんな
扮装
(
なり
)
をしてここへ来合せたかということも、疑問にならないではありませんでしたけれど
大菩薩峠:13 如法闇夜の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
一体ちょん
髷
(
まげ
)
より夏冬の帽子に目を着けるほどの、土地柄に珍しい
扮装
(
なり
)
であるから、新造の娘とは知っていても、
称
(
とな
)
えるにお嬢様をもってする。
葛飾砂子
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
宵
(
よい
)
から夜中に掛けてツクを乗りますが、是は不思議なもので、代々近村の
重次郎
(
じゅうじろう
)
と云う人がツク乗りを致します、其の
扮装
(
なり
)
が誠に可笑しゅうございます。
霧陰伊香保湯煙
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
細君らしい女が二人もあって、時々厚化粧にけばけばしい
扮装
(
なり
)
をして、客の用事を聞きに来ることのある十八、九の高島田は、どちらの子だか解らなかった。
黴
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
色白の上品なノツペリとした
御容貌
(
ごきりやう
)
に加へて香水やらコスメチツクやら
白粉
(
おしろい
)
やら有る程のおつくりをして、お
扮装
(
なり
)
は羽二重づくめに金の時計、金の鎖、金の指環
犬物語
(新字旧仮名)
/
内田魯庵
(著)
「かわった
服装
(
なり
)
と申すが、それもお役柄、隠密なればこそじゃ。その方とても時と場合によっては、探索の都合上、ずいぶんと変わった
扮装
(
なり
)
をいたすのであろうがの」
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
『アラ、
鮎釣
(
あゆかけ
)
には那麽
扮装
(
なり
)
して行くわ、
皆
(
みんな
)
。……昌作さんは近頃毎日よ。』
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
「よくその
扮装
(
なり
)
で、浅草橋御門から駆けて来たものだ。そっちを向きな」
銭形平次捕物控:023 血潮と糠
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
頭髪
(
かみ
)
と
扮装
(
なり
)
との不調和も、芸人の脱走としては、有り得る事と
点頭
(
うなずか
)
れた。
死剣と生縄
(新字新仮名)
/
江見水蔭
(著)
ここは、浅草山ノ宿、雪之丞が宿の一間、冬の夜を、火桶をかこんで、美しい女がたと、ひそひそと物語っているのは、堅気一方、職人にしても、じみすぎる位の
扮装
(
なり
)
をした
象牙彫師
(
ぞうげほりし
)
の闇太郎——
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
日の暮から村の若い
衆
(
しゅ
)
や女中がぞめき半分で見物に出掛けますが、妙な
扮装
(
なり
)
で若い衆は頬冠りを致しますが、全体頬冠りは顔を隠そう為に深く致しますが
霧陰伊香保湯煙
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
時に、当人は、もう
蒲団
(
ふとん
)
から
摺出
(
ずりだ
)
して、
茶縞
(
ちゃじま
)
に浴衣を
襲
(
かさ
)
ねた
寝着
(
ねまき
)
の
扮装
(
なり
)
で、ごつごつして、寒さは寒し、もも尻になって、肩を怒らし、腕組をして、
真四角
(
まっしかく
)
。
革鞄の怪
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
下等女の
阿婆摺
(
あばずれ
)
を活動力に富んでると感服したり、貧乏人の娘が汚ない
扮装
(
なり
)
をして
怯
(
お
)
めず臆せず平気な顔をしているのを虚栄に
俘
(
とら
)
われない天真爛漫と解釈したり
二葉亭四迷の一生
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
千里万里の沖から吹いて来て、この、
扮装
(
なり
)
も違へば
姿態
(
ふり
)
も違ふ三人を、皆一様に吹きつける海の風には、色もなければ、心もない。風は風で、勝手に吹く。人間は人間で、勝手なことを考へる。
漂泊
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
「その
扮装
(
なり
)
で歩くと町内の者が気が付くはずだが——」
銭形平次捕物控:063 花見の仇討
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
其時
(
そのとき
)
に
俄盲目
(
にはかめくら
)
の
乞食
(
こじき
)
と見えまして、
細竹
(
ほそたけ
)
の
笻
(
つゑ
)
を
突
(
つ
)
いて
年齢
(
とし
)
の
頃
(
ころ
)
は
彼是
(
かれこれ
)
五十四五でもあらうかといふ男、見る影もない
襤褸
(
すぼろ
)
の
扮装
(
なり
)
で、
何
(
ど
)
うして
負傷
(
けが
)
を
致
(
いた
)
しましたか
大仏餅。袴着の祝。新まへの盲目乞食
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
御覧なさいまし、明日、
翌々日
(
あさって
)
の晩は、唯今のお珊の方が、千日前から道頓堀、新地をかけて宝市の
練
(
ねり
)
に出て、下げ髪、緋の
袴
(
はかま
)
という
扮装
(
なり
)
で、八年ぶりで練りますから。
南地心中
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
奇妙な
風体
(
ふうてい
)
をして——例えば洋服の上に羽織を引掛けて肩から
瓢箪
(
ひょうたん
)
を
提
(
さ
)
げるというような
変梃
(
へんてこ
)
な
扮装
(
なり
)
をして
田舎
(
いなか
)
の
達磨茶屋
(
だるまぢゃや
)
を遊び廻ったり、
印袢纏
(
しるしばんてん
)
に
弥蔵
(
やぞう
)
をきめ込んで職人の仲間へ入って見たり
二葉亭四迷の一生
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
到頭あんなに
零落
(
おちぶれ
)
てしまったんですが、それでもお嬢様があゝ
遣
(
や
)
って
彼様
(
あんな
)
に親孝行をなさるんですよ、だがあんな
扮装
(
なり
)
をして入らしっても
透通
(
すきとお
)
るような
好
(
い
)
い御器量で
松の操美人の生埋:02 侠骨今に馨く賊胆猶お腥し
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
これは
熨斗目
(
のしめ
)
の
紋着振袖
(
もんつきふりそで
)
という、田舎に
珍
(
めずら
)
しい
異形
(
いぎょう
)
な
扮装
(
なり
)
だったから、不思議な若殿、
迂濶
(
うかつ
)
に物も言えないと考えたか、
真昼間
(
まっぴるま
)
、狐が化けた? とでも思ったでしょう。
薬草取
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
何
(
いず
)
れ又というので無理に振り払って帰るね、二度目に通る時に又おつな
扮装
(
なり
)
をして今度は
此方
(
こっち
)
から声を掛けると、まア上ってお呉んなさいと引張り込んでお茶を入れる
政談月の鏡
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
麻は冷たい、さっくりとして
膚
(
はだ
)
にも着かず、
肩肱
(
かたひじ
)
は
凜々
(
りり
)
しく
武張
(
ぶば
)
ったが、中背で
痩
(
や
)
せたのが、薄ら寒そうな
扮装
(
なり
)
、襟を引合わせているので物優しいのに、
細面
(
ほそおもて
)
で色が白い。
吉原新話
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
“扮装”の意味
《名詞》
扮装(ふんそう)
身なりを飾ること。装い。
姿や顔を何かに変えること。また、その姿。
(出典:Wiktionary)
扮
漢検準1級
部首:⼿
7画
装
常用漢字
小6
部首:⾐
12画
“扮装”で始まる語句
扮装姿
扮装振
扮装術
扮装形容