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鳴
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なり
ふりがな文庫
“
鳴
(
なり
)” の例文
見物も此の場の成行きに
固唾
(
かたづ
)
を
嚥
(
の
)
んで
鳴
(
なり
)
を沈めて居るものゝ、そろ/\舞台に穴があきさうになつて来るので気が気でなくなつて来た
癖
(新字旧仮名)
/
喜多村緑郎
(著)
越後の上杉家とは、それから間もなく、
上野国
(
こうずけのくに
)
の国境で、
小競
(
こぜり
)
あいがあり、甲州の
武田信玄
(
たけだしんげん
)
は、久しく
鳴
(
なり
)
をひそめていた
鼓
(
こ
)
を鳴らして
篝火の女
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
軍夫は黙して
退
(
しりぞ
)
きぬ。ぶつぶつ
口小言
(
くちこごと
)
いひつつありし、他の多くの軍夫らも、
鳴
(
なり
)
を留めて静まりぬ。されど尽く不穏の色あり。
海城発電
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
何となく
寂
(
さ
)
びれて来た矢場の中には、古城に満ち
溢
(
あふ
)
れた荒廃の気と、
鳴
(
なり
)
を潜めたような松林の静かさとに加えて、そこにも一種の沈黙が支配していた。
岩石の間
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
何
(
ど
)
うなる事かと暫らく
鳴
(
なり
)
を鎮めたところへ、二十幾条の刃に入れ代って、当の水野越前守忠邦、静かに門の外へ立って、冷たく上品な顔を挙げたのです。
礫心中
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
▼ もっと見る
急ぎしに※らずも
踏迷
(
ふみまよ
)
ひ
喘
(
あへ
)
ぎ/\
漸々
(
やう/\
)
秋葉の
寶前
(
はうぜん
)
に來りしが此時は
早
(
はや
)
眞
(
ま
)
夜中にてゴーン/\と
鳴
(
なり
)
しは
丑刻
(
やつ
)
の
鐘
(
かね
)
なれば
最早
(
もはや
)
何へも行難し
麓
(
ふもと
)
へ下れば
狼
(
おほかみ
)
多く又夜
深
(
ふけ
)
に本坊を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
子らよ見よ、
我
(
われ
)
かく
翔
(
かけ
)
る、かの
童
(
わらべ
)
、かく今翔る。空はよ、皆飛ぶべし、山河よ越えむに、時なし、またたく間ぞ、
鳴
(
なり
)
かぶら
矢留
(
やどみ
)
の子ら、いざや
勢
(
きほ
)
ひ、土たたら踏み飛べや。
夢殿
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
鱗綴
(
うろことぢ
)
の大鎧に
銅
(
あかがね
)
の
矛
(
ほこ
)
を
提
(
ひつさ
)
げて、百万の大軍を
叱陀
(
しつた
)
したにも、劣るまじいと見えたれば、さすが隣国の精兵たちも、しばしがほどは
鳴
(
なり
)
を静めて、出で合うずものもおりなかつた。
きりしとほろ上人伝
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
聖なる門の
鳴
(
なり
)
よき強き
金屬
(
かね
)
の
肘金
(
ひぢがね
)
、
肘壺
(
ひぢつぼ
)
の中にまはれるときにくらぶれば 一三三—一三五
神曲:02 浄火
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
一時を快くする暴言も
竟
(
つひ
)
に
曳
(
ひか
)
れ
者
(
もの
)
の
小唄
(
こうた
)
に過ぎざるを
暁
(
さと
)
りて、
手持無沙汰
(
てもちぶさた
)
に
鳴
(
なり
)
を鎮めつ。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
と、
高
(
たか
)
き
調
(
しらべ
)
は
荒鷲
(
あらわし
)
の、
風
(
かぜ
)
を
搏
(
たゝ
)
いて
飛
(
と
)
ぶごとく、
低
(
ひく
)
き
調
(
しらべ
)
は
溪水
(
たにみづ
)
の、
岩
(
いは
)
に
堰
(
せ
)
かれて
泣
(
な
)
く
如
(
ごと
)
く、
檣頭
(
しやうとう
)
を
走
(
はし
)
る
印度洋
(
インドやう
)
の
風
(
かぜ
)
、
舷
(
げん
)
に
碎
(
くだ
)
くる
波
(
なみ
)
の
音
(
おと
)
に
和
(
わ
)
して、
本艦々上
(
ほんかんかんじやう
)
、
暫時
(
しばし
)
は
鳴
(
なり
)
も
止
(
や
)
まなかつた。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
秋野も校長も孝子も、
鳴
(
なり
)
を潜めて二人の話を聞いてゐた。
足跡
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
人びとは
鳴
(
なり
)
を沈めた。
女賊記
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
とあったので、殿上は、
鳴
(
なり
)
もやまず、笑いこけた。陛下のおん前ではあるし、さしもの三つ女錐の中将も、
悄
(
しょ
)
げかえったということである。
新・平家物語:02 ちげぐさの巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ただ、万綱はじめ、手下の
誰彼
(
たれかれ
)
幾十人、一人として影を見せず、あとは
通魔
(
とおりま
)
の
鳴
(
なり
)
を鎮めて、日金颪の
凪
(
な
)
ぎたるよう。
わか紫
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
流
(
なが
)
し
素人連中
(
しろうとれんぢう
)
にも
上手
(
じやうず
)
の人々は我も/\と
聲
(
こゑ
)
自慢
(
じまん
)
もあれば又
節
(
ふし
)
自慢
(
じまん
)
もあり最も
賑
(
にぎ
)
はふ其が中に今宵城富は
國姓爺合戰
(
こくせんやかつせん
)
鴫
(
しぎ
)
と
蛤
(
はまぐり
)
の
段
(
だん
)
を語りけるに
生得
(
しやうとく
)
美音
(
びおん
)
の事なれば
座中
(
ざちう
)
鳴
(
なり
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
福井町の加納屋は、
鳴
(
なり
)
を
鎭
(
しづ
)
めて嚴重な板塀の中に閉ぢ籠つたやうな家でした。時刻はまだ思ひの外早くて、
辰刻半
(
いつゝはん
)
(九時)頃の秋の陽が、その外廓を物々しく照らして居ります。
銭形平次捕物控:224 五つの壺
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
そこここに
貼付
(
てんぷ
)
された三色旗の印刷してある動員令、大統領の
諭告
(
ゆこく
)
、貨物輸出の禁止令などを読もうとする人達が、今まで
鳴
(
なり
)
を潜めて沈まり返っていたような町々に満ち
溢
(
あふ
)
れた。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
艦中
(
かんちう
)
の
一同
(
いちどう
)
はヒタと
鳴
(
なり
)
を
靜
(
しづ
)
めたのである。
只
(
たゞ
)
見
(
み
)
る
本艦
(
ほんかん
)
を
去
(
さ
)
る
事
(
こと
)
三海里
(
さんかいり
)
餘
(
よ
)
、
橄欖島
(
かんらんたう
)
と
覺
(
おぼ
)
しき
島
(
しま
)
の
北方
(
ほつぽう
)
に
當
(
あた
)
つて、
毒龍
(
どくりよう
)
蟠
(
わだかま
)
るが
如
(
ごと
)
き
二個
(
にこ
)
の
島嶼
(
たうしよ
)
がある。
其
(
その
)
島陰
(
しまかげ
)
から
忽然
(
こつぜん
)
として
一點
(
いつてん
)
の
光
(
ひかり
)
がピカリツ。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
ぶつぶつ
口小言
(
くちこごと
)
謂いつつありし、他の多くの軍夫等も、
鳴
(
なり
)
を
留
(
とど
)
めて静まりぬ。されどことごとく不穏の色あり。
海城発電
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ば頼入候なりと
厚
(
あつ
)
く申
置
(
おか
)
れ
旅宿
(
りよしゆく
)
なる相良の功徳寺へ引取けり斯て程なく巳刻の太鼓も
鳴
(
なり
)
たる故外記は役所に出けるに
早
(
はや
)
同役
(
どうやく
)
の中村
主計
(
かずへ
)
用人小笠原常右衞門柳生源藏大目附武林軍右衞門
物頭
(
ものがしら
)
には
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
奔龍
(
ほんりう
)
の
如
(
ごと
)
くに
波上
(
はじやう
)
を
追
(
お
)
ふ、
本艦
(
ほんかん
)
鳴
(
なり
)
を
靜
(
しづ
)
むる十
秒
(
べう
)
二十
秒
(
べう
)
。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
、しいんと、
鳴
(
なり
)
をひそめて、聞いてやがるにちがいない
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
氷店
(
こおりみせ
)
、
休茶屋
(
やすみぢゃや
)
、赤福売る店、一膳めし、
就中
(
なかんずく
)
、
鵯
(
ひよどり
)
の鳴くように、けたたましく
往来
(
ゆきき
)
を呼ぶ、貝細工、寄木細工の小女どもも、昼から夜へ
日脚
(
ひあし
)
の淀みに
商売
(
あきない
)
の
逢魔
(
おうま
)
ヶ
時
(
どき
)
、
一時
(
ひとしきり
)
鳴
(
なり
)
を鎮めると
浮舟
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
海野はことさらに感謝状を
押戴
(
おしいただ
)
き、書面を見る事久しかりしが、やがてさらさらと繰広げて、両手に高く
差翳
(
さしかざ
)
しつ。声を殺し、
鳴
(
なり
)
を静め、
片唾
(
かたず
)
を飲みて
群
(
むらが
)
りたる、多数の軍夫に掲げ示して
海城発電
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
海野はことさらに感謝状を
押戴
(
おしいただ
)
き、書面を見る事久しかりしが、やがてさらさらと繰広げて、両手に高く
差翳
(
さしかざ
)
しつ。声を殺し、
鳴
(
なり
)
を静め、
片唾
(
かたず
)
を飲みて
群
(
むらが
)
りたる、多数の軍夫に掲げ示して
海城発電
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
鳴
常用漢字
小2
部首:⿃
14画
“鳴”を含む語句
雷鳴
怒鳴
鳴音
鳴鏑
共鳴
地鳴
呶鳴
鶏鳴
自鳴鐘
空鳴
鹿鳴館
鳴神
神鳴
鼠鳴
鳴咽
鳴声
鳴弦
鳴出
耳鳴
大雷鳴
...