衣裳なり)” の例文
見るに衣裳なり見苦みぐるしけれども色白くして人品ひとがら能くひなまれなる美男なればこゝろ嬉敷うれしくねやともなひつゝ終に新枕にひまくらかはせし故是より吉三郎もお菊を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
当家の望月様へ甲府の御勤番と言って立派な衣裳なりをしたお武士さむらいが二人、槍を立て家来を連れて乗込んで来ましたから、不意のことで当家でも驚きました。
大菩薩峠:10 市中騒動の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
漸々田本で中食をあつらえていると、側にいる客は年齢としごろ四十一二になる女で、衣裳なりは小弁慶の衣物きものに細かい縞の半纒を着ている商人体あきゅうどていのおかみさん、今一人は息子か供か
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
私いつか、宮様プリンセスを見たことがあるの。公園の外の人混に混って見ていると、いい着物を着た人達が行く中に、一人桃色づくめの衣裳なりをした、もう大人になった女の方があったの。
一同は寒気かんきを防ぐために盛んに焼火たきびをして猟師を待っているとしばらくしてなの字浦の方からたくましい猟犬が十頭ばかり現われてその後に引き続いて六人の猟師が異様な衣裳なりで登って来る
鹿狩り (新字新仮名) / 国木田独歩(著)