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形
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かたち
ふりがな文庫
“
形
(
かたち
)” の例文
やがて大きなつめでひっかくような
音
(
おと
)
がすると
思
(
おも
)
うと、はじめ
真
(
ま
)
っ
黒
(
くろ
)
な
雲
(
くも
)
と
思
(
おも
)
われていたものが
急
(
きゅう
)
に
恐
(
おそ
)
ろしい
化
(
ば
)
けものの
形
(
かたち
)
になって
鵺
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
その
花
(
はな
)
は、のめずり
倒
(
たお
)
れた
老人
(
ろうじん
)
の
死体
(
したい
)
を、
笑
(
わら
)
つて
見
(
み
)
おろしているという
形
(
かたち
)
で、いささか
人
(
ひと
)
をぞつとさせるような
妖気
(
ようき
)
を
漂
(
ただよ
)
わしている。
金魚は死んでいた
(新字新仮名)
/
大下宇陀児
(著)
この
三
(
みつ
)
つの
句
(
く
)
の
形
(
かたち
)
の
歌
(
うた
)
を、
後
(
のち
)
には、
片歌
(
かたうた
)
といつてゐます。これは、
歌
(
うた
)
の
半分
(
はんぶん
)
といふことでなく、
完全
(
かんぜん
)
でない
歌
(
うた
)
といふことであります。
歌の話
(旧字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
昨
(
さく
)
年の
初夏
(
しよか
)
兩親
(
れうしん
)
の家から
別居
(
べつきよ
)
して、赤
坂區
(
さかく
)
新町に家を持ち、
馴染
(
なじみ
)
のその
球突塲
(
たまつきば
)
が
遠
(
とほ
)
くなるとともにまた
殆
(
ほとん
)
どやめたやうな
形
(
かたち
)
になつた。
文壇球突物語
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
泥濘
(
ぬかるみ
)
を
捏返
(
こねかへ
)
したのが、
其
(
そ
)
のまゝ
乾
(
から
)
び
着
(
つ
)
いて、
火
(
ひ
)
の
海
(
うみ
)
の
荒磯
(
あらいそ
)
と
云
(
い
)
つた
處
(
ところ
)
に、
硫黄
(
ゆわう
)
に
腰
(
こし
)
を
掛
(
か
)
けて、
暑苦
(
あつくる
)
しい
黒
(
くろ
)
い
形
(
かたち
)
で
踞
(
しやが
)
んで
居
(
ゐ
)
るんですが。
艶書
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
▼ もっと見る
けれど、
私
(
わたし
)
の
仕事
(
しごと
)
はけっして、
最後
(
さいご
)
に、あの
鉄
(
てつ
)
の
中
(
なか
)
の
宝
(
たから
)
のように、
形
(
かたち
)
もなく、むだとなってしまうことは、ないであろうと
信
(
しん
)
じます。
汽船の中の父と子
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
(雷と夕立はをんさいのからくり也)雲は
地中
(
ちちゆう
)
の
温気
(
をんき
)
より
生
(
しやう
)
ずる物ゆゑに其
起
(
おこ
)
る
形
(
かたち
)
は
湯気
(
ゆげ
)
のごとし、水を
沸
(
わかし
)
て
湯気
(
ゆげ
)
の
起
(
たつ
)
と同じ事也。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
今
(
いま
)
の
苦勞
(
くらう
)
を
戀
(
こひ
)
しがる
心
(
こゝろ
)
も
出
(
い
)
づべし、
斯
(
か
)
く
形
(
かたち
)
よく
生
(
うま
)
れたる
身
(
み
)
の
不幸
(
ふしやはせ
)
、
不相應
(
ふさうおう
)
の
縁
(
ゑん
)
につながれて
幾
(
いく
)
らの
苦勞
(
くらう
)
をさする
事
(
こと
)
と
哀
(
あは
)
れさの
増
(
まさ
)
れども
十三夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
と
殊更
(
ことさら
)
強く聞きかえした。向きあうと、かならずこういう
形
(
かたち
)
になる夫婦なのである。主水は
狐拳
(
きつねけん
)
でもしているようだと思うことがある。
鈴木主水
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
ところがだん/\
進歩
(
しんぽ
)
するに
從
(
したが
)
つて
石塊
(
いしころ
)
に
多少
(
たしよう
)
の
細工
(
さいく
)
を
加
(
くは
)
へ、
手
(
て
)
に
握
(
にぎ
)
つて
物
(
もの
)
を
打
(
う
)
ち
壞
(
こわ
)
すに
便利
(
べんり
)
な
形
(
かたち
)
にこしらへるようになりました。
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
𤍠
(
あつ
)
いところから
寒
(
さむ
)
い
地方
(
ちほう
)
へ
行
(
い
)
くにつれて、そこに
生育
(
せいいく
)
してゐる
樹木
(
じゆもく
)
の
種類
(
しゆるい
)
及
(
およ
)
び
森林
(
しんりん
)
の
形
(
かたち
)
が
各々
(
おの/\
)
異
(
ことな
)
つてゐる、とは
今
(
いま
)
はお
話
(
はなし
)
しました。
森林と樹木と動物
(旧字旧仮名)
/
本多静六
(著)
其處
(
そこ
)
は
乘組人
(
のりくみにん
)
の
御勝手
(
ごかつて
)
次第
(
しだい
)
、
他
(
た
)
の
區劃
(
くくわく
)
は
彈藥
(
だんやく
)
や
飮料
(
いんれう
)
や
鑵詰
(
くわんづめ
)
や
乾肉
(
ほしにく
)
や
其他
(
そのほか
)
旅行中
(
りよかうちう
)
の
必要品
(
ひつえうひん
)
を
貯
(
たくわ
)
へて
置
(
お
)
く
處
(
ところ
)
で、
固定旅櫃
(
こていトランク
)
の
形
(
かたち
)
をなして
居
(
を
)
る。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
手拭
(
てぬぐひ
)
を
浸
(
ひた
)
す
度
(
たび
)
に
小
(
ちひ
)
さな
手水盥
(
てうずだらひ
)
の
水
(
みづ
)
に
月
(
つき
)
が
全
(
まつた
)
く
其
(
そ
)
の
影
(
かげ
)
を
失
(
うしな
)
つて
暫
(
しばら
)
くすると
手水盥
(
てうずだらひ
)
の
周圍
(
しうゐ
)
から
聚
(
あつま
)
る
樣
(
やう
)
に
段々
(
だん/\
)
と
月
(
つき
)
の
形
(
かたち
)
が
纏
(
まと
)
まつて
見
(
み
)
えて
來
(
く
)
る。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
糟谷獣医
(
かすやじゅうい
)
は、去年の
暮
(
く
)
れ
押
(
お
)
しつまってから、この
外手町
(
そとでまち
)
へ
越
(
こ
)
してきた。入り口は
黒板
(
くろいた
)
べいの一部を
切
(
き
)
りあけ、
形
(
かたち
)
ばかりという門がまえだ。
老獣医
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
笹野新三郎に別れて、八丁堀の往來へ出ると、ポンと彈き上げたのは、例の
錢占
(
ぜにうらなひ
)
の青錢、落ちて來るのを
平掌
(
ひらて
)
に受けて開くと、それが
形
(
かたち
)
。
銭形平次捕物控:003 大盗懺悔
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
疊
(
たゝみ
)
迄
(
まで
)
熱
(
あつ
)
くなつた
座敷
(
ざしき
)
の
眞中
(
まんなか
)
へ
胡坐
(
あぐら
)
を
掻
(
か
)
いて、
下女
(
げぢよ
)
の
買
(
か
)
つて
來
(
き
)
た
樟腦
(
しやうなう
)
を、
小
(
ちひ
)
さな
紙片
(
かみぎれ
)
に
取
(
と
)
り
分
(
わ
)
けては、
醫者
(
いしや
)
で
呉
(
く
)
れる
散藥
(
さんやく
)
の
樣
(
やう
)
な
形
(
かたち
)
に
疊
(
たゝ
)
んだ。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
幼児ほど
形
(
かたち
)
の上から物を
鵜呑
(
うの
)
みにするものはない。そうしてその鵜呑みにしたことを、よいこととして守ってゆくものはない。
たましいの教育
(新字新仮名)
/
羽仁もと子
(著)
離
(
はな
)
れさうで
離
(
はな
)
れない
燕
(
つばめ
)
の
群
(
むれ
)
は、
細長
(
ほそなが
)
い
形
(
かたち
)
になつたり、
圓
(
まる
)
い
輪
(
わ
)
の
形
(
かたち
)
になつたりして、
村
(
むら
)
の
空
(
そら
)
の
高
(
たか
)
いところを
揃
(
そろ
)
つて
舞
(
ま
)
つて
居
(
ゐ
)
ます。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
その
形
(
かたち
)
きわめて醜怪なるものなりき。女の
婿
(
むこ
)
の里は
新張
(
にいばり
)
村の何某とて、これも川端の家なり。その主人
人
(
ひと
)
にその
始終
(
しじゅう
)
を語れり。
遠野物語
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
夜になってから、母親は
巾着
(
きんちゃく
)
の残りの銭をじゃらじゃら音をさせながら、
形
(
かたち
)
ばかりの年越しをするために町に買い物に行った。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
能
(
よく
)
も女の手一ツにて
斯樣
(
かやう
)
に御
育養
(
そだて
)
有れしぞ
併
(
しか
)
し其後は御
亭主
(
ていしゆ
)
も定めてお出來
成
(
なさ
)
れたで
有
(
あら
)
うに今日は
何
(
いづ
)
れへかお出かけにやと言へばお光は
形
(
かたち
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
やう/\あきらかな
形
(
かたち
)
となつて
彼女
(
かのぢよ
)
に
萠
(
きざ
)
した
不安
(
ふあん
)
は、
厭
(
いや
)
でも
應
(
おう
)
でも
再
(
ふたゝ
)
び
彼女
(
かのぢよ
)
の
傷所
(
きずしよ
)
——それは
羞耻
(
しうち
)
や
侮辱
(
ぶじよく
)
や、
怒
(
いか
)
りや
呪
(
のろ
)
ひや
悔
(旧字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
欺
(
あざむ
)
くに詞なければ、
実
(
じつ
)
をもて
告
(
つ
)
ぐるなり。必ずしもあやしみ給ひそ。吾は
九三
陽世
(
うつせみ
)
の人にあらず、
九四
きたなき
霊
(
たま
)
のかりに
形
(
かたち
)
を見えつるなり。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
依つてスサノヲの命はその
孃子
(
おとめ
)
を
櫛
(
くし
)
の
形
(
かたち
)
に變えて
御髮
(
おぐし
)
にお
刺
(
さ
)
しになり、そのアシナヅチ・テナヅチの神に仰せられるには
古事記:03 現代語訳 古事記
(旧字新仮名)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
たとひ
家屋
(
かおく
)
が
倒伏
(
とうふく
)
することがあつても、
小屋組
(
こやぐみ
)
だけは
元
(
もと
)
のまゝの
形
(
かたち
)
をして
地上
(
ちじよう
)
に
直接
(
ちよくせつ
)
の
屋根
(
やね
)
を
現
(
あらは
)
すことは、
大地震
(
だいぢしん
)
の
場合
(
ばあひ
)
普通
(
ふつう
)
に
見
(
み
)
る
現象
(
げんしよう
)
である。
地震の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
水面からそこへうつったのが
極度
(
きょくど
)
の力であったろう。
櫓
(
やぐら
)
の上を
離
(
はな
)
れると、さすがに強い
猛鷲
(
もうしゅう
)
も、むしろくわえている
重量
(
じゅうりょう
)
に引かれこんでゆく
形
(
かたち
)
。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
しかるに、こちらでは、
真実
(
ほんとう
)
の
精神統一
(
せいしんとういつ
)
に
入
(
はい
)
れば、
人間
(
にんげん
)
らしい
姿
(
すがた
)
は
消
(
き
)
え
失
(
う
)
せて、
側
(
そば
)
からのぞいても、たった
一
(
ひと
)
つの
白
(
しろ
)
っぽい
球
(
たま
)
の
形
(
かたち
)
しか
見
(
み
)
えませぬ。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
翁の
臨終
(
りんじゅう
)
には、
形
(
かたち
)
に於て乃木翁に近く、精神に於てトルストイ翁に近く、而して
何
(
いず
)
れにもない苦しみがあった。然し今は
詳
(
つまびらか
)
に説く可き場合でない。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
凡
(
およ
)
そ
眞
(
しん
)
の
化物
(
ばけもの
)
といふものは、
何處
(
どこ
)
の
部分
(
ぶぶん
)
を
切
(
き
)
り
離
(
はな
)
しても、一
種
(
しゆ
)
異樣
(
いやう
)
な
形相
(
げうさう
)
で、
全體
(
ぜんたい
)
としては
渾然
(
こんぜん
)
一
種
(
しゆ
)
の
纏
(
まと
)
まつた
形
(
かたち
)
を
成
(
な
)
したものでなければならない。
妖怪研究
(旧字旧仮名)
/
伊東忠太
(著)
御主意
(
ごしゆい
)
御尤
(
ごもつとも
)
に
候
(
さふらふ
)
。
日
(
ひ
)
の
出
(
で
)
の
唱歌
(
しやうか
)
は
思
(
おも
)
ひ
止
(
と
)
まり
候
(
さふらふ
)
。
淺
(
あさ
)
ましい
哉
(
かな
)
。
教室
(
けうしつ
)
に
慣
(
な
)
れ
候
(
さふらふ
)
に
從
(
した
)
がつて
心
(
こゝろ
)
よりも
形
(
かたち
)
を
教
(
をし
)
へたく
相成
(
あひな
)
る
傾
(
かたむ
)
き
有之
(
これあり
)
、
以後
(
いご
)
も
御注意
(
ごちゆうい
)
願上候
(
ねがひあげさふらふ
)
。
日の出
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
輝
(
かゞや
)
かしかつた
彼
(
かれ
)
の
文壇的運命
(
ぶんだんてきうんめい
)
が、
漸
(
やうや
)
くかげりかけようとしてゐたところで、
彼
(
かれ
)
もちよつと
行
(
ゆ
)
きづまつた
形
(
かたち
)
であつた。
彼女の周囲
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
人、死し
神
(
たましい
)
去り、すなわちさらに
形
(
かたち
)
を受く。父子因縁ありて居に会す。たとえば
寄客
(
ききゃく
)
の
起
(
た
)
てば、すなわち離散するごとく、
愚迷
(
ぐめい
)
、
縛著
(
ばくちゃく
)
して、己の
有
(
ゆう
)
となす。
通俗講義 霊魂不滅論
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
狂画葛飾振の図中には
痩細
(
やせほそ
)
りし
脚
(
あし
)
、肉落ちたる腕、
聳立
(
そばだ
)
ちたる肩を有せる
枯痩
(
こそう
)
の人物と、
形
(
かたち
)
崩
(
くず
)
るるばかり肥満し過ぎたる多血質の人物との解剖を見るべく
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
(三六)
亢
(
かう
)
を
批
(
う
)
ち
虚
(
きよ
)
を
擣
(
つ
)
き、
(三七)
形
(
かたち
)
格
(
そむ
)
き
勢
(
いきほひ
)
禁
(
きん
)
ずれば、
則
(
すなは
)
ち
自
(
おのづか
)
ら
爲
(
た
)
めに
解
(
と
)
けん
耳
(
のみ
)
。
今
(
いま
)
梁
(
りやう
)
・
趙
(
てう
)
・
相攻
(
あひせ
)
む。
輕兵
(
けいへい
)
鋭卒
(
えいそつ
)
、
必
(
かなら
)
ず
外
(
そと
)
に
竭
(
つ
)
き、
(三八)
老弱
(
らうじやく
)
内
(
うち
)
に
罷
(
つか
)
れん。
国訳史記列伝:05 孫子呉起列伝第五
(旧字旧仮名)
/
司馬遷
(著)
かねて
支度
(
したく
)
してあつたお
輿
(
こし
)
に
載
(
の
)
せようとなさると、
姫
(
ひめ
)
の
形
(
かたち
)
は
影
(
かげ
)
のように
消
(
き
)
えてしまひました。
帝
(
みかど
)
も
驚
(
おどろ
)
かれて
竹取物語
(旧字旧仮名)
/
和田万吉
(著)
本尊の阿弥陀様の
御顔
(
おかほ
)
は暗くて拝め無い、
唯
(
たヾ
)
招喚
(
せうくわん
)
の
形
(
かたち
)
を
為給
(
したま
)
ふ右の
御手
(
おて
)
のみが
金色
(
こんじき
)
の
薄
(
うす
)
い
光
(
ひかり
)
を
示
(
しめ
)
し給うて居る。貢さんは内陣を出て四畳半の自分の部屋に
入
(
はい
)
つた。
蓬生
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
(著)
己の思っている人物は地平線の方に行って山になってしまいそうな
形
(
かたち
)
に相違ない。(間。)それから、も一つこんな絵の事を話したっけ。画題は
基督
(
キリスト
)
というのだ。
家常茶飯 附・現代思想
(新字新仮名)
/
ライネル・マリア・リルケ
(著)
轟
(
とゞろ
)
く胸を
抑
(
おさ
)
へつゝ、
朱雀
(
すざく
)
の
方
(
かた
)
に來れば、向ひより
形
(
かたち
)
亂
(
みだ
)
せる二三人の女房の
大路
(
おほぢ
)
を北に急ぎ行くに、瀧口呼留めて事の由を尋ぬれば、一人の女房立留りて悲しげに
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
戀
(
こひ
)
しい、
懷
(
なつか
)
しい、ヂュリエット、
何
(
なん
)
として
今尚
(
いまな
)
ほ
斯
(
か
)
うも
艶麗
(
あてやか
)
ぢゃ?
若
(
も
)
しや
形
(
かたち
)
のない
死神
(
しにがみ
)
が
卿
(
そなた
)
の
色香
(
いろか
)
に
迷
(
まよ
)
うて、あの
骨
(
ほね
)
ばかりの
怪物
(
くわいぶつ
)
めが、
己
(
おの
)
が
嬖妾
(
おもひもの
)
にしようために
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
運命
(
うんめい
)
人間
(
にんげん
)
の
形
(
かたち
)
を
刻
(
きざ
)
めり、
境遇
(
けふぐう
)
人間
(
にんげん
)
の
姿
(
すがた
)
を
作
(
つく
)
れり、不可見の苦繩人間の手足を縛せり、不可聞の魔語人間の耳朶を穿てり、
信仰
(
しんこう
)
なきの
人
(
ひと
)
、
自立
(
じりつ
)
なきの
人
(
ひと
)
、
寛裕
(
かんゆう
)
なきの
人
(
ひと
)
「罪と罰」の殺人罪
(旧字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
「どうしてわかるのか。」「無相三昧、
形
(
かたち
)
満月の如くなるを以て、仏性の義
廓然
(
かくねん
)
として
虚明
(
こめい
)
なり。」
日本精神史研究
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
加之
(
それに
)
、
前
(
まへ
)
の
諸氏
(
しよし
)
が
發掘
(
はつくつ
)
したのは、
畑中
(
はたなか
)
に
塚
(
つか
)
の
形
(
かたち
)
を
成
(
な
)
して
居
(
ゐ
)
た
處
(
ところ
)
で、それは
今
(
いま
)
開
(
ひら
)
かれて
形
(
かたち
)
を
留
(
と
)
めぬ。
探検実記 地中の秘密:03 嶺の千鳥窪
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
最初
(
さいしよ
)
ドード
鳥
(
てう
)
は、
一
(
いつ
)
の
輪
(
わ
)
を
描
(
か
)
いて
競爭
(
レース
)
進路
(
コース
)
を
定
(
さだ
)
めました、(「
輪
(
わ
)
の
形
(
かたち
)
は
些
(
や
)
や
正確
(
せいかく
)
でなくても
關
(
かま
)
はない」とドード
鳥
(
てう
)
が
云
(
い
)
ひました)それから
其處
(
そこ
)
に
居
(
ゐ
)
た一
隊
(
たい
)
のものが
皆
(
みン
)
な
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
ずっと前に源
俊頼
(
としより
)
の『
散木奇歌集
(
さんぼくきかしゅう
)
』九に、内わたりに夜更けてあるきけるに、
形
(
かたち
)
よしといわれける人の打ち解けてしとしけるを聞きて
咳
(
しわぶ
)
きをしたりければ恥じて入りにけり
十二支考:08 鶏に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
〔譯〕理は
本
(
も
)
と
形
(
かたち
)
無し。形無ければ則ち名無し。形ありて後に名有り。既に名有れば、則ち理之を氣と謂ふも、不可無し。故に專ら
本體
(
ほんたい
)
を指せば、則ち
形後
(
けいご
)
も亦之を理と謂ふ。
南洲手抄言志録:03 南洲手抄言志録
(旧字旧仮名)
/
秋月種樹
、
佐藤一斎
(著)
磨製石斧
(
ませいいしおの
)
の中には石材の
撰擇
(
せんたく
)
、形状の
意匠
(
いせう
)
、明かに
美術思想
(
びじゆつしそう
)
の
發達
(
はつたつ
)
を示すもの有り、
石鏃
(
せきぞく
)
中にも亦實用のみを
目的
(
もくてき
)
とせずして
色
(
いろ
)
と
云
(
い
)
ひ
形
(
かたち
)
と云ひ
實
(
じつ
)
に美を極めたるもの少からず。
コロボックル風俗考
(旧字旧仮名)
/
坪井正五郎
(著)
物
(
もの
)
を
言
(
い
)
つたことはないが、
顏
(
かほ
)
だけは
覺
(
おぼ
)
えてゐる
天滿與力
(
てんまよりき
)
の
何某
(
なにがし
)
であることを
玄竹
(
げんちく
)
は
知
(
し
)
つてゐた。この
天滿與力
(
てんまよりき
)
は
町人
(
ちやうにん
)
から
袖
(
そで
)
の
下
(
した
)
を
取
(
と
)
るのに
妙
(
めう
)
を
得
(
え
)
てゐる
形
(
かたち
)
だけの
偉丈夫
(
ゐぢやうふ
)
であつた。
死刑
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
常に
飄然
(
ひようぜん
)
として、絶えて貴族的容儀を修めざれど、
自
(
おのづか
)
らなる七万石の品格は、
面白
(
おもてしろ
)
う
眉秀
(
まゆひい
)
でて、鼻高く、
眼爽
(
まなこさはやか
)
に、
形
(
かたち
)
の
清
(
きよら
)
に
揚
(
あが
)
れるは、
皎
(
こう
)
として
玉樹
(
ぎよくじゆ
)
の風前に臨めるとも
謂
(
い
)
ふべくや
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
足の
形
(
かたち
)
でも
腰
(
こし
)
の
肉付
(
にくつき
)
でも、または
胴
(
どう
)
なら
乳
(
ちゝ
)
なら胸なら肩なら、
總
(
す
)
べて
何處
(
どこ
)
でもむツちりとして、
骨格
(
こつかく
)
でも
筋肉
(
きんにく
)
でも
姿勢
(
しせい
)
でも
好
(
よ
)
く
整
(
とゝの
)
ツて
發育
(
はついく
)
してゐた。
加之
(
それに
)
肌
(
はだ
)
が
眞
(
ま
)
ツ
白
(
しろ
)
で
滑々
(
すべ/″\
)
してゐる。
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
かく精神は落ち着き、自覚したのちでも
化物
(
ばけもの
)
の
形
(
かたち
)
がハッキリと目に
映
(
えい
)
じていた。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
形
常用漢字
小2
部首:⼺
7画
“形”を含む語句
形容
形相
人形
異形
形成
形態
形状
円形
形体
形象
大形
地形
花形
外形
印形
弓形
扇形
形式
形勢
女形
...