すがた)” の例文
正装した源氏のすがたを見て、後ろのほうを手で引いて直したりなど大臣はしていた。くつも手で取らないばかりである。娘を思う親心が源氏の心を打った。
源氏物語:07 紅葉賀 (新字新仮名) / 紫式部(著)
朝明あさけすがた」という語は、朝別れる時の夫の事をいうのだが、簡潔に斯ういったのは古語の好い点である。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
又残る片側かたつらは、眉千切ちぎれ絶え、まなじり白く出で、唇ななめかたよりて、まことに鬼のすがたとや云はむ。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
武士の身長たけが高いので、紙帳を背後うしろにして立ったすがたは「中」という字に似ていた。
血曼陀羅紙帳武士 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
わが背子があさけのすがたずて今日けふあひだらすかも 〔巻十二・二八四一〕 柿本人麿歌集
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)