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悚然
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ぞつ
ふりがな文庫
“
悚然
(
ぞつ
)” の例文
呼
(
よ
)
ばれた
坂上
(
さかがみ
)
は、
此
(
こ
)
の
聲
(
こゑ
)
を
聞
(
き
)
くと、
外套
(
ぐわいたう
)
の
襟
(
えり
)
から
先
(
ま
)
づ
悚然
(
ぞつ
)
とした。……
誰
(
たれ
)
に
似
(
に
)
て
可厭
(
いや
)
な、
何時
(
いつ
)
覺
(
おぼ
)
えのある
可忌
(
いまは
)
しい
調子
(
てうし
)
と
云
(
い
)
ふのではない。
三人の盲の話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
誰
(
たれ
)
か
重
(
おも
)
い
怪我人
(
けがにん
)
が
運
(
はこ
)
ばれたのだと
勘次
(
かんじ
)
は
直
(
す
)
ぐに
悟
(
さと
)
つてさうして
何
(
なん
)
だか
悚然
(
ぞつ
)
とした。
彼
(
かれ
)
は
業々
(
げふ/\
)
しい
自分
(
じぶん
)
の
扮裝
(
いでたち
)
に
恥
(
は
)
ぢて
躊躇
(
ちうちよ
)
しつゝ
案内
(
あんない
)
を
請
(
こ
)
うた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
あれが来ると、
悚然
(
ぞつ
)
と、
惣毛竪
(
そうけだ
)
つて
体
(
からだ
)
が
竦
(
すく
)
むのですもの、唯の怖いとは違ひますわね。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
石碑
(
せきひ
)
を
力
(
ちから
)
だ==
右
(
みぎ
)
に
行
(
ゆ
)
けば
燕州
(
えんしう
)
の
道
(
みち
)
==とでもしてあるだらうと
思
(
おも
)
つて
見
(
み
)
りや、
陰陽界
(
いんやうかい
)
==は
氣障
(
きざ
)
だ。
思出
(
おもひだ
)
しても
悚然
(
ぞつ
)
とすら。
みつ柏
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「
爺
(
ぢい
)
」とおつぎは
其
(
そ
)
の
耳
(
みゝ
)
に
口
(
くち
)
を
當
(
あ
)
てゝ
呶鳴
(
どな
)
つた。
冷
(
つめ
)
たい
卯平
(
うへい
)
はぐつたりと
俛首
(
うなだ
)
れた
儘
(
まゝ
)
である。
少
(
すこ
)
し
傾
(
かし
)
げた
彼
(
かれ
)
の
横頬
(
よこほゝ
)
に
糜爛
(
びらん
)
した
火傷
(
やけど
)
が
勘次
(
かんじ
)
を
悚然
(
ぞつ
)
とさせた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
▼ もっと見る
戸外
(
おもて
)
へ来て案内する時のその声といふものが、実に無いんですよ。
毎
(
いつ
)
でも
極
(
きま
)
つて、『頼みます、はい頼みます』とかう
雍
(
しとやか
)
に、
緩
(
ゆつく
)
り二声言ふんで。もうもうその声を聞くと
悚然
(
ぞつ
)
として、ああ
可厭
(
いや
)
だ。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
勘次
(
かんじ
)
は
其
(
その
)
時
(
とき
)
不安
(
ふあん
)
な
態度
(
たいど
)
でぽつさりと
自分
(
じぶん
)
の
庭
(
には
)
に
立
(
た
)
つた。
彼
(
かれ
)
は
既
(
すで
)
に
巡査
(
じゆんさ
)
の
檐下
(
のきした
)
に
立
(
た
)
つてるのを
見
(
み
)
て
悚然
(
ぞつ
)
とした。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
蓋
(
けだ
)
し、
期
(
き
)
せずして、
一
(
ひと
)
つ
宙返
(
ちうがへ
)
りをして
車夫
(
わかいしゆ
)
の
頭
(
あたま
)
を
乘越
(
とびこ
)
したのである。
拂
(
はら
)
ふほど
砂
(
すな
)
もつかない、が、
此
(
こ
)
れは
後
(
あと
)
で
悚然
(
ぞつ
)
とした。……
實
(
じつ
)
の
處
(
ところ
)
今
(
いま
)
でもまだ
吃驚
(
びつくり
)
してゐる。
麻を刈る
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
と
思
(
おも
)
ひながら、
瓜井戸
(
うりゐど
)
の
野
(
の
)
の
眞中
(
まんなか
)
に、
一人
(
ひとり
)
で
頭
(
あたま
)
から
悚然
(
ぞつ
)
とすると、する/\と
霞
(
かすみ
)
が
伸
(
の
)
びるやうに、
形
(
かたち
)
は
見
(
み
)
えないが、
自分
(
じぶん
)
の
居
(
ゐ
)
まはりに
絡
(
からま
)
つて
鳴
(
な
)
く
猫
(
ねこ
)
の
居
(
ゐ
)
る
方
(
はう
)
へ
一席話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
唯
(
と
)
見
(
み
)
ると、する/\と
動
(
うご
)
く。
障子
(
しやうじ
)
はづれに
消
(
き
)
えたと
思
(
おも
)
ふと、きり/\と
板
(
いた
)
に
鳴
(
な
)
つて、つる/\と
辷
(
すべ
)
つて、はツと
思
(
おも
)
ふ
袂
(
たもと
)
の
下
(
した
)
を、
悚然
(
ぞつ
)
と
胸
(
むね
)
を
冷
(
つめた
)
うさして
通拔
(
とほりぬ
)
けた。
魔法罎
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
頸首
(
ゑりくび
)
脊筋
(
せすぢ
)
の
冷
(
ひや
)
りと
為
(
す
)
るは、
後
(
うしろ
)
に
構
(
か
)
まへてござる
奴
(
やつ
)
。
天窓
(
あたま
)
から
悚然
(
ぞつ
)
とするのは、
惟
(
おも
)
ふに
親方
(
おやかた
)
が
御出張
(
ごしゆつちやう
)
かな。いや
早
(
は
)
や、
其
(
それ
)
と
知
(
し
)
りつゝ、さつ/\と
持
(
も
)
つて
行
(
ゆ
)
かれる。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
砂
(
すな
)
の
上
(
うへ
)
に
唯一人
(
たゞひとり
)
やがて
星
(
ほし
)
一
(
ひと
)
つない
下
(
した
)
に、
果
(
はて
)
のない
蒼海
(
あをうみ
)
の
浪
(
なみ
)
に、あはれ
果敢
(
はかな
)
い、
弱
(
よわ
)
い、
力
(
ちから
)
のない、
身體
(
からだ
)
單個
(
ひとつ
)
弄
(
もてあそ
)
ばれて、
刎返
(
はねかへ
)
されて
居
(
ゐ
)
るのだ、と
心着
(
こゝろづ
)
いて
悚然
(
ぞつ
)
とした。
星あかり
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
「
聲
(
こゑ
)
が
嫌
(
きら
)
ひなのではありません。
不厭
(
いや
)
などころではないんですが、
名
(
な
)
を
思
(
おも
)
ふと、
私
(
わたし
)
は
悚然
(
ぞつ
)
とします……」
浅茅生
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
廣袖
(
どてら
)
へ
着
(
つ
)
けて
女中
(
ぢよちう
)
が、と、はた/\と
袖
(
そで
)
を
煽
(
あふ
)
つたが、フト
鳥
(
とり
)
に
成
(
な
)
るやうに
思
(
おも
)
つて、
暗
(
くら
)
がりで
悚然
(
ぞつ
)
とした。
魔法罎
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
禮吉
(
れいきち
)
は
悚然
(
ぞつ
)
としながら、
其
(
それ
)
でも
青山
(
あをやま
)
の
墓地
(
ぼち
)
の
中
(
なか
)
を、
青葉
(
あをば
)
がくれに、
花
(
はな
)
を
摘
(
つ
)
む、
手
(
て
)
の
白
(
しろ
)
さを
思
(
おも
)
つた。……
艶書
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
と、うら
問
(
ど
)
ひつゝ、
妙
(
めう
)
な
事
(
こと
)
を
云
(
い
)
ふぞと
思
(
おも
)
ふと、うつかりして
居
(
ゐ
)
たのが、また
悚然
(
ぞつ
)
とする……
浅茅生
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
……
今
(
いま
)
の
鍋下
(
なべした
)
、おしたぢを、むらさき、ほん
五分
(
ごぶ
)
に
生
(
なま
)
二
(
に
)
なぞと
來
(
き
)
て、しんこと
聞
(
き
)
くと
悚然
(
ぞつ
)
とする。
三
(
み
)
つ
葉
(
ば
)
を
入
(
い
)
れないで
葱
(
ねぎ
)
をくれろといふ
時
(
とき
)
にも
女中
(
ぢよちう
)
は「みつなしの
本
(
ほん
)
五分
(
ごぶ
)
ツ」といふ。
廓そだち
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
あゝ
不思議
(
ふしぎ
)
な
事
(
こと
)
がと
思
(
おも
)
ひ
出
(
だ
)
すと、
三十幾年
(
さんじふいくねん
)
の、
維新前後
(
ゐしんぜんご
)
に、おなじ
時
(
とき
)
、おなじ
節
(
せつ
)
、おなじ
門
(
もん
)
で、おなじ
景色
(
けしき
)
に、おなじ
二人
(
ふたり
)
の
侍
(
さむらひ
)
を
見
(
み
)
た
事
(
こと
)
がある、と
思
(
おも
)
ふと、
悚然
(
ぞつ
)
としたと
言
(
い
)
ふのである。
春着
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
此
(
こ
)
の
山里
(
やまざと
)
を、
汽車
(
きしや
)
の
中
(
なか
)
で、
殆
(
ほとん
)
ど
鳥
(
とり
)
の
聲
(
こゑ
)
を
聞
(
き
)
かなかつた
彼
(
かれ
)
は、
何故
(
なぜ
)
か、
谷筋
(
たにすぢ
)
にあらゆる
小禽
(
せうきん
)
の
類
(
るゐ
)
が、
此
(
こ
)
の
巨
(
おほき
)
な
手
(
て
)
の
獵人
(
かりうど
)
のために
狩盡
(
かりつく
)
されるやうな
思
(
おも
)
ひして、
何
(
なん
)
となく
悚然
(
ぞつ
)
とした。
其
(
それ
)
も
瞬時
(
しゆんじ
)
で。
魔法罎
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
見つゝ思はず
悚然
(
ぞつ
)
として、いしくも咲いたり、
可愛
(
かはゆ
)
き花、
薊
(
あざみ
)
、
鬼百合
(
おにゆり
)
の
猛
(
たけ
)
くんば、我が
言
(
ことば
)
に憤りもせめ、姿形のしをらしさにつけ、汝優しき心より、
百年
(
もゝとせ
)
の
齢
(
よはひ
)
を捧げて、一朝の盛を見するならずや
草あやめ
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
積薪
(
せきしん
)
思
(
おも
)
はず
悚然
(
ぞつ
)
として、
直
(
たゞ
)
ちに
衣冠
(
いくわん
)
を
繕
(
つくろ
)
ひ、
若
(
わか
)
き
婦
(
よめ
)
は
憚
(
はゞかり
)
あり、
先
(
ま
)
ず
姑
(
しうと
)
の
閨
(
ねや
)
にゆき、もし/\と
聲
(
こゑ
)
を
掛
(
か
)
けて、さて、
一石
(
いつせき
)
願
(
ねが
)
ひませう、と
即
(
すなは
)
ち
嗜
(
たしな
)
む
處
(
ところ
)
の
嚢
(
ふくろ
)
より
局盤
(
きよくばん
)
の
圖
(
づ
)
を
出
(
いだ
)
し、
黒白
(
こくびやく
)
の
碁子
(
きし
)
を
以
(
もつ
)
て
姑
(
しうと
)
と
戰
(
たゝか
)
ふ。
唐模様
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
五月雨
(
さみだれ
)
はじと/\と
降
(
ふ
)
る、
外
(
そと
)
は
暗夜
(
やみ
)
だ。
私
(
わたし
)
も
一寸
(
ちよつと
)
悚然
(
ぞつ
)
とした。
春着
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
顔
(
かほ
)
を
仰向
(
あふむ
)
けに、
悚然
(
ぞつ
)
とするやうな
美
(
うつくし
)
い
婦
(
をんな
)
。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
園
(
その
)
は
悚然
(
ぞつ
)
として、
道祖神
(
だうそじん
)
を
心
(
こゝろ
)
に
念
(
ねん
)
じた。
銀鼎
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
男
(
をとこ
)
は
悚然
(
ぞつ
)
としたやうだつた。
艶書
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
思
(
おも
)
つても
悚然
(
ぞつ
)
とする。——
艶書
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
悚然
(
ぞつ
)
とした。
番茶話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
“悚然”の意味
《名詞》
恐れて震えるさま。
(出典:Wiktionary)
悚
漢検1級
部首:⼼
10画
然
常用漢字
小4
部首:⽕
12画
“悚”で始まる語句
悚
悚立
悚気
悚毛
悚撃