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山里
を
鹿なく
此の
山里と
詠じけむ
嵯峨のあたりの
秋の
頃——
峰の
嵐か
松風か、
尋ぬる
人の
琴の
音か、
覺束なく
思ひ、
駒を
早めて
行くほどに——
山里の
朧に乗じてそぞろ歩く。観海寺の石段を登りながら
仰数春星一二三と云う句を得た。余は別に
和尚に逢う用事もない。逢うて雑話をする気もない。
天子の
御料の、
畑のある
山里に
蒔いた
青菜も、そこの
吉備の
國人と、
二人で
摘んでゐると、
氣がはれ/″\とすることよ、といふ
意味のことをいはれたのです。