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静寂
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せいじゃく
ふりがな文庫
“
静寂
(
せいじゃく
)” の例文
旧字:
靜寂
耳を澄ますと玄内の寝息が安らかに洩れて来るばかり、暁近い寺島村は、それこそ井戸の底のように
静寂
(
せいじゃく
)
そのもののすがたであった。
釘抜藤吉捕物覚書:07 怪談抜地獄
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
公園には
人影
(
ひとかげ
)
がなかった。
乾干
(
ひから
)
びた電車の音だけが夜の
静寂
(
せいじゃく
)
を破っていた。空には星、地にはアーク灯、それのみが静かに輝いていた。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
冬の、(イヤ、秋かな、マアどっちでもいいや)まだ薄暗い
暁
(
あかつき
)
の、
静寂
(
せいじゃく
)
を破って、上り第○号列車が
驀進
(
ばくしん
)
して来たと思い給え。
一枚の切符
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
夜明けの
静寂
(
せいじゃく
)
をやぶるのをおそれるかのように、おりおり用心ぶかく首をかしげるその姿には、
敬虔
(
けいけん
)
な
信仰者
(
しんこうしゃ
)
の
面影
(
おもかげ
)
を見るような気もした。
次郎物語:05 第五部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
その
静寂
(
せいじゃく
)
の時間がやや長くつづくと、石だ、石だ、という声が、こんどはだれいうとなく、石太郎よりもっとも遠い一角より起こってくる。
屁
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
▼ もっと見る
静寂
(
せいじゃく
)
な闇の中に、やがてハリハリと杉の枯れ葉の燃える音がした。続いて枯れ柴のパチパチと燃え上がる音がして来た。
蜜柑
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
声をかけて置いて、
熟
(
じっ
)
と聞き耳を立てたが、
吾声
(
わがこえ
)
の
攪乱
(
かきみだ
)
した雑木山の
静寂
(
せいじゃく
)
はもとに
復
(
か
)
えって、
落葉
(
おちば
)
一つがさとも云わぬ。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
時折、雨戸のふくらむような峰の風がぶつかってくるが、それの過ぎた一瞬は、死界のような
静寂
(
せいじゃく
)
に返ってしまう。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
だが反響の多いこの室内の爆笑は大変
賑
(
にぎや
)
かだったが、一旦それが消えてしまうとなると、反動的に、墓場のような
静寂
(
せいじゃく
)
がヒシヒシと
迫
(
せま
)
ってくるのだった。
恐しき通夜
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
ピストルの音は一
発
(
ぱつ
)
だけではなかった。つづけざまに、五発の
銃声
(
じゅうせい
)
が
夕空
(
ゆうぞら
)
にこだまして、
街
(
まち
)
の
静寂
(
せいじゃく
)
をやぶった。
透明人間
(新字新仮名)
/
ハーバート・ジョージ・ウェルズ
(著)
もしパンがライ麦のならばライ麦のいい所を感じて喜びます。これらは感官が
静寂
(
せいじゃく
)
になっているからです。
ビジテリアン大祭
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
だが、かの女はそれはまだ逸作に対する表面の批評だと思った。逸作の
静寂
(
せいじゃく
)
は死魂の静寂ではない。
かの女の朝
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
そよぎ渡るその風の間に、このあたり
向島
(
むこうじま
)
の秋らしい秋の
静寂
(
せいじゃく
)
が初めて宿って、落ちかかった夕陽のわびしい影が、かすかな
縞
(
しま
)
をつくり乍ら、すすきの波の上を流れていった。
山県有朋の靴
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
ひとり娘を尼院に預けて、マタ・アリは離婚を取り、当時、大戦という大暴風雨の前の不気味な
静寂
(
せいじゃく
)
に似た、世紀末的な平和を享楽しつつあったヨーロッパに、自活の道を求めた。
戦雲を駆る女怪
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
大地
(
だいち
)
をゆるがす
砲車
(
ほうしゃ
)
のきしりと、ビュン、ビュンと
絶
(
た
)
え
間
(
ま
)
なく
空中
(
くうちゅう
)
に
尾
(
お
)
を
引
(
ひ
)
くような
銃弾
(
じゅうだん
)
の
音
(
おと
)
と、あらしのごとくそばを
過
(
す
)
ぎて、いつしか
遠
(
とお
)
ざかる
馬蹄
(
ばてい
)
のひびきとで、
平原
(
へいげん
)
の
静寂
(
せいじゃく
)
は
破
(
やぶ
)
られ
戦友
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
十本あまりの毒刃は、ズ、ズ、ズと、
趾先
(
つまさき
)
ですり寄る刺客たちと一緒に、二人の前後に押し迫る。それが、二間に足らぬところまで来ると、おのずと止って、シーンとした
静寂
(
せいじゃく
)
——死の沈黙。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
手塚は光一をなだめなだめして手を
曳
(
ひ
)
いて去った。
境内
(
けいだい
)
はふたたびもとの
静寂
(
せいじゃく
)
にかえった。さらさらさらと動く松の
梢
(
こずえ
)
の上に名も知らぬ小鳥が一つどこからともなく飛んできてさえずりだした。
ああ玉杯に花うけて
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
百人ちかくの試験官の
見張
(
みは
)
り監督していても、ただ水を打ったように
静寂
(
せいじゃく
)
を極めて、
廊下
(
ろうか
)
の板をふむ巡視の
靴音
(
くつおと
)
さえも聞こえないほど静かで、ほとんど人なきがごとき
様
(
さま
)
であるところの玄関に
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
「素敵だなア!」何となく
感歎
(
かんたん
)
してしまえる
静寂
(
せいじゃく
)
であった。
魚の序文
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
静寂
(
せいじゃく
)
を守ってお暮らしになっています。学者中で
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
かくて大騒ぎをした後に、
静寂
(
せいじゃく
)
が落ちてきた。
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
静寂
(
せいじゃく
)
が広間いっぱいにこもりました。
壇ノ浦の鬼火
(新字新仮名)
/
下村千秋
(著)
突然白け切った夜の
静寂
(
せいじゃく
)
を破って、けたたましい音響が
迸
(
ほとばし
)
る。
毒々
(
どくどく
)
しい
青緑色
(
せいりょくしょく
)
の
稲妻
(
いなずま
)
が
天井裏
(
てんじょううら
)
にまで飛びあがった。——
電路遮断器
(
サーキット・ブレッカー
)
が働いて切断したのだった。
白蛇の死
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
緑の山々に取囲まれた、
静寂
(
せいじゃく
)
なみずうみの景色は、最初の間、どんなに私を
楽
(
たのし
)
ませた事でしょう。
湖畔亭事件
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
突然! 谷底へでも突き落とされたような悲鳴が、ヒイーッと山の
静寂
(
せいじゃく
)
を破った。それは、ただの恐怖や単純な驚きとは思えぬ、強く胸を衝ってくる
稚
(
おさな
)
い者の絶叫だった。
鳴門秘帖:06 鳴門の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
晩春
(
ばんしゅん
)
の夜、三
刻
(
こく
)
の
静寂
(
せいじゃく
)
を
破
(
やぶ
)
って、
突
(
とつ
)
! こぶ寺うらに起る
剣々相摩
(
けんけんそうま
)
のひびきだ。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
相手の
荒
(
あら
)
らいだ息も静まって、死の
静寂
(
せいじゃく
)
がおとずれた。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
闇と寒さと、墓場の様な恐ろしい
静寂
(
せいじゃく
)
の中に、四人の者は、お互の身体に触れ合うことによって、僅かに一人ぼっちでないのを確めながら、どうする智恵も浮ばず、黙りこくっていた。
魔術師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
といっているとき、夜の
静寂
(
せいじゃく
)
を破って、どどーんの一大音響が聞え、
愛宕山
(
あたごやま
)
が、地震のように動いた。それと同時に、山手寄りの町に
炎々
(
えんえん
)
たる火柱がぐんぐん立ちのぼって、天を
焦
(
こ
)
がしはじめた。
爆薬の花籠
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
一瞬間死の様な
静寂
(
せいじゃく
)
、続いて湧起る恐怖のざわめき。訳の分らぬののしり声。
黄金仮面
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
実験室の
静寂
(
せいじゃく
)
と平和とは、
古石垣
(
ふるいしがき
)
のようにガラガラと崩れて行った。
恐しき通夜
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
棺の中の闇と
静寂
(
せいじゃく
)
とが、彼女の心に、不思議な作用を及ぼしたのだ。
吸血鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
恐ろしい
静寂
(
せいじゃく
)
、恐ろしい地底の一刻!
恐怖の口笛
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
ややしばらく、不気味な
静寂
(
せいじゃく
)
。
吸血鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
嵐の前の
静寂
(
せいじゃく
)
!
空襲葬送曲
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
静
常用漢字
小4
部首:⾭
14画
寂
常用漢字
中学
部首:⼧
11画
“静寂”で始まる語句
静寂間
静寂不動
静寂主義者