)” の例文
勝又が名を言うと「山けえ」と老人らしい声がしたがそのままッそりとする。「御馳走さまで」と、案内者は水の礼を述べて、いよいよ裾野の中へ入る。
雪中富士登山記 (新字新仮名) / 小島烏水(著)
しかも、古びた家のっそりとした中で、そのような物音を聴いたとすれば、誰しも堪えがたい恐怖の念に駆られるのが当然であろう。かえって滝人には、それが残虐な快感をもたらした。
白蟻 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
太郎坊へ着いて見ると、戸は厳重に釘づけにされ、その上に材木を筋交えに抑えにして、鋼線で結びつけてあるが、ッそりとして、人の気はなく、案内者の咳払いが、沈んだ空気を乱しただけだ。
雪中富士登山記 (新字新仮名) / 小島烏水(著)