ひっ)” の例文
神楽坂かぐらざかへかかると、ひっりとしたみちが左右の二階家に挟まれて、細長く前をふさいでいた。中途までのぼって来たら、それが急に鳴り出した。
それから (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
いらっしゃれば大概二週間位は遊興をお尽しなさって、その間は、常にひっそりしてる市中が大そうにぎやかになるんです。
忘れ形見 (新字新仮名) / 若松賤子(著)
そういううちにも、酸素は全くきれ、きゅうに室内がその水をくぐらせる音が絶えてしまったので、ひっそりした、そのひっそりした感じは、激しい不安を私に与えた。
童子 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
それが秋の日に酔って重く下を向いて、ひっそりと重なった葉が一枚も動かない。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)