じやく)” の例文
じやくたるもりなかふかく、もう/\とうしこゑして、ぬまともおぼしきどろなかに、らちもこはれ/″\うしやしなへるにはにさへ紫陽花あぢさゐはなさかりなり。
森の紫陽花 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
裝潢さうくわうにはあふひの紋のあるにしきが用ゐてある。享保三年に八十三歳で、目黒村の草菴さうあんに於て祐天のじやくしたのは、島の歿した享保十一年に先つこと僅に八年である。
寿阿弥の手紙 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
じやくとした一座、兎もすれば、滅入めいるやうな緘默かんもくが續きさうでなりません。
ある時は王維をまねびじやくとして幽篁のうちにひとりあらなむ
和歌でない歌 (旧字旧仮名) / 中島敦(著)
じやくたるよもの光景けしきかな。耀かゞや虚空こくう、風絶えて
海潮音 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
貞治二年癸卯十月二日此庵にじやくせり。
只だ此のまゝに『じやく』として
北村透谷詩集 (旧字旧仮名) / 北村透谷(著)
もくの華、じやく妙香めうかう
有明集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
母親はゝおや墳墓おくつきは、やまあるをかの、つき淺茅生あさぢふに、かげうすつゆこまやかにじやくとある。
月夜車 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
じやくたるよもの光景けしきかな。耀く虚空こくう、風絶えて
海潮音 (新字旧仮名) / 上田敏(著)
貞治二年癸卯十月二日此庵にじやくせり。
ハタとめば、そられたところへ、むら/\とまた一重ひとへつめたくもかさなりかゝつて、薄墨色うすずみいろ縫合ぬひあはせる、とかぜさへ、そよとのものおとも、蜜蝋みつらふもつかたふうじたごとく、乾坤けんこんじやくる。……
霰ふる (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)